そうして、ナツィ、かすみ、キヲンは喫茶店の1階へと降りていった。
階段を降りて廊下を通り、店のカウンターの方へ出るとそこまで広くないが趣のある喫茶店の店内が現れる。
そして誰もいない店内のカウンターの真ん中の席に、“物置に用がある”らしい人物が頬杖を突きつつ座っていた。
「…お前は」
長い朱色の髪を高い位置で束ね、白いノースリーブのトップスに白い膝丈のバルーンパンツを履いた、少年とも少女ともつかない容姿のコドモが、ナツィを見るやポツリと呟く。
「なんだよ」
初対面に対し失礼だろとナツィは相手を睨む。
しかし朱色の髪のコドモは…いや、とそっぽを向く。
「まさかこんなところに“黒い蝶”がいると思わなくて」
「ふぅん」
よく言う、とナツィは上着のポケットに手を突っ込んだ。
「え、えと…」
困惑したようにかすみはなにかを言おうとするが、ナツィはかすみの方をちらと見て、大丈夫だかすみと言う。