「ただいま……。」
思わず玄関に座り込み、壁にもたれかかる。
いつもは出てこないチャールズが、リビングから姿を表した。
「お嬢さま!?」
さすがに様子がおかしいと思ったらしい。すぐかけより、瑛瑠の額に手を当てる。ひんやりとしたその手は心地よかった。
「大丈夫。少し頭が痛いだけなの。」
心配させまいと微笑んで見せる。するとチャールズは、失礼しますねと一言言ったかと思うと、慣れたように瑛瑠の腰に手をまわし、膝裏に自分の腕を通した。嫌な予感がする。
「ちょっと、チャールズ!?」
そのまま横抱きにされ部屋へ直行。強制連行された瑛瑠は完熟トマト状態。
「さすがに着替えは手伝ってあげられないので頑張ってください。ちょっと無理をしすぎちゃいましたね。明日明後日は絶対安静としましょう。ね、お姫サマ。」
くしゃっと頭を撫でられ、悪戯めいた瞳を残して出ていく。
「病人にそれはキツいよー……。」
即行で着替え、倒れ混むように横になり、瑛瑠は顔を枕に押し付けた。