0

ユーラシア大陸縦横断旅40

グランプラスの建物群の紺色屋根は朝日を受け水色になっている
今日は彼女の誕生日だ
サプライズパーティーの最終打ち合わせをしていると、彼女が起きて来た「おはよう。誕生日、おめでとう。今日もまた慌ただしくなっちゃうけど、できるだけ君のリクエスト聞いて君が行きたい場所は行けるようにするよ。でも、ゴールがパリだってことは忘れないでね」そう言うと、「行きたい場所?なら、イースタンフランダースにあるオーデナルドかなぁ」と返ってきた
「つまり、アウデナルデの古戦場かな?」そう確認すると「そうだよ。」と一言だけ返ってきた
「古戦場巡りってかなり個性的だなぁ。男の趣味だと思ってたよ」と言うと「だから、女子達には理解してもらえなくて秘密にしているの。でも、貴方が古戦場巡りに理解がある彼氏でよかった」と言われた
「もしかして、君がペテルブルグとモスクワ行ったのって…」と返すと、「お察しの通りよ。まあでも、私が好きなのはオイゲンとマールバラの2人なんだけど」と苦笑いだ
「マールバラとオイゲン、それってかつて俺たちの相性の良さを例えた時に出した2人じゃん」と言って俺も笑い出す
「それだけ貴方のことが好きで、昔のやり取りも覚えてるの。」と返された
「なら、アウデナルデやマルプラケはピッタリだね。昨日言ってたイープルの猫祭り開催までは1ヶ月あるけど」そんな話をしながら朝食を食べ終えると、チェックアウトの時間が迫ってきた
そしてすぐに駅へ向かい、中央駅のコインロッカーに荷物を預けて地下ホーム4番線から12:32発ICコルトレイク行きに乗り込む
暫くしてOudenaardeの駅名標が見えた
そう、この町にはオイゲンとマールバラ公という中世ヨーロッパの戦争を語る上で欠かせない2人の司令官が合流して戦い、宿敵を撃破する活躍を見せた古戦場がある
当時敵だったフランスの天才指揮官が不可能だと思っていた、この2人の麾下の兵による600キロも離れた地点からの合流に成功した情報を聞いて放った「悪魔が奴らを連れて来たに違いない」という名言を文字って、「オイゲン公が俺たちを連れて来たに違いない」と言うと彼女が即座に首を振って、こう訂正する「歴史が私達を繋いだに違いない」と
「確かにそうだな。」と返し、どちらともなく手を繋ぎ、古戦場のある丘に向け歩き出す

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。