サザンカの月第三日。
一年も終わりに近づくと、「年の日」を祝うためにトルフレア人が各地から帰ってくる。そのためか、ソルコムは人で溢れかえる。もちろん、ケンティライムに向かう人も大勢だ。そんな帰国者たちのお陰で、不運にもアーネストは自分の足でケンティライムに向かわねばならなくなった。貸馬屋で馬を借りようとしても、この先20日間予約みっしりだ、わっはっは!と言って大笑いで帰された。あそこまでほくほく顔の貸馬屋は見たことがなかった。
そして、ラルシャル大通りライネン宅前。
「今行くことはないんじゃないの?もう少し暖かくなるのを待った方が......」奥さんのエナは途中で食べるようにと焼いてくれたレンコン入りのミートパイを渡しながら言った。
「うーん、国王さんも早く来てくれって手紙に書いてたしね。それに、王都での『年の日』の祭りはすごいって聞いたし、一度見てみたいと思ってたんだ」
アーネストがそういうと、エナは寂しそうな顔をして言った。「そう......今年は『年の日』を一緒に過ごせないのね......」
「そんな顔しないでくださいよ、奥さん。今生の別れじゃないんだから」
「いや、案外そうかも知らんぞ」ライネンが低い声で言った。「ダルケニアは雪国だからってトルフレアの冬をなめてかかってるんだろうが、あの山脈を足で越えようと思ったら、相当な覚悟は必要だぞ。まして真冬なんぞは生きて帰れんかも知らんな」
ライネンがそう言うと、エナは顔を歪め、今にも泣き出しそうだ。
「ちょ、ちょっと!ライネンさん脅かさないでくださいよ。奥さんもほら、泣かないでったら」
ニヤニヤしているライネンに顔をしかめて見せながら、アーネストは言った。
ヤジウマくん≫よくわかったな。て言うかなんとも奇遇な話。これは盛大に祝わねば。
冬の山危ないです。でもまあここで死んだら話にならないので(身も蓋もないことを言う)
「大丈夫ですよ、奥さん。僕だって冬の山の危険性ぐらいわかってますし、何より僕一人じゃないですから」
そう言ってアーネストは横を見た。視線の先には、路肩に座り込んで木切れをナイフで削る黒い目の少女。
「シェキナ、そろそろ行くぞ。支度は、良いのか?」
「ん、ええいいわよ、アーネスト。いつでも」
シェキナと呼ばれた少女は、短いブルネットの髪をかき上げて言った。
シェキナ・アビスタシ。アーネストと同じソルコム経済学修学院に通う貸馬屋の娘だ。
そう、その貸馬屋とは他ならぬあの貸馬屋である。馬は貸せねえが、うちの娘なら貸してやるよ、わっはっは!と言って、連れていくように言ってきた。シェキナ本人も大してまんざらでもない顔をして、一度ケンティライムに行ってみたかったの、なんて顔を赤らめながら言うもんだからたまったもんじゃない。
接点がなかったわけではない。同じ講義も幾つか取っていたし、一緒にお茶したこともある。しかし、それだけだった。アーネストは彼女のことを何も知らなかった。
なんでこんなことになってしまったんだろう。とれだけトホと嘆いても、流石に今から帰ってくれなんて言えない。
ただ一つ幸運だとすれば、彼女は何度か徒歩でかの山脈を越えたことがあることだった。しかしその彼女も冬のアイネ・マウアは初めてらしい。大丈夫か?
「あんまり遅くなっても名残惜しくなるだけだし、もう行きます」
「そうか。気を付けろよ、アーネスト」
「わかってますよ、ライネンさん」
「あ、そうだ、」
「?なんですか」
「アーネスト」
「はい」
「どさくさに紛れて押し倒したりなんか「んなことしませんよッ!!!」
さっきからライネンがニヤニヤしていたのはそのせいか。
「アーネ、行っちゃう?」
その腕に抱かれているカルクは、対照的にしょんぼりとした顔をしている。アーネストはその頭を撫でた。
「大丈夫、兄ちゃんすぐ戻ってくるからな」
カルクはこくりとうなずく。アーネストはその顔にニッと笑いかけると、矢筒と弓、肩掛け鞄を担いだ。
「それじゃあ、行ってきます!」
二人の過酷な山越えの旅が始まった。
レスありがとうございます!
そんな褒めてくださってありがとうございます( ..)"
memento moriさんこそめっちゃ長く書かれてて凄いです!私は長く書くとすぐ矛盾が生じてしまうので短めのしか書けなくて(笑)
今後ポエム掲示板や学校掲示板で書き初めと終わりを募集してそれで書いていくという勝手な企画を始めようと思うのでその時はぜひお願いします!
アイネ・マウア山脈は古い言葉で『テ・トルフィ』と言うらしい。『3層の山』という意味だそうだが、その名の通り、この山脈は3列に山々が列なっている。ソルコム側の山々を、『テ・エスト』、ケンティライム側の山々を、『テ・ウィゼ』、真ん中は『テ・ランデ』と言うらしい。その語源までは、流石のアーネストも知らない。ちなみに、『トルフレア』と言う国名は、この『トルフィ』から来たと言う説があるが、定かではないらしい。
そして、残念なことにこの山脈の登山道は、テ・エストのソルコム側、テ・ウィゼのケンティライム側にしかない。つまり、この旅は、道なき道を進むことになる。
「で、ホントにこっちであってるのか、シェキナ?」
真っ白な雪道の真ん中で、怪訝そうにアーネストは言った。
「大丈夫よ、アーネスト。この道を通ったのもそんなに前のことじゃないわ」
「それならどうして僕らはあの山脈に背を向けているんだい」
シェキナが振り返ると、なるほど、荘厳な山々がそびえ立っているのが見える。それも遥か後方に。
「うーん、おっかしいな......」
「きっと雪が積もってるから道が解りにくいんだ、あっちの方向へ向かってみないか?」
「...そうね、アーネストがそう言うなら」
なんとも頼りない二人である。先が思いやられそうだな...。
国の語源まで(定かでないところも含めて)作り込まれてる世界観がすごいです。
ピーターパンさんのロスメモとはまた違った感じで楽しませてもらってます。
フラクターさん≫レスありがとうです。
そうです。ロスメモとは全然違います。何より魔法が出てこない(はず)ですしね。
そうなんです。この説は定かじゃないのです。そこら辺も何卒御注目。
アーネストって英語で正直で信頼できる人を意味してるんですね!
知らなかった~
流石フラクターさんの言う通り世界観がしっかり出来てるだけありますね!!!
(少し上から過ぎました。すんません)
ヤジウマくん≫よく気づいた、てか調べたんだな(笑)けっこういろんなところに隠してるよ、そういうの。今後もいろんな言葉が出てくるから気にしてみてね
「そう言えば、」
まるで他人行儀を通したような二人はいっこうに会話を交わさず、気づけばテ・エストの中腹に差し掛かっていた。いつしか黄昏も近づき、気温が下がりだした頃。出し抜けに、アーネストが切り出す。
「僕、シェキナのこと全然知らないんだけど」
「ん、そうなの?私はよく知っているわよ、アーネスト・アレフさん」
「イナイグム・アレフ」
「あら、ミドルネームじゃなかったのね」
「アレフは民族名だよ。てか、そんなことはどうだっていいんだ。一緒に旅する仲だ、もう少し君のことを知りたいんだけど」
「あら、大胆なのね」
「そういう意味じゃない」
辺りは次第に暗くなり、月明かりが目立ち始めた。登山道に積もる雪が白く光る。
「先にこの辺りで夜営できる場所を探さない?暗くなってくると夜行性の獣が活発になるわ」
「そうだな、今日中に頂上まで辿り着くのは厳しいかもしれないな。ほら、あそこに岩屋みたいなところがある。行ってみよう」
二人は確かな足取りで、道を外れて小さな洞窟に向かった。人が二人入る分には十分な大きさだ。
「ここならいいだろう、十分。どう、シェキナ」
「そうね、こんなところがあるなんて知らなかった。...にしても寒いわね」
「そうだな。まず火を熾さなくっちゃ」
アイネ・マウアの夜は暗い。町の灯りが全く届かない高さまで来ると、月のない日はそれこそ目と鼻の先でさえ全く見えなくなる。幸運なことに今日は満月だが、暗いことに変わりはない。そんな闇に、パチパチと焚き火のはぜる音が響く。
アーネストは、燠になった部分を掻き出して、エナのミートパイを温め始めた。
シェキナの意味も気になったから調べてみたんですけどロックバンドがよく言う
「シェキナベイベー!!」の意味とかがでてきました。
多分シェキナベイベーとかの意味じゃないですよね?
ヤジウマくん≫Shake it up,baby!!!
シェキナはShekinah Gloryから来ています。意味は調べてみてね
今回のタグにも注目
Shekinah Gloryの意味カッコいいっすね!
あ、凄い。タグの記号みたいなの今気づきました
あの記号は何を打ったら出てくるのか…笑
あんな記号初めて見ました
クセのある記号あんまり知らないんで…
知ってるのはΨくらいかな?
なんて打ったら出てくるか知ってます?(どうでもいいけど)
ヤジウマくん≫「プサイ」だな。ギリシャ文字には強いぞぉ(どうでもいい)
ちなみにアレフはヘブライ文字ですℵ
そうです!!
さすがですね~
ちなみに「ぷしー」って打ってもでてきますよ~
(これまたどうでもいい)
そういやすっかり忘れていた解説を(もしかすると誰も見てないかも泣)
アーネストが「イナイグム・アレフ」と言ったときに「あら、ミドルネームじゃなかったのね」とシェキナが言っているのは、アーネストの言い方が「イナイグマレフ」というようなものだったからです。オヅタルクニアの文化では、二つ合わせて名字なんですね。
「美味しそうなミートパイね...。ひどい飯テロだわ」
岩屋に立ち込める芳醇な香りに鼻をひくつかせ、シェキナが言った。
「...飯テロってなんだい?」
「そんなことも知らないの、飯テロって言うのは.........何だったかしら?」
時たま現代語が混じるのは、作者の欲求不満と自己主張と個人的な趣味である。気にしてはいけない。
ともあれ、二人の話である。
「これも今日までだ。そんなに長く持たないからな。明日からは、運が良くて鹿肉だな」
そう言うとアーネストは、焚き火の端にあった燃えさしを拾い上げ、壁に何か書き始めた。シェキナはそれを不思議そうに眺めている。暫くガリガリと言う音が岩屋に響いた。
「よし、書けた」
出来上がったのは、なんだかミミズがのたくったような(よくある表現なんて言わない)よくわからない、絵?シェキナは眉をひそめた。
「何を書いたの?」
「ん、これは、ケンティライムまでの概略図だ」
...そう言われてみれば、三本の山脈を一本の道がくねくねと跨いでいるようにも見えるが......絶望的に下手だ。シェキナはさらに眉間にシワを寄せて言った。
「それで?」
「うん、ちょっと今後の話をね」
そう言うとアーネストは、さっきまで背を向けていたシェキナに向き直ると、(彼によると)地図を指しながら話し始めた。
飯テロのくだり笑ってしまいました笑
確かに、ありますね。
世界観に合ってないけど、使いたいとき…
「今いるのが、ここ、テ・エストの中腹だ。テ・エストは三山脈で一番標高が低いから、明日か明後日には越えられるだろう。そんで、ここに集落がある。今歩いている道はこの集落に繋がってるんだ。ここで少し食べ物を買うなりして、休む」
アーネストはそう言うと、一番右の楕円っぽいもの(おそらくテ・エストなのだろう)を指さして、その奥の麓をグリグリと塗りつぶした。
「ただ、小さい集落だから、大したものはないかもしれない。憲兵も最近は視察にいってなかったみたいだからな。まあ、気性の荒い民族ではないから、きっと大丈夫だろう」
燃えさしを焚き火に戻した。火の粉がパッと上がる。
「言ってることはわかったわ、でも、」
シェキナが口を開いた。
「ほんとにそんなところに何かあるの?そんなところに集落があるだなんて聞いたことないわよ」
「ま、無いなら無いでいいさ。少なくとも廃墟ぐらいならあるだろ。薪ぐらいあるって」
「そうね、通り道だし、別になんてこと無いんだけれど」
「あったらラッキー、くらいだな。さ、ミートパイ食おうぜ」
話している間にパイは少しばかり焦げてしまっていた。それでもパイの中身はまだしっとりしていて、レンコンの歯応えも効いている。パリッとした皮の食感も楽しめた。雪の日は食べ物が傷みにくいのがいいよな、などとアーネストは独りごちる。
「ほんで、はっきのはなひのふどぅきなんだけど」
「なんて言ってんのかわかんないわよ」
口一杯にパイを詰め込んで話すアーネストを、シェキナが窘める。アーネストは近くの雪を一掬いすると、口に含んで流し込んだ。
「っん゛、さっきの話の続きなんだけどさ」
「さっきの話って?」
「ほら、君は僕のことよく知ってるようだけど」
「ええ、アーネスト・アレフさん」
「だから、イナイグム・アレフだっての」
「ああ、そうそう、イナイグマレフ」
「うん、けど、僕は君のことなんにも知らないなって」
「アーネストのスペルってErnest?」
『Ahnest』
「あら、そうなの」
「えっ、いましゃべったの誰?」
「さあ、なんだか上から聞こえてきたけど」
ちなみにこの世界に英語の概念はない。彼らが喋るのはフレア語である。
「て言うかそんなこと訊いてない。僕が知ってるのは、君がシェキナ・アビスタシだってこと、貸馬屋の娘ってこと、僕と同じ経済学の講座をとってるってこと」
「それだけ?」
「それだけ」
「それはひどい話ね」
あぐらを組んでいた足を投げ出し、少し仰け反ってシェキナが言った。
「私はあなたがネウヨルク出身ってことも知ってるのに」
「いやごめんっ...てなんで僕の故郷知ってんだよ」
「ライネンさんに聞いたわ」
「おしゃべり......」
「ともかく、別に私のことをわざわざ話すこともないわ。どうせ二週間近く一緒なんだし」
「確かにそうだけど、なんか不公平って言うか...」
「そんなことないわよ。あなた、私の故郷知ってるでしょ?」
「......ソルコムだろ?」
「ほら、おあいこじゃない」
「うーん、なんか煙に巻かれた気が...」
アーネストは焚き火の火をつつきだした。火の粉が再びパッと上がる。
「ま、良いか」
「わかってくれたならいいわ。それより、この間来てた旅の楽士、あの人凄く良くなかった?」
「ああ、覚えてる覚えてる、盲目の六弦琴弾きだろ?」
「そう、私あの声どこかで聞いたことが......」
夜は更けるばかり。焚き火が崩れて、三度火の粉を上げた。
轟音とは、こういうもののことを言うんだと知った。
明くる日のこと。
「うーんっ、よく寝たあ」
「ホント?私体がカチコチなんだけど...」
「まさか、今まで岩の上で寝たことがなかったり...」
「ま、普通に暮らしてたらそうある話じゃないわよ」
そう言ったシェキナが首を横に曲げて手で引っ張ると、ゴキゴキっと音がする。うわあ、と顔をしかめるアーネスト。
「どっか折れてるみたいだ」
「何言ってんのよ」
肩、腰、脚と順番に体をほぐしていくシェキナ。そのたびにすごい音がなる。
「さあ、朝食でも探しに行くわよ」
「そうだな、登ってくるときにおそらく鹿の足跡っぽいのが向こうに続いてたからいるかもしれないな。昨日の晩の雪でだいぶ消えちゃってるけど」
「そんなの見つけてたの?」
「まあ、ね。確かあっちの......」
アーネストが岩屋の出口に近づき、外に出ようとする。と、そのとき、はっとアーネストは足を止めた。
「どうしたの、アーネスト」
「シッ.........。何か聞こえないか?」
「??いえ、何も...待って、なんだか低い音がなってるみたい。重たい家具を動かしてるときみたいな......」
「やっぱりそうか、聞き間違いなら良かったんだが...」
「え、何、どうしたの?」
「これはまずいかもしれん......どうする...?」
「ちょっとなんなのよ教えてよねえ!」
オヅタルクニアではこんな音を聞くのは日常茶飯事だった。でも、こんなにも大きな音を聞いたのは初めてだ。それもそうだ、いつも遠くから眺めているだけなのだから。そう、この音の正体は............。
流れに乗り遅れた私、土曜の夜、めちゃんこ忙しいにも関わらず『This is the way.』をここまで完全に読みました。本当はもっとはやくレスするつもりだったのだけれど、ここまで引きずってしまったのは、連投についていけなかったというわけで。めめんとさん、序盤すごくペースはやいんだもん。笑
アーネストの追体験をしているようで、読み進めていてわくわくしました。レス欄もチェック済みです。
カルク可愛すぎて無理、パイめっちゃ美味しそう、アーネストがシェキナのこと何も知らないの、結局それでいいのね、などなど様々突っ込みながら楽しみました。
世界観、魅力的です。続きも楽しみにしてます。
ピーターさん≫ちょっと待って、ニヤニヤが止まらない(照)こんなタイミングで来ると思ってへんかったから不意打ち過ぎてちょっとなにいってるかわかんない落ち着く。
ペース速かったのはごめんなさい。自分でもあんなに速く進むとは思ってなくて、そのツケが来たのか今想定外のアクシデントが二人に降りかかっています(作者も想定外)テ・エストも一筋縄ではいかなさそうです。
カルクかわいいですよね!今後出てくる予定があったりなかったり(適当)
このパイはうちのオカンがよく作るのを参考にしたんですよー(どうでも言い話)
シェキナの話は後々きちんと話されるので乞うご期待。
今後ともどうかよしなに
「雪崩だ」
「え、何て?!」
「これはまずいぞ...!」
音はだんだん大きくなってくる。間違いなく、この岩屋の入り口の真上から来ている。
「...嘘、この音雪崩なの?!」
「そうだ!」
「でも普通雪崩ってこんなに音しないんじゃ...!」
「この雪崩は普通じゃないんだよ!!!」
そう、トルフレアでは滅多に起きないが、オヅタルクニアではしょっちゅう起こるこの雪崩。尋常ではない轟音を響かせ、近くにいた小動物はあまりの音に気絶するという。人々はこれを、『ティルダの怒り』と呼んだ。
「いいから耳を塞げ!!!!」
「...何て???!!!!!聞こえない!!!!!」
轟音はますます近づいてきている。アーネストは素早くシェキナを抱き寄せると、左耳を自分の胸に押し当て、右耳を右手で塞いだ。同時に左手で自分の右耳を、肩で左耳を塞ぐ。
パッと、岩屋の中が暗くなった。雪が入り口を塞いだのだ。シェキナがキュッと身を縮める。アーネストはいっそう強くシェキナを抱きしめた。
暫くすると、塞いだ耳に聞こえていた微かな轟音もおさまり、入り口を塞いだ雪の向こう側の日が薄く見えるほどになった。アーネストはホッと胸を撫で下ろすと、シェキナを抱き締めていた腕を解き、入り口の方へ向かった。少し雪をかくと、光が一筋差し込んだ。
「うん、閉じ込められはしなかったみたいだ。良かったな、シェキナ.........シェキナ?」
振り向きながらアーネストがそういうと、シェキナは顔を真っ赤に染めてへたり込んでいた。心做しかアーネストを睨み付けているように見える。
「どうしたんだ、シェキナ。あっ、まさか息できてなかった?」
「......何でもない!」
むすっとした表情のまま、シェキナはすくっと立ち上がると、入り口の方へツカツカと歩き、入り口を塞いでいた雪を蹴飛ばした。と、雪がドサドサッと崩れ、乾いた雪が舞い上がる。当然のように咳き込むシェキナ。「なんなのよホント...」とブツブツ言いながら岩屋の外に出ていってしまった。
「あっ、おいちょっと待てよー!」
慌ててアーネストが追いかける。薄暗い岩屋に、燃え残った焚き火のあとだけが残された。
アーネスト積極的~
ロスメモで言う所のOTかな?笑
雪崩のことを「ティルダ(冬の女神)の怒り」
って…センスの塊じゃないっすか!
憧れる…
ヤジウマくん≫そうなんですね~。
ただの雪崩ではないのです。(意味深)
災害のことを神の怒りというのは色んな文化でよくある話でして。それに倣ったわけです。
OTにも困ったもんです。
サザンカの月第三日って…
もしかして12月3日ですか?
もしそうなら、その日僕の誕生日です!
アーネスト大丈夫かな?
冬の山は本当に危ないからな~
アーネスト気をつけて!