「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい。」
リビングにはチャールズ。決まってソファで本を読んでいる。このときだけはどうやら眼鏡なので、なんだか得をした気分になる。
「手を洗い、着替えてきてください。お昼ごはん準備しておきますから。」
栞を挟んで眼鏡を置き、立ち上がる。
瑛瑠は、はいと応えてリビングを出た。
多少の肌寒さは残るものの、暖かい日差しが心をわくわくさせる。洗面台にある窓は少し開いていて、昼の暖かさと共に、菜の花の香りを運んでくるようだった。そういえば,と通学路に菜の花がかたまって咲いていた場所があることを思い出す。
お腹はすいている。気化熱によって寒く感じた手を守るように、かけられたタオルで拭き、部屋に戻る。
楽な服に着替えて先生から渡された手紙を手に、再びチャールズのいたリビングへと戻る。
キッチンからテーブルへ、料理が運ばれてくるところだった。
「あ、お嬢さま。手伝ってください。」
王宮にいるときは絶対に言われなかった言葉。
付き人っぽくないと薄々思っていたが、瑛瑠はこちらの方が好感が持てた。
手に持つ手紙をテーブルの端に置き、イエスと応えるかわりにチャールズのもとへ駆け寄った。
「チャールズは、私の付き人の前は何をしていたの?」
皿を受け取りながら聞く。
「何をしていたと思います?」
どうやら、質問に質問で返すのが彼の十八番らしい。
瑛瑠は、テーブルに置くと答える。
「家政婦。」
チャールズは笑う。
「そうかもしれませんね。」
そして結局教えてはくれない。
わかってはいるが、つかめない人チャールズである。
だから今は深く聞かない。カードはまだある。
「これ、家の人に渡してって。」
端に置いていた渡された手紙。
渡す間、ずっとチャールズの顔を見ていたのだが、
「ありがとうございます。何でしょうね。」
とだけ。
だから、
「鏑木先生に渡されたの。」
と言う。不思議そうなチャールズにおかしな点は見受けられない。いっそ、自然すぎて不自然なくらいに。
「……私の顔に、何か?」
問われ、諦める瑛瑠。チャールズが手に持っている、最後の料理を受け取った。
「何でもない。」
チャールズが笑ったのを後ろに感じる。
「お嬢さまもまだまだですね。私に鎌をかけようなんて100年はやいんです。」
瑛瑠は少しむくれた顔をする。
「直球でも変化球でもだめならどうしたらいいの。」
「魔法でもかけてみては?」
「……チャールズの人でなし。」
「ええ、魔法使いさんですから。」
ぐうの音も出ない瑛瑠だった。
チャールズはそんな瑛瑠に微笑む。
「昼食を終えたら、少しお話ししましょうか。」
瑛瑠は頷く。
席について、いただきますと手を合わせた。
チャールズの前には今日もお皿はなく、コーヒーだけ。
おいしいと伝えると、チャールズはよかったですと微笑む。やはり何にも手をつけない。
「あなたはカフェイン以外のものを摂ってはいけない病にでもかかっているの?」
そう言われたチャールズは面白そうに笑った。
「お嬢さま、なかなか言いますね。
でも、昨日はレモンティーも出したでしょう?」
「あなたは液体でできているのかしら。」
「あながち間違いではありませんね、お嬢さましかり。
食後にはハーブティーをお出ししますよ。」
みーちゃん》
今日もお疲れ様っ!よしよししたい。
私は息が止まりそうだよ…嬉しくて。
本当はもっといろんな人を出したいのにのろのろすぎて涙でる。
ため息をついてしまう瑛瑠。
「幸せが逃げますね。」
まだ言い負かし足りないのだろうか、この青年は。
「ため息くらいで逃げる幸せなら手放すわ。」
ぱく、とサラダのてっぺんのミニトマトを頬張る。
チャールズは唸る。
「うーん……どうせなら、黙って肯定して深呼吸する方が私は好きですね。」
瑛瑠が睨み付けた先の碧眼はとっても透き通っていて。
「私、やっぱりチャールズには勝てない。
可愛いげがなくてごめんなさいね。」
完全にそっぽを向いてしまった。
そして、完全に苦笑いするしかないチャールズ。ハーブティーの前までに、どうにかして難しいお嬢さまの期限を直さなきゃなあ と席を立つのだった。
みーちゃん》
君、ほんとにかわいいね(誰だ)
めちゃめちゃかわいいよぅ……。
めんこめんこしちゃう。
ああ、私たちのこのレスの返し合いは、端から見てどう思われているのだろうね(笑)
PS》
ここまで見てくれている方に、感謝と共に脱帽いたします。
いつも楽しみにしていただき、ありがとうございます。そして、不定期過ぎるPSのチェックをありがとうございます。
ため息をつくと幸せが逃げる、について少しお話をと思いました。
個人的にはため息はあまり人前でつくものではないと思っていて、聞き苦しいから、それを諫めるための口実として使っているのだと勝手に解釈しております。リラックス効果があるなどはよく聞きますが、やはり聞いていて気持ちのいいものではないなあと。しかし、言われたら言われたで鼻につくのも否めませんね。私もまだまだ子どもです。
そこで、みなさんならこのチャールズの言葉にどう返すかなと、気になりまして。
ここに気づいてくださった方だけでいいので、ぜひあなたの返答を聞かせてくださいね。
席をたったチャールズは、もらった手紙を持ちソファの方へと行く。
その様子を、瑛瑠は盗み見ていた。しかし、図ったのか背中を向けられていて、表情は読み取れない。再びため息が出そうになる。
のを、堪えた。思い出す先程のやりとり。
子どもっぽいなあと嫌になる。
手紙を見るチャールズの背中に声をかける。
「ねえ、チャールズ。」
たたむ音と共に振りかえる。
「どうしました?」
「私って子どもっぽい?」
「ええ。事実、子どもですし。」
予想通りすぎて返す言葉もない。
「私からすれば、お嬢さまはずっと子どもですよ。たとえ成人の儀を迎えても、結婚してお妃様になっても、死を迎えるときも。」
相変わらず綺麗に微笑む。
現実を突きつけられた気がした。パプリエールである自分の現実。自分はどっちだろう。体裁を気にせず、断然刺激的な瑛瑠の生活。そして自由。
こういうことがあると、本当に通過儀礼的であると思う。そう、言われてはいるけれど。
「親みたいなことを言うのね、チャールズ。」
悟られているのだろう、チャールズのことだから。しかし、そう振る舞ってはいけないような気がして、殻を被ってしまう。そう振る舞うことこそが子どもっぽいことに、まだ子どもである瑛瑠は気付けない。
「そのようなものですからね。」
読んだのかそうでないのか悟らせない紙は、封筒に元の形におさめられた。
また、よくわからないことを言う。
そんなチャールズは、瑛瑠の食事の進行具合をみてお茶の準備を始めた。
「ごちそうさまでした。」
「はい、お粗末様でした。」
片付け始めるチャールズを見て、瑛瑠も食器をさげ始める。あえてチャールズは何も言わなかった。
「さっきの手紙、何だったの?」
全ての食器をさげ終え、もう一度いすに座ると瑛瑠は聞く。チャールズは慣れた手つきでお茶の準備をしている。ティーポッドにお湯を入れると、優しい香りが漂ってきた。
「改めて来た、高等部についての説明ですね。」
たとえ嘘だとしても、ここまで自然に振る舞うようなことは教えてくれない。そろそろ瑛瑠も学んだ。
だから、今は目の前のことだけ見つめることにする。
「じゃあ、私から報告するね。
今日の指令は2つ。魔力持ちを見つけることと、人間に馴染むこと。
後者は思っていたよりも平気みたい。私も人間も、ほとんど変わらないということを知った。いいえ、まったくといっていいほど変わりない。だからこそ、前者は相当難しいのだとわかった。ほぼ除外していい人たちを見つけるのは楽だったのだけれど、確信をもって魔力持ちだと言えるのはひとりだけ。……正直、侮っていた。」
チャールズは瑛瑠の前にハーブティーを置く。
「上出来ですよ。それでもひとり見つけたのですね。」
微笑むチャールズの様子を見るに、予想していたのだろう。魔力持ちを見つけることが困難だということに。
褒めるチャールズに、瑛瑠は首を振る。
「教えてもらったようなものだもの。私は何もしていない。私がウィッチだと相手は気づいて、話しかけてきたの。」
チャールズは驚く。
「すごいですね。この状態の、しかもウィッチの魔力をキャッチするだなんて。」
ウィッチ,ウィザードは人間に1番近い種。そもそも人間という存在があまり知られていないため、魔界でこのように表すことはないのだが、一部の上級貴族の常識ではある。
自制がききやすく勝手が良い、保守的であり、兼ね備えている。その分、力自体が弱い傾向にあるウィッチ,ウィザード。
だから、争いになる前に避ける方法を考える知力に長けたということができ、一方で力では押し負けてしまう。
このような特徴のため、相性の悪い種族からは、小賢しいなどと煙たがられることもあると耳にしたことがあった瑛瑠。そこらへん、チャールズは人一倍だと思ったことには口をつぐんでおこう。
みーちゃん》
方言です(笑)
めんこい でかわいいっていう意味(笑)
愛らしい感が強い!と、個人的に思ってる。笑
おばあちゃんが孫に言うイメージかなあ。……私はお姉ちゃんでいたい←
だから、微弱なその気配を掴むことは至難の技であるということ。
それと同時に、魔界内で1番の優れたアンテナを持つ,空気を読む種もまた思い当たる節があって。
「まだいたのですね、そんな優秀な方が。」
まだ、ということは
「10年前にもいたということ?」
声に出すつもりはなかったのだろう。少し驚いた表情を見せた。しかし、イエスノー問題はさすがにはぐらかすことはできない。
「ええ。」
「ヴァンパイア?」
少し突っ込んで聞いてみる。すると、チャールズは答えてくれた。
「ヴァンピール、ですね。」
女性ということだ。
「それでは、お嬢さまの気配を察知したのはヴァンパイアの方なのですね。」
瑛瑠は頷く。
「ウィッチの魔力をキャッチしたアンテナと、八重歯が証拠。
ただ、いまいち信用に欠けるの。」
「……何故?」
「第一に礼儀がなっていません。そして、私の前の席を気を付けろって言うの。でも、前の席の方は彼よりよっぽど人柄はいい。言いがかりだと思ってしまう。」
チャールズは少し考え込む風だ。
キター、十年前!
そうかそうか、永遠の高校生ってのも魅惑的だなぁ…なんて、無責任に茶化していくスタイル(笑)
シェアさん》
さすがに西洋妖怪とはいえ、特殊能力を持つだけで人間とほぼ同じなので、年はとりますね…笑
うふふ、10年前。ちょっとずつだしていきたいんですけどね、なかなか。亀さんスピードで富士山登ってる気分です(めちゃくちゃ縁起良さげ)。
みーちゃん》
も、もじょか!?初めて聞いた…。
そりゃ、日本の北と南みたいなものだしねー。言語が違う(笑)
物語も、人生も
劇的な一日なんて滅多にないのだから
なかなか、のんびりいきましょう。
書き忘れたのだけれど男性形と女性形がちゃんと語尾が違ったりとか、エルの名前にどっちも王偏がついていたりとか(やっぱり王族の血?)、ちょっとした端々の描写がすごく好き。
いつでも若返れる種族とかいないの?←もはや無茶苦茶を云う
シェアさん》
嬉しいやら楽しいやら面白いやらで、ひとりでにやにやしちゃってますよ私(笑)
ですねー……ただでさえ初人間界なのに。これ以上瑛瑠ちゃんに負担をかけては潰れますね。そう言っていただけて嬉しい限りです。
口調を褒められるの嬉しいですね。ふふ、またにやけちゃう。話し方だけで誰だかわかってもらえるようにと、ささやかながら意識しております。
若返るだなんてそんな無茶なっ…!笑
魔力が万能である設定なら、禁断魔法的な位置で魔法使いさん使えそうですよね。でも残念、攻防のみなんですよー。
ただ、年齢変わらない,もしくは若返る設定は、使うと今後非常に面白くなりそうなので考えてみます…
口を開かないのを見て、そういえばと瑛瑠が言う。
「明日、委員を決めるみたいなの。制限はある?」
それに対してはこう答える。
「ありませんよ。
ただし、人間に正体をバレるような真似だけはしないでくださいね。」
気味悪がられるから、だろうか。瑛瑠は、魔女狩りの歴史を思い出す。人間が存在すると知った今、伝説だと思っていたあの話も、実話なのかもしれないと思ってしまう。
「一応、理由を聞かせて。」
覚悟が変わってくるのだ。
チャールズはひとつ息をつく。
「面白がられるからです。」
一時停止。思っていたのと違う。
「気味悪がられるからじゃないの?」
「このご時世人間たちは、彼らのいう超常現象とやらに寛容ですからね。気味悪がられるというよりは、もてはやされると思いますよ、魔法なんか使っては。」
やけに吐き捨てるように言う。
「変にまわりを刺激させてもいけませんしね。」
含みを感じたのは気のせいだろうか。
「そういえば、ヴァンパイアの彼がやったように、魔力を残すというのはどう?あまりにも短絡的?はやく見つかると思うのだけれど、魔力持ち」
「やめてください。」
やけに強く止める。
「……どうして。
ヴァンパイアは許されて、ウィッチには許されない理由はどこにあるの。」
焦っている……?
「彼にはきっと、何か考えがあったんです。そんなに簡単に、自分の居場所や正体を晒すような真似はしてはいけません。
それこそ、空間系を得意とするヴァンパイアにかかれば、魔力だけで生い立ちまで突き止めるような優秀な者もいるんです。先程、信用のおける人物ではないとおっしゃっていたでしょう。そんな真似はしないでください。」
深い深い碧に射すくめられる。
しかし、負けてはいられない。
「ねえチャールズ。何を隠しているの?この通過儀礼の目的は何?
最初からおかしい。おかしいことばかり。」
少し目を伏せる。そして、弱々しく言う。
「私、こう見えても不安なんだよ。よくわからない土地に来て、今までとはまるっきり違う生活で。関わったことのない人たちの言動に驚いてばかり。
……ねえ、この裏に隠されているものは何?」
みーちゃん》
雑談一辺倒(笑)楽しいからいいのよ。10回に1回でも詩に触れてれば上出来……。
嫌じゃないから大丈夫よ。かわいい。笑
レスありがとうです。
memento moriはラテン語で『死を忘るな』という意味でして。自分がいつか死んでしまうことを忘れるなと。amazarashi先生の「地方都市のメメント・モリ」からとらしてもらいました。
感想ありがとうございます。いやぁ、そんな風に思ってもらえるとは。うれしい限りです。またやってみようかなあっと。
LOST MEMORIES、安定の引きの強さですね。ゾクゾクします。また次も楽しみです。はい。
めめんとさん》
amazarashi先生でしたか!
アーティストさんの言葉選びも深く尊敬しますね。歌詞みたいなものはかけないな私は。
ぜひぜひ、思い付いたときにでも書いてみてください。私、楽しみにしてますから。
そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです。のろのろ亀さんですが、どうぞ生暖かい目で見守ってくださいな。
上目遣い炸裂。
チャールズはたいそう嫌な顔をして、人差し指で瑛瑠の額をついた。
思いの外 力が強かったのか、瑛瑠は軽くのけぞり、額を押さえる。
「何するの!」
「お嬢さま。」
声は氷点下。
「誰彼構わずそういうことをするんじゃありません。」
「ええ!?」
「その顔で言われちゃ、誰でも絆されてしまいますからね。」
そういいながら、まったく,とため息をつく。
「あ、幸せが逃げる。」
「揚げ足とるんじゃありません。」
くすくすと笑う彼女に苦笑しながら、口を開いた。
「不安、ですか?」
そう尋ねるチャールズの方が不安そうだ。
瑛瑠は試すように碧い瞳を覗きこんだ。
「そう見える?」
困った顔をするチャールズ。魔法使いだからといって、心が読めるわけではない。
「……わかりません。」
瑛瑠は優しく微笑んだ。
「思っていたほどじゃないの。
明日も、楽しみ。楽しいと思わなきゃ、損だから。」
チャールズは少し固まる。 チャールズの知っている瑛瑠は、もっとずっと幼かったはずだから。
みーちゃん》
えええええちょっとあなた!!
なんで…なんで…(言葉が迷子)
わーなんだかもうスンッてなる。笑
頭おっつかない誉め言葉をありがとう(滝)
ぜひぜひ!
「チャールズ、あなたは教えてくれないの?」
今度は普通に聞く。
馳せていた想いから脱け出すチャールズ。
「やはり鎌をかけようとしていたんですね。
そこまで不安はなかっただなんて、ハニートラップもいいところですよ。」
そう言いながらも微笑んだ。
「いずれ時が来れば言わざるを得なくなるでしょう。しかし、今はまだ早いです。
お嬢さまがおっしゃる通り、これはただのイニシエーションではありません。」
チャールズは、ふっと微笑みを消した。
瑛瑠の目も真剣になる。
「他の西洋妖怪も こちらに送り込まれていると前に言いましたよね。それには、付き人もついてきています。ですから私だけ、お嬢さまに口を割るわけにはいかないのです。
お嬢さまは先程、何を隠しているのかとお尋ねになりましたね。察しがよくて何よりです、推薦が通ったはずですね。」
推薦とは。
しかし、つけ入る隙もないチャールズの言葉によって霧散した。
「後ろには政府がいます。もっというのならサミット。
賢いお嬢さまなら、これが何を意味するのかわかりますね?」
サミットとは、魔界における各種の王達の集まり。絶対的権力者達。
もちろん、そのうちのひとりには、瑛瑠もといパプリエールの父もいる。
逆らってはいけない。干渉してはいけない。
「黙って従っておけと、そういうことなのね。」
規模の大きさに寒気が走る。
「サミットの存在をちらつかせて質問をかわすなんて、卑怯じゃない?」
「でないと、私の首がとびますからね。物理的に。」
少しとがった声で追及するが、チャールズは慣れたものだ。
「時が来れば言うと申し上げているじゃないですか。」
「本当にそんな時が来るの?」
冷めた目で見ると、
「来ない方が望ましいのですが。」
と、陰を落として言う。それがあまりにも思い詰めているようにも見えて、瑛瑠は次に続く言葉を失った。
「というわけで。これ以上この話については言及しないでくださいね。」
一瞬の隙をつかれて、幕を下ろされた。
サミットが隠したがっていること。隠さなければならないことがあるのだとしたら、それは一大事だろう。
しかし、それと人間送りがどう関わっているのかはまだわからない。詮索しすぎると、本当に首がとびそうである。それが、たとえ王の娘だとしても。
「サミットが関わっているということは漏らしてもいいの?」
探るように、恐る恐る聞く。これでチャールズの首がとんだなんて、人聞きの悪いことは言われたくない。
「だめですよ。」
「……今、私に漏らしたよね?」
「でも、お嬢さまは漏らさないでしょう?」
連帯責任に持ち込まれた。
これでは小賢しいなど可愛いげがある。抜け目なくて狡猾なのだと、瑛瑠は思わずにいられなかった。
さぁ面白くなってきたねぇ…(にやにや)
国家的陰謀なのか、もしかして人間界を密かに征服しようとか(笑)
可愛いみーちゃんに便乗して俺もタメでいくよー。
あ、ちなみにお二人のじゃれ合いは可愛いなーって思ってます(おっさん的発言)
みーちゃん》
滝(真顔)
こういうのはね、言い得て妙っていうのよ(自分でいうあたり)笑
あらまあ、シェアさんまで気付いてしまった。
めんこい、だよ、笑
シェアさん》
私、めちゃくちゃにやにやしちゃってます。いろんな意味で……笑
ただ 悲しいことに、詰まってしまいまして。濁点つけてああああって叫びたい気分です(笑)
土日でどうにかします。笑
ぜひぜひ、タメでどうぞ。いつぞやの、どう思われてるんだろうねに対する返答ありがとうございます(笑)
おじさんにはまだはやい…!お正月にお年玉くれる親戚のお兄さん←
みーちゃん》
白々しい(笑)妹から白々しい反応ってどうなの笑
私の1番好きな方言。
東北民に変身だねっ!(めんこいの守備範囲は北海道も入るみたいなので注釈もつけときます笑)
「ですから、お嬢さまは当初の目的を遂行するだけで良いのです。
人間界の視察と情報共有。」
軌道修正。名目はイニシエーションである。
「予想はしていましたが、ここまで話すことになるとは。」
ひとつ息をつく。
瑛瑠は冷めきったハーブティーに口をつけた。
「何も説明してくれないからよ。」
入れ直しましょうか,というチャールズの言葉に首を横に振って応え、言い訳するように言った。
「まだ、何かある?」
残りを飲み干して、瑛瑠は尋ねた。
「いえ、明日の確認くらいでしたよ。夕食の時にしようと思っていたのですが、どうしますか?一度、休憩を入れます?」
瑛瑠は横に首を振る。
休憩を入れたからといって何をするわけでもない。だとしたら、そのままの頭で話を聞いたほうが効率がいいというものだ。
「聞かせて。」
チャールズは頷いた。
「それでは、明日の確認をします。引き続き、魔力持ちを探すことと人間に馴染むことに重きをおいてください。
それと平行して、当初の目的も、少しずつ触れていきましょう。しかし、とりあえずは情報共有については考えなくても良いです。魔力持ちを見つけなければ始まりませんし、相手を見定めて共有者は選ぶべきですから。」
チャールズは瑛瑠を見つめる。
「それと同時に、お嬢さまも相手から見定められているということを忘れないでください。」
みーちゃん》
土日挟んでるから久しぶり感あるね。笑
わかってくれたか、めんこいのかわいさ!
なんか響きがめんこいよね(笑)
え、待って、めんこちゃんゼリーって、もしかして全国区じゃないの!?めんこちゃんゼリーって知らない??
「ヴァンパイアの彼が優秀だということを、あれだけのやりとりで知らしめられましたよね?
評価において、性格や過程は対象外。実力を相手に見せておくに越したことはありません。」
黙って聞く瑛瑠に、チャールズは少し表情を和らげた。
「お嬢さまは、私が見込んだちゃんとした力はあります。そこに関してはあまり気負わないでくださいね。」
また、そういう言い方をする。
「共有者は考えなくても良いですが、視察についてお話ししますね。」
ようやく、こちらへ送り込まれた表面上の1個目の目的だ。
チャールズは表情を変えずに言う。
「お嬢さま、"視察"の意味とは何ですか。」
不意討ちすぎる。が、瑛瑠は少し考えるようにしてから答えた。
「実状を知るために実際にその場に行くこと。」
付け加えてチャールズが言う。
「何らかの判断を下す目的で。」
何らかの、とは。
「ヒントはこれくらいですかね。」
優しく微笑んだ。
「イニシエーションはお嬢さまのものですから、采配はお任せしますよ。」
みーちゃん》
今更感強いけど、めんこちゃんゼリーて全国区だと思ってた…。
じゃあみんななんのゼリー食べてるんだろ…笑
えげつない実力社会…
ヤだなぁ。此処は人間界でよかった←
あ、駄菓子にはぜんぜん詳しくないけど、なんとかゼリーは見たことも聞いたこともないです(笑)
シェアさん》
シェアさんもちょっとぶりですね。えげつないですよー。この事に関してはそのうち例の彼が補足説明をいたします。いまだに出てこないという…恐るべし亀さん。
駄菓子じゃないですよ!?袋詰めされてますもん!こんにゃくゼリー並の知名度だと思っていた私。カルチャーショックですね。
お疲れ様です
めんこちゃんゼリー...。なんじゃらほい
意味深ワード炸裂。怖いわー(ノ゚ー゚)ノ
まだまだ楽しみにしてますよ✨✨
めめんとさん》
あなたからちょくちょくいただけるレス、嬉しいですよ( ´∀`) いつもありがとうございます。
ふふふ、はっただけあとで回収しなきゃいけないコメントたち。笑 チャールズは困った人です。
まだまだ意味深ワード炸裂させますよ、頑張ります。笑
みーちゃん》
みかんゼリー…ふつうにおいしそうだわ。
うん、ごめん…笑 ヴァンパイア、とってもかっこいいよ。ってハードルあげとく(笑)
とりあえず顔はイケメンさん。うう、頑張る笑
めんこちゃんゼリー、調べてみました。なんか東北限定みたいですね?!気になります...。
めめんとさん》
学校掲示板で聞いてみたんです。そしたら、東北の方々は知っていて、新潟の方も知っていると反応してくださいました。
凍らせて食べるのが好きです。笑
困惑する瑛瑠に、チャールズは優しく言う。
「今のところ急ぐ必要はありません。そもそも、期間は長くて1年。今日は1日目。何もなければそれに越したことはありませんし。
今は漠然としていますが、何かにあったったとき、きっとお嬢さまなら気付くはずです。これが求められている情報なのだと。
ですから、それまでは祝 瑛瑠としての生活を送ってください。」
瑛瑠は微笑む。飲み込めた。チャールズは、瑛瑠の采配でいいと言ったのだ。
「じゃあ、イニシエーションの内容については、個人的に行っていきます。そして、私の判断で、責任をもって行動します。だから、あなたはあくまで付き人。」
だから、私の勝手にさせてね?
続かない言葉を目で確認する。
「はい、お嬢さま。」
うやうやしくお辞儀をするチャールズの振る舞いは、位の高い人のそれであった。
やっぱりタダモノでないこの男(笑)
て云うか冒頭に出てきた(出てはこなかったか)教育係しかり、王女とかやんごとない方に何事の粗相もなく仕える使用人って実はすごいよね(笑)
そしてエルの人間力(?)がここから炸裂する、と。楽しみ楽しみ…(´ω`)
シェアさん》
チャールズさん。素敵ですよね(個人談)
彼はすごいです。なんかもう、すべてが(笑)
そもそも位高くて家事できるって笑
ですね。まあ、粗相がないとはいえ、慣れは入ってくるので、パプリエールお嬢さまにため息ついたり、結構な態度ではあるんですけどね(笑)
「ごちそうさまでした。」
ハーブティーの入っていたカップを少し前に押す。
「んー、長かった!」
やっと解放されたというように伸びる。チャールズも少し疲れたように微笑った。
「ほんと、ひやひやしました。相変わらず鋭いんですから。」
また、だ。
瑛瑠は冷ややかな目を向ける。
「あのねえ、チャールズ。昨日から聞いていれば、私に対して随分と知った物言いをするじゃない?私の質問覚えている?初めましてか聞いたときに、もちろんって答えたのは誰?
そこまで分かりやすく言われちゃ嫌だよ、私はあなたのことを知らないのに。
いつ会ったの、私たち。」
また、かわされると思ったのに。
また、笑って流されると思ったのに。
切ないような寂しいような哀しいような、そんな表情。
言葉がでない。
反応に遅れる。
チャールズはそのまま切なげに寂しげに哀しげに微笑んで、瑛瑠の頭をくしゃっと撫でた。
「どうして……」
「はい、ちょっと休憩しましょう。
なかなかの長時間をよく座っていられましたね。」
今度はちゃんとかわされた。チャールズが立ち上がり、二人分のカップを持つ。
昼食のまま放置されてた食器を洗い始めた。
――傷つけた?
わ、かわいい。二人とも。
異界に舞い降りた、たった二人の仲間って感じで…
イケメンは嫌いだけど()、たとえば美男美女の痛い処を突かれたような一瞬の微笑みって大好き←悪趣味
ピータん、せっかくだからタメでおいでー。
シェアさん》
こう見えて10歳差(笑)
私はイケメンさんもかわいこちゃんも大好きです←
えええ、そんな。それこそ、瑛瑠ちゃんの癖みたいなものですよー笑 だんだん解放していくかも……!笑
なんだか急に変えちゃうと、はずかしいようなこそばゆい感じがしますね。照れちゃいます(笑)
瑛瑠はどうしたらいいのかわからなかった。
撫でられた頭に少し触れる。先のチャールズの表情が頭から離れない。
傷つけたのはどの言葉だろう。皮肉めいて放った言葉ばかりで、思い当たる節しかない。しかし、なぜ傷ついたのかに思い当たる節は全くない。
ひとり気まずくなり、切り出す。
「私、部屋に戻るね。」
できるだけ、明るい声を出すように努めたが、それができていたかはわからない。
「はい。お疲れ様でした。」
チャールズは至って普通だった。
部屋に戻るなりベッドに倒れこむ。しばらくはぼーっとしていた。
さっきのは何だったんだろう。
ちらつくサミットの存在と、自分の人間界送り。付き人には、一連のことが知らされているようであった。
任せると言われた視察。そもそもなぜ自分なのだろう。パプリエールは、王の一人娘である。唯一の継承者。もし何かあっては大問題である。
今までの護衛ありきの生活にうんざりもしていたが、こう急に自由になってしまうと、追放されたような寂しさや悲しさがある。たとえ、イニシエーションだとしても。
だからこそ、共有者をはやく見つけたかったのも事実で。チャールズはまだ考えなくていいと言ってはいたが、心の安定に、瑛瑠が欲しているのである。ただ、並外れたアンテナがないぶん、それが難しいだろうことも予想できているのだが。
唯一の心の拠り所であるチャールズとも、今は居にくい。あれでは、どこに地雷があるかわからない。
「やだ……」
思わず出たそれは、静かに部屋に吸い込まれた。
なんだかんだ16歳だなぁ…可愛い(笑)
え、ピエール…じゃなかったチャールズか。10違いってことは俺といっしょ!?(早生まれのため同級生は26)
なに、そしたらちょうど曰わく付きの10年前に…え(笑)
ヤバい、混乱してきた(笑)
クールに見えてときどき人間的(って不適切?w)な温かみが覗くあたり、ピえ…チャールズも可愛いよ。
(お嬢様、そんなに改まったことばを遣うんじゃありません、ってくしゃっと頭撫でてやる←セクハラ)
シェアさん》
16歳、思春期、葛藤ド真中。まあ、人間界の話ですが(笑)
比較的私は登場人物みんな大好きでいるようにしているので、瑛瑠ちゃんはひたすらかわいくて私は大好きです笑
なぜピエール…?笑 わお、年齢的にいえばそうなりますね。曰く付きかー…もしかしたらもしかしてたかも??笑
チャールズ氏も好きです。いとおしいです。笑
(こ、子供扱いしないで!←瑛瑠が言われたんだか私に言われたんだかわからなかったのでどちらともとれるように笑 タメはまだ難しいですよー、ずっとこれでしたもん!笑)
みーちゃん》
うん。かっこいい、かっこいいよ、ヴァンパイア。
話自体は進まってるんだけどね、紙で。私がここに打つの遅いっていうのと、あんまりスパン短く載せると私の長文でここの掲示板埋め尽くされちゃうっていうのでなかなか進まないんだよね(笑)
学校始まると今度はチャールズ出てこなくなるし笑
昨日学校掲示板で聞いてみたら、新潟の子も知ってた!
結構普通のゼリーだけどね(笑)
*
「はやくきて!はやくはやく!」
「待ってください、パプリ。そんなに焦らなくても、お花は逃げないよ。」
少女というには幼すぎる女の子が、後ろからついてくる少年に手招きをする。
咲き誇る花たちが眩しい。
ここは、先を行く女の子たっての願いで決まった行き先、お花畑。
花が 蝶々と二人を歓迎する。
「おそいっ!おいていっちゃうんだからね!」
ぷうっと桃色の頬を膨らませ、走り出す。肩についた蜂蜜色の髪が揺れる。
「ちょ、危ないから!」
女の子の足がもつれた。
少し焦って追いかける。
さすがに、5歳の少女には悠に追い付いた。
「ごめんなさい……」
肩に手を置かれ、止まる女の子は反省した様子で。
「怪我がなくてよかったです。」
にっこりと微笑まれることで、女の子もくすぐったそうに微笑う。
「行きましょう。」
腕を差し出すと、女の子はその腕に抱きついた。
「うん!大好き!」
少年は、その子の頭をくしゃっと撫でた。
*
でた!回想シーン
これ、ふわっと微睡んだときの夢なんでしょ?ドラマなら白っぽいふわふわの画面になって、軽くエコーがかかるやつ(笑)
近所の男の子にしては…う〜ん?そもそもお城の近所の男の子と遊んだりするのかな(笑)
従兄や秘密の兄貴にしても関係性が…
lost memoriesと云うからには、この記憶は今まで封印されていたわけよね。つまりなにかの魔法で?それとも事故かなにか…
でも王室の退屈な(失礼だけどたぶん)生活のなかで、たかだか10年前の記憶がすっかり埋もれてしまうなんて…
…ん?また十年前(笑)そうか、このときのピエールは成人の直前か!でも長くても一年のイニシエーション(ってそもそもなんなんだろう)が明けてから彼は何してたの?家政婦?笑
うむうむ…楽しい(笑)
シェアさん》
きました!回想シーン!笑
え、どっからこの話なった?とか言われなくてよかったです←
ふふ、今回 回想はこれでおしまい。
もー、一体これ全部回収できるのでしょうか(笑)乞うご期待!ですね。笑
いろんな憶測してくれちゃって構いませんよ。
5歳ですねー。一応今の瑛瑠ちゃんは15歳ですか。16の成人のためのイニシエーションですもんね。ということは……。
ふふ、ここで題名に触れてもらえると嬉しいですね。lostですからねー。
チャールズさん、何気家政婦が天職なのでは(笑)
うふふ、そう言っていただけて嬉しい。
みーちゃん》
白髪よっ!白髪碧眼長身イケメンっ!笑
あんまり表立ってイケメンとして押してないけど、ジェントルマンよ??ベリーベリー紳士。私も好き。
これ、元々中1のとき書いてた話なんだ。それをリメイクしてるの。でもね、大まかな流れが同じでも、中学生の私の脳みそなんて空っぽ同然でね。まあ、稚拙の極みだからほぼ新作なんだけど。笑
だからこそ、はやくいろんなキャラ出したくてね。
みーちゃん》
まじでか…うれしい、ほんとうれしい