A:うがあああぁぁぁ…ふぐしゅるるるるる…
B:え、何?何だって?
C:え、まじか。
A:あぐぅぅぅるるるる…ふがらぁ
C:へえ、そうかい。
A:あぐ……うらがああああ!
C:ほお、そりゃあ良い。
A:が…ぐるる…ぎぎ?
C:いや、そこはもう片方のやり方でね…
B:ちょっと待って。C君なんで分かるの?
A:あぅぁ…えがららああ!!!
C:え、君分からないのか?そいつは奇遇だな。僕もだ。
B:お前も分からないで言ってたのか…。
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D:おーいA!お前いったい誰と話してるんだ?
A:いや、何でもない。ちょっとオバケっぽい何かを見かけたから適当に話しかけてみただけ。
D:おいおいまたかよ。あんまり怖いこと言うなよな。
A:あいつら面白いんだぜ。何言っても変な鳴き声でしか返さない。「がるるー」「うしゃああ」ってさ。
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B:人間って、変な言葉使うよな。
C:本当にな。何言ってっかまるで理解できん。
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解説
A、Dは人間です。Aにはオバケの類が見えます。Dには見えません。B、Cは人外の何かです。何かは分かりません。彼らはお互いが何言ってるか理解できていません。お互いに相手の言葉は変な鳴き声で聞こえます。
夜とも朝ともつかぬ淡い色をいっぱいに湛えた明け六つ、まだ微かに寝息が聞こえる長屋に面した細い路地に若い女の絶叫がこだまする。
女はへたりと地べたに尻もちをつき、片手で口を押さえながら震える体を辛うじてもう片方の手で支えながら後退りしているところだった。
「ひっ、人が…人が死んでっ……!」
女が指差す方には、仰向けに倒れている男がいた。目をかっと見開いているが、ぴくりとも動かない。気付けば背後にはわらわらと人が集まっていた。
「死人か?」「誰か死んだのか?」
「待て、こいつ、息をしている。」
男の鼻に掌をあてると、ゆっくりと呼吸をしていた。瀕死の呼吸、というよりは寝息のようなものだった。
野次馬がざわめく。ひとりの野次馬が言った。
「おい、こいつ、なんだか酒臭くねぇか……?」
そう言ったのはなかでも異常に鼻が良いことで有名な男だった。言われてみれば今更だが、酒臭いような気がする。一瞬の静寂が落ち、次の瞬間には大きな笑いが巻き起こっていた。
「ひっ、ひひっ、なんだぁ酒飲みが酔っ払って寝てただけじゃあねぇか大袈裟な!」
「いやぁーそれにしても、目を開けて寝る輩がいたとは。」
確かにそうである。目を開けて寝る奴なんてそうそういるものではないだろう。しかしこのまま寝かせておくわけにもいかない。
「ほらお前さん、起きな。」
男の脇腹をぽんぽんと叩く。男は余程酔っているのだろう、全くもって起きる気配がない。
しかしその瞬間、不意に男の眼球がにゅるりと一回転した。全員が息を飲む音が聞こえた。
この世のものとは思えない不気味さに空気が震える。
しかしそれ以前にひとつ、気付いてしまったことがある。左目の下の泣きぼくろ。その斜め下の頬についた小さな古傷。
見れば見るほど、その姿形は自分自身ではないか……。
なんかこんな落語を聞いたことがあるようなないような
「なあ、多々良木。祭りにお面っていうのはやはりどこの世界でも共通なのか?」
木村が指を指した方向にはお面屋がある。
今日は祭日であり、そのお面屋の前では着物姿の子供が母親にお面を買ってもらっている。多々良木はしばらくその様子を眺めてから、言った。
「まあ、定番だよな。お面」
「妖怪がお面を被って、なにか楽しいのだろうか」
お面を買ってもらっていた少女には、狐の耳と尻尾がついていた。そして隣を歩く多々良木には鬼の角が生えている。
「どういう意味だ?」
「そのまんま。妖怪が妖怪のお面被って何が楽しいわけ?」
件のお面屋で売られているのは妖怪のお面である。妖怪のお面を妖怪が買って妖怪に化けるなど、変な話である。
「そりゃあれだろ。”妖怪じゃない奴”が来ても祭りを歩けるようにだろ」
「つまり?」
「つまり妖怪と”妖怪じゃない奴”――人間はひと目見て区別できるだろ?それじゃこの世に来た人間は祭りを楽しめない。なんたって人間は空想上の生き物だぜ?奇怪な目で見られるに決まってる。だからお面を被ってひと目で判断できないようにしてるんだ」
「へぇ」
「昔ばあちゃんから聞いた話だ。木村もなんか被ってみるか?」
「ああ。それじゃあ鬼の面、かな」
「おっ。俺と同じ種族になるってぇか。はは。いいな。んじゃ買ってくるわ」
「多々良木」
「なんだ?」
「ありがとな」
「いいってことよ。だからちゃんと祭り楽しめよ」
「ああ」
空想上の生き物が頷いた。
〜〜〜
妖怪は日本人が様々な現象に人格を与えたもの、と思っています。
この物語、舞台が妖怪の世界なのですが、まるまる人間の世界に置き換えるとって思うとわくわくしませんか? 祭りでお面をかぶっている人の中に妖怪が……。まあまつりでお面被ってる人なんて見たことありませんがね。
すごいです。。
流石としかいえないですねもう。
その発想はなかったです。
ちなみに狐のお面とか良いですよね。
母が子に、あるお話を聞かせてあげていた。人間と鬼がまだ共存していたときのお話を。
その話を遮ったのは子。
「お母さん、今も鬼は居るの?」
我が子の問いに、母はその顔を優しく、愛しさに満ちた目で微笑みながら、
「今も居るわよ。」
とそう言う。
「鬼も人間も、何も変わらないのよ。それぞれの持つ能力が少し違うだけ。……それを、受け入れられなかったのは人間。人間は、弱いの。」
彼女の顔に陰が落ちた。
よくわかんない。まるでそう言うように、子は母を見つめる。
「でも、朔も蒼もかっこよくて、藤姐が美人さんだってことは、よくわかったよ。みんな強くて、……薊も、みんなも、辛いってことはよくわかった。」
母は子に尋ねる。
「鬼、恐いかしら。」
子は、その声の震えに気付いていた。首を横に降ったのは本心。
「会ってみたいな。今もまだ居るのなら、会ってみたい。」
辛そうに苦しそうに、そのくせ嬉しそうな、感情がない混ぜになった表情の母は、人間と鬼が共存していたときのお話,朔が薊を救うまでの物語を紡ぎ出すべく、再び口を開いた。
PS》
以前書いていた鬼ノ業というお話に関連したもののため、読んでいた方がより楽しめるというつくりになっております。もちろん、読んでいなくても、私のもののけに対する考えた方が伝わるように書くよう努めました。
そもそも私のかくものは、ロスメモをはじめ鬼ノ業、UFOの落ちた夏、どれもスピリチュアルなものがテーマとなっていて、それらは人間が気付かないだけで共存しているものであると示しています。そういった考えを改めて示してみたのが、今回のお話でした。
すごい続きが気になりますね……!
でも1話で終わりって言ったの私なんでしょうがないです笑
鷹尾ちゃん》
どうもありがとう。
ロスメモ終わり次第、また鬼ノ業書こうかななんて。
続きが気になるなんて、嬉しい褒め言葉をありがとう(*^^*)
鷹尾≫「16歳のピーターパン」でまとめを探すんだ...!
鬼の業については俺もまた読みたい。まとめになりきってないとこもあるからなあ
めめんとさん》
まとめになりきってないとこがあることを知ってるだなんて(笑)
あれ載っけてたの3年くらい前よ笑
和の世界観大好きなので、ロスメモが終わり次第、ね。笑 洋からの一気な転換だあ…。
めめんとさん》
まとめになりきってないとこまで知ってくれていてありがとう(笑)
鬼ノ業はちゃんと終わらせてあげたのをみんなに報告したいので、ロスメモ終わり次第、ですね。笑
たそがれどき。ハイタワーマンションのエントランス。たたずむ黒いスーツの男。白いワンピースを着た、長身細身の女が入ってくる。女が男に歩み寄る。
「あの、すみません」
「はい。何か?」
男が怪訝そうな目つきで女を見てこたえる。
「道に迷ってしまいまして、今晩泊めていただけないでしょうか」
「この先にビジネスホテルがありますよ」
「お金がないんです」
「はあ」
「お願いします泊めてください。何でもしますので。機織りが得意なんです」
「ああ、そういうの、うちは間に合ってるんで」
「……実は……わたし、先日助けていただいた鶴です」
「鶴を助けた覚えなどない」
「またまたあ。助けたでしょ」
「助けた覚えなどないって言ってるでしょ」
「とにかく助けていただいたんです」
「しつこいなあ。警察呼びますよ。どこかほかあたってくださいよ」
「そんなわけにはいきません。助けていただいたからには恩返ししないと」
「だから助けた覚えなんかないんだって」
「いいからいいから。あ、ほら、お金もうけしたくありません?」
「こう見えて僕は年収百億だ」
「お金はいくらあっても困らないでしょ? もうけさせてあげるからさぁ〜。泊めてよ〜」
「駄目だと言ったら駄目だ。金もうけの才能があるんなら自分のためにつかいたまえ」
「ああそうですかっ。なんだよっ。ばーかばーか」
女去る。奥から男の秘書らしきが出てくる。
「会長、いまのかたは」
「うん。どうも鶴の化身らしいんだ。本当かな」
「まさか」
秘書が長い牙を見せて笑う。
「そうだろうな。鶴が狼のにおいに気づかぬわけがない」
「会長、尻尾が見えています」
「これは、わたしとしたことが」
「お疲れのようですね」
「罠にかかったのを助けてもらった恩返しにちょっと手伝っただけのつもりがこんなに大きな企業に発展させてしまうことになるとは。もうやめようにもやめられない。困ったもんだよ」
黒いスーツの男が、苦い笑いを浮かべた。
「なあ」
「なんだよ」
「驚かないのか」
「ああ」
「変なやつだな」
「それほどでもない」
「それにしても」
「何さ」
「こんな寒い部屋に一人なんて寂しいな」
「お前がいるよ」
「何言ってんだ、俺はお前だよ」
「そういえばそうだ」
「そして俺と話してるってことはお前さんは████だ」
「何て言いぐさだ」
「そうは思わないか」
「ああそうだよ、俺は████だ」
「全く自分と二人暮らしだなんて」
「やってらんないよ」
「長い付き合いだがな」
「分かり合える日が来るとも思えないよ」
「全くだ」
「...寒いな」
「暖房は」
「電気止められた」
「そうだったな」
「昨日バイトもクビになったし」
「金も借りっぱなしでな」
「その話は今しないでくれ」
「...悪い」
「いつになったらこの部屋から出られるんだろうな」
「お前が俺に勝ったらな」
「...なるほどな」
日とは様々なものを物の怪と言って怖れますが、一番の『物の怪』は自分自身ではないでしょうか(持論)
誤字:日とは→人は
最近「人」って打ちたいのに「日と」ってのは出てくる
また新しい考えですね……。
全ては自分自身。確かにそうなのかもしれないです。勉強に(?)なりました。
このまま
仲間はずれでいい
それが僕にはお似合いだ
それぐらいがちょうどいい
わかってるから
今更謝らないで
優しさに溢れた傘を僕に差し出さないで
僕に近づくためにわざわざ決意をしないで
この雨に今は打たれたいんだ
僕に優しくしないって約束して
わかってるから
僕が突き放したからって
その優しさを涙に変えないで
今度は僕が
傘を差し出してあげるから
「貴方って変わらないのね」
都会から田舎へと戻った貴方
誰か分からないくらい成長して
だけど今日もまた
十数年前に私を見たときと同じ顔
昔からずっといる君
歳をとらないことを恨むように生きている
僕は知ってる
時間が進まない命は何よりも悲しいことを
「君も変わらないままだよ」
「むきむきになりたい。腹筋ばっきばきになりたい。でも筋トレするのはしんどいなあ。腹筋ベルトは高いし」
とあるアパートの一室。見るからに頭の弱そうな青年が鼻くそをほじりながらそうつぶやいた。すると。
「よおっ」
着物姿のイケメンが現れた。
「なんですかあなたは」
「この世ならざるものとでも言っておこう。お前のような怠け者の願いをきいてやるのがわたしの仕事」
「やったー。僕、筋肉むきむきになりたいんです」
青年は小躍りした。
「こんな便利な世の中に生きてて過剰な筋肉など必要なのかね。それに人間には殺傷力のある道具を作る知恵がある。無駄な筋肉なんかはいらない」
「あの。願いを人生相談みたいにきいてあげるだけってことじゃないでしょうね」
「はは。まさか。ところであらかじめ警告しておくが、願いをきくのは三つまでだ。三つきいたらお前の魂をいただく」
「べつにいいですよ。僕は筋肉が欲しいだけなんだから」
「では、この薬を飲みたまえ。一回三錠だ」
この世のならざるものが袖口から茶色い薬瓶を出した。青年は薬瓶から錠剤を振り出した。
「うわー、なんかいかにも効きそうな色だ。……ごくっ……ぐあああああっ……ああっ、すごい。腕がギリシャ彫刻みたいだ」
「ふふん。どうだ」
「鏡見てきます。……うわあああっ」
「どうした? 全身むきむきだろうが」
「こんな不細工な顔じゃあ女の子が寄ってこないよ」
「亀の甲羅でも嚙み砕けるそしゃく筋だ」
「顔は普通でいいんですよ。元に戻してください。ああでもそうしたら願いが二つに」
「失敗は成長に必要なコストだ。この薬を飲みたまえ。一回一錠だ」
この世ならざるものが今度は青い薬瓶を懐から出した。
「はあ〜。ごくっ……ぐああああ……はっ。あれっ? 全身元に戻ってる」
「元に戻せと言っただろうが」
「いや、僕が言ったのは……」
このあと、思いもよらないトリッキーなオチが用意されているのだが、字数の制限に引っかかってしまうので割愛する。
何それめっちゃ気になる笑
酔って帰宅し、玄関に倒れ、猫が死にかけのゴキブリをもてあそんでいるのをぼんやりながめた。果たして俺は生きているのか死んでいるのか。
「この世は本当に存在しているのか。すべては幻ではないのか」
俺はつぶやいた。すると、「人間は外部を知覚し、考察を加えることによって現実をものにするのだ」という声が部屋のどこからかきこえた。
「誰だあんたは」
俺は転がったままたずねた。
「この世ならざるものとでも言っておこう」
声のするほうに目を凝らすと、着物姿の、人間に似ているが人間ではないと思われるたぐいのものがこちらを見下ろしていた。
「なるほど。急に目の前に現れるなんてまさにこの世のものとは思えない」
俺は起き上がり、流しの水道からじかに水を飲んだ。
「さっきからいたよ。急に現れたように感じたのはお前がぼうっとしているからだ。鍵ぐらいかけておけ」
「べつにもう。どうでもいいんだ」
俺はそう言って口をぬぐい、座り込んだ。
「ずいぶん病んでいるようだな」
「いまを生きているという実感がないんですよ」
「若者なんてだいたいみんなそんなものだろう」
「そうかな。でも、病んでいるんです」
「いま生きているかどうかなんてどうでもいいではないか。人間は未来を志向する生きものだ。樹木を傷つけて一定時間経過後、染み出してきた樹液を食すサルなどもいるが、人間の未来志向にはおよばない」
「未来なんて不確かなものですよ。妄想の産物でしかない」
俺がそう言うと、すり寄ってきた猫をなでながらこの世ならざるものが言った。
「人間は現実より妄想依存型なのだよ。確かないまより不確かな未来。人間はパンによってのみ生きるのにあらず、妄想の力によって初めて人間として生きる。幻を生きるのが人間なのだ。お前はいまでさえ幻と感じている。完璧だ」
「よくわからないけど、少し希望がわいてきました」
「正月休み、あるんだろ。ちょっと遠出してみたらどうだ」
「はい。久しぶりにツーリングに行ってみようと思います」
数時間後、高速道路の中央分離帯で俺は血を流してうめいていた。見上げると、あの、この世ならざるものが、笑顔で立っていた。こういうのをもののけというんだろうな、と薄れゆく意識のなか、思った。
最後の衝撃がすごいですね……
皆様こんにちは。あけましておめでとうございます。今年もたくさんの綺麗な作品に出会えるといいなと思っております。
そこで。私初めて企画をやってみたいと思います。お題は……『もののけ』です。
人ならざるもの、妖怪やらおばけやらのことですね。今回はそれについての皆様の概念とか考え方とかそういうものを表して欲しいと思います。
勿論、"もののけ"って単純に妖怪とかのことを指しているわけでもないと思うんですよね。
✰⋆募集要項⋆✰
・タグは『もののけがたり』でお願いします。
・ポエムはいくつでも可。ただし小説はひとつの
書き込みで終わる短編のみとする。
・「もののけ」という言葉をいれなくても可。
それぞれのレス欄に解説を書いてくれると分かりやすいかもです。
あとは基本的に自由に適当にやってください。
その他に質問があったら是非レスでどうぞ。
私も出来るだけタグが付いているものに関しては見ます。たまにレス飛ばします。
それでは皆様の作品楽しみにしてます。