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黑翆造物邂逅 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
毎度お馴染み「造物茶会シリーズ」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回のエピソードは10個目のエピソードを記念した番外編でしたが、話の構想自体は初期のころから考えていました。
ただナツィとかすみの馴れ初めはもう少し違う話にしようと思っていたんですけど、話が冗長になりすぎちゃうと思ってかなり調整しました。
あと、やっとナツィの保護者の名前を出すことができました。
別にそれといった意味はないんですけど、ぜひ覚えて頂ければと思います。
また、しれっとナツィが今の保護者の元にやってくるまでの経緯について触れましたが、これについてはそのうち本編で詳しく語る予定です。
楽しみにしておいてください。

と、いうわけで今回はここまで。
最近は色々やらなきゃいけないことがあるのに絶妙にやる気が出ない日々が続いています(笑)
多分外に出ていないから(障がい者でバイトができない)なんですけど…来週以降はちゃんと外に出たいなー。
それでも「造物茶会シリーズ」だったり「ハブ ア ウィル」の執筆はぼちぼち続けている状態です。
しかし「ハブ ア ウィル」の最新エピソードはまだ投稿できる状態にはない(だいぶ長く書いているのにまだ書き終わらない)ので、再来週からは少し前に書いた“番外編”を投稿しようと思ってます。
こちらは黎がネロ&耀平に出会う話(めっちゃ前に投稿した番外編のようなものの本編)なので、ぜひ楽しみにしていてください。

てなわけで、テトモンよ永遠に!でした〜。

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Specter children:人形遣いと水潜り その④

朝食を済ませた二人は、冰華の私室でしばしの食休みをとっていた。
「それで? 蒼依ちゃんはなんでこの村に来たの?」
「んー? んー…………これ言っていいやつかなー……」
「何、犯罪?」
「合法。っていうか現行法で多分裁けないやつ」
「つまり倫理的にはアウトなんだ」
「私はセーフだと思ってるよ」
「ふーん? まぁ正直に言いなよ」
「うーん……」
蒼依は言い淀みながら頭を搔き、髪の毛の中から掌大の人型ぬいぐるみを取り出した。
「斬新な髪留めだね?」
「違うわ。ほら」
人形を掌に載せたまま、それを冰華の眼前に差し出す。冰華がそれを見つめていると、人形はひとりでに動き出し、蒼依の掌に両腕の先端をつき、もたもたと立ち上がった。そのままバランスを崩し、床上に落下する。人形は数瞬震えた後、再び立ち上がり蒼依の肩までよじ登った。
「わぁすごい玩具。都会の流行り? 可愛いねぇ」
「……まぁ、うん」
目を伏せた蒼依に、冰華は堪えきれず笑いを漏らしてしまう。
「あははっ、ごめんごめん! 冗談だよ冗談! ちゃんと『視えてる』から!」
その言葉に、蒼依はきょとんとした表情を見せた。
「それ何? 式神的なやつ? 幽霊?」
「……えっと……私の『感情』を材料にした…………何か、そういうヤツ」
「へー。感情って、喜怒哀楽みたいなやつ?」
「うん。感情を1個ずつ切り離して、人形の形で動かすの。名付けて【感情人形】」
「わぁかっこいい。その人形、強いの?」
「弱いよ」
「弱いんだ」
蒼依が人形を指先でつまんで放り投げると、そのまま空中で溶けるように消滅した。
「……それで? 蒼依ちゃんなんでここに来たんだっけ?」
「あぁうんその話ね」
一瞬口をつぐみ、息を吸って再び口を開く。
「妖怪を殺しに来たの」
淡々と放たれたその言葉に、冰華は硬直した。

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薔薇

好きな人は薔薇が好きらしい

そんな薔薇を目指して努力している

だから…

振り向いてよね(˶ᐢᗜᐢ˶)

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Specter children:人形遣いと水潜り その③

改めて自己紹介をし直した二人は、河原から集落への道筋を並んで歩いていた。
「豊原さん」
「何?」
「蒼依ちゃんって呼んで良い? 同い年だし」
「駄目。あんたのことも冰華ちゃんって呼ぶよ?」
「良いよ?」
「とにかく駄目。私が恥ずかしいから」
「おっけー蒼依ちゃん」
「おいコラ冰華ちゃん」
ぐだぐだと話し続けるうち、二人の歩みは集落に到達していた。
「それで蒼依ちゃん? なんでこの村に? 自然豊かなだけで何もないよ?」
「んー……旅行?」
「ろくな荷物も持たず、この季節に暑苦しい冬服で?」
「だってこの辺標高高いじゃん。あと長袖なら草で肌切る心配も無いし」
「なんで制服?」
「別に良いじゃんか。私ファッションセンス無いんだよ」
「じゃあ今度一緒にお洋服買いに行こうね。私あこがれだったんだ、お友達とお買い物に行くの」
「別にいいけど、一番近い服屋までどれくらいかかるよ?」
「片道2時間?」
「重いって」
二人は水潜家の前までやって来る。
「取り敢えず上がりなよ。朝ごはん食べよう?」
「良いの?」
「良いの」
「じゃあ……まあ、うん。お言葉に甘えさせてもらおうかね」
手招きする冰華の後に続いて、蒼依は引き戸の玄関をやや猫背気味にくぐった。