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Trans Far East Travelogue74

小仏のトンネルも,八王子も、高井戸も過ぎて地元・新宿の高層ビル群が見えて来たと思ったら,家族でドライブした時に必ず利用した外苑のランプも越えて三宅坂のJCTまで来た。
一度深呼吸をして「いよいよだな…」と呟くと嫁が「どう?私の地元来るの楽しみ?」と訊くので「仕事柄北海道や東北、関東甲信ばかり行ってて九州には一度も行ったことないから楽しみだけど,大好きな東京とお別れするのは寂しいかな」と返すとソウル時代の同僚が「お前の場合はそうだろうな。モデル級の美人が多く参加する合コンに誘ってもお前は断固拒否してたもんな」と言うので嫁が「それって、私がいたから?」と訊くので「当時の俺は独身だったし、プライドが高くて,な?」と答えると今度は助手席にいた同期が「元カノとの失敗や台湾での失恋で心荒んで、『東京の言葉が分からない女とだけは絶対に付き合わない。東京の外の女性,特に西日本の人や見た目だけ綺麗な外国の人と付き合うくらいなら、自ら命を絶ってしまう方が一億倍マジだ』って宣言したお前に気を遣って日本の現場へ出張させる時は必ず東日本に派遣してたのに変わったよなぁ…マレーで彼女できたって連絡受けた時は悪い冗談かと思ったよ」と懐かしさに浸って笑いながら暴露するのでそれに合わせて「まぁ,そんな俺でも嫁の新撰組が好きで新撰組にゆかりのある多摩や東京のこと知ろうとしてくれた所に惚れて,今までの方針忘れるくらいまで首っ丈で結ばれたんだから,嫁が特別なだけだがな」と言って俺も笑うと嫁は「貴方が西日本のこと語ろうとしなかったのって…」と言うので「そう。地元も好きだったけど,それファンとして巨人戦観てて,10年以上日本一はお預けで,大体全部に西日本が関わってるからね」と返すと嫁が何か言う前に同期が「確かに,阪神と3位争いしてた時に打った選手は確か山陰の出身だったし,燕の監督は広島,既に亡くなられたけど楽天の星野監督は確か瀬戸内の出身だったよな」と答えるので頷き,嫁が「結果論やけど,元カレいなかったら野球のこと知らなくて,大好きな貴方を傷付けてしまってたかもね」と冗談めかすので「そうかもな。俺も元カノのこと無かったらオープンチャット使わなかったから,君とは会わなかったかもしれないな」と言って笑い話にしている間に他の定期船の針路の関係で移された港に着いた。
乗船手続きは済んでいるので出航を待つ。

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