あと2日間の4月に私の嘘を賭けた
余った訳ではないチケットに、
偶然を装って。
彼の既読の速さからは考えられない
この返事までの空白は
どくどくと私の不安を募らせて、
つんつんと私の期待を煽ってゆく。
これは誰かの眼
これは誰かの手
これは誰かの命
奇妙なモンタージュ
不恰好な愛のコラージュ
この空と同じ色の空
二度と見ることが出来ぬなら
その空を咥えて火をつける
寿命縮める覚悟で煙を吸うよ
ありがとう 全てがこの為だって思えるんだ
ありがとう 本音が口を滑る
暖かいスープが街に吹く
本当にあるなら見せてくれ
僕にその天国ってやつを
こんなもんかと笑ってやるさ
僕は僕を離せないから
君が僕のこと話してくれ
生まれたり 生きたり 死んだり
出会ったり 愛したり 憎んだり また愛したり
夕日を見て生きている意味に気付いたり
怒ったり 怒られたり 許したり 許されたり
笑ったり 笑われたり 笑いあったり
迷ったり 傷ついたり 痛くないことにしたり
言葉にならなかったり それでも抱き締めて貰えたり
夜明けを告げる鳥の声を聞いたり
ねえ
まるで足りないよ
人生は 一生では
「よー、グループチャットに何も貼られてなかったけど、ちゃんと写真撮ってきたのか?」
翌日、早めに学校に来て教室で待っていると、仲間の一人が俺の机まで駆け寄るように近付いて尋ねてきた。
「……まあ」
一応、証拠写真は2枚ある。まず幽霊野郎の方を見せる。
「これ、うちの生徒じゃね? 制服着てるし。心霊写真にしちゃ存在感あり過ぎんだろ」
「そうかもしれない。何かいたんだよ」
「何組の誰だ、これ?」
「しらね」
続いて、フラッシュで撃退するついでに撮っていた『サメ』の写真を見せる。
「……これ、何てZ級映画のスクショ?」
「…………『巨大ダルマザメ襲来』」
適当に誤魔化しておく。フラッシュで背景が白く飛んでちょっと見た感じじゃ校庭で撮ったようには見えないし、信じてもらえないのも仕方ないか。
「まあ良いや。何か面白いから画像上げとけよ」
「あーうん、そうするわ」
今回の怪異
・鉄棒の上の幽霊
『サメ』に追い詰められて鉄棒の上から逃げられないでいたかわいそうな幽霊。結果的に『疑似餌』にさせられていたが、悪意は無い。ただの被害者。結局食われたが、解放されたのはある意味幸せかもしれない。
・鉄棒の下に潜むモノ
外見は目が顔の正面についた巨大ダルマザメ。鉄棒の下に隠れ潜み、遅い時間に近付いてきた不良人間を食ってきた。人間と同等程度の知能と感覚能力を持ち、その強さゆえに回復能力は貧弱。土の中を水中のように自由に泳ぎ回れる怪獣の一種。多分トンネル効果を使っている。身体を地上に1.5m以上出すことはできない。