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ユーラシア大陸縦横断旅66

宿に戻り、すぐに荷物を纏める
一通り纏め終わると、スマホの着信音が鳴り響く
台湾の仲間達からだが、彼等は長電話好きなので、軽く1時間ほど時間を取られると覚悟して対応する
「土産物、何が良い?」「お茶っ葉と鳳で頼めるか?あと、フォルモサの写真も頼む」「鳳と梨のアレね。お前、好きだもんな。写真は…新高、次高、それから101と85で良いか?」「各地の写真じゃなくてその名前を漢字に意訳したら出てくる地下鉄の駅があるだろ?その駅の写真をお願いしたい」「あのステンドグラスか。任せな」「ありがとう。頼んだよ。東京で俺の彼女とも会えるだろうから紹介してやるよ。その次の時は案内頼んだよ。特に、安平とか嘉義とか淡水が良いな」「任せとけ。でも、お足は高くしとけよ?」「高くするのは良いけど、流石に大神宮跡地のホテルには泊まらないからな?」台湾に造詣が深く同じような物が好きな男同士の会話が弾み、こちらの到着予定の話になる
「こちらの到着は日本時間の夕方4時頃の予定だ」「航空会社ズーペンだろ?」「いや、イングオ」「また金がかかる所を…」「それは俺じゃなくて幼馴染が取ってくれたんだよ。国泰が使えなくなったから」「そう言えば言ってたな。で、どうして福岡経由じゃなくていきなり成田なんだ?」「彼女が羽田経由だから東京で俺といたいんだとよ。俺はてっきり彼女が先に福岡に帰ると思って向こうに寄ってから帰ろうと思ったんだが、俺のことを1番に考えて東京にいる決断をしてくれたんだろうな。健気で一途、それでいて俺が故郷の東京をはじめとした関東、そしてその対極と言える関西がどうしても好きになれないことも理解してくれる。だから、俺は彼女に首っ丈なんだ」「その辺にしとけ。彼女さん、淡水信義線カラーになるだろうから」「もうなっちゃるよ。冬瓜茶より甘くして気まずいから切るぜ」「橋頭のアレみたいだな。遠慮せずに切りな」
最後は俺達ではお馴染みの台湾ネタで締めてどちらともなく電話を切る
そして、彼女が背伸びして耳打ちする
同じ頃、例の鐘が鳴り響き、即興で短歌を一首詠む
「協定の 日の街で聞く 鐘の音 君の隣で 聞くぞ嬉しき」
この日にロンドンで起きた歴史上の出来事を踏まえて詠んだ歌に歴史好きの彼女が反応し、より甘えて来たのは言うまでもない

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