題名を見ての通り予告編です。都立の合格発表が出たので、ポエム掲示板ついに解禁しました(書き込みの解禁。受験期真っただ中でも皆さんの作品はずっと見てました)。2月の都立入試直前に思いついてしまった物語を、来週の月曜日、3月4日より連載していこうと思います。連載は、できたら平日はほぼ毎日(テスト期間中は休むけど…)。でも長い休みの時は一日にいくつも書き込むかもしれません。で、どんな物語かというと…それは皆さんの目で確かめていただきたいと思います。謎だらけに今なってるけど、連載が始まれば謎は解けていくと思います。では3月4日の22時台に「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」ついに開演です。それでは2日後に、ここで会いましょう。以上!!
寿々谷(すずがや)市には、こんな都市伝説がある。
―寿々谷駅前で、ショッピングモール以外で一番背の高い建物の屋上には、”死に神”が現れる。
こんなの、ただの都市伝説だ、そう多くの人は軽くあしらうだろう。だが、わたしはただの都市伝説だと思わなかった。
だからこそ―わたしは本気で、”死に神”に会いに行こうとした。
でも駅前には、背の高い建物はいくつもある。普段だったら、無理だとわたしは諦めるに違いない。
だけど、何としてでも”死に神”に会いたいから、手当たり次第に”死に神出現候補地”に上っていった。
そして、その”候補”の最後の一つ、古びた雑居ビルの螺旋階段を上り切った時―
そこに、”死に神”はいた。
最初は、しゃがみ込んでうつむく小学生だと思った。…だが、その手には、巨大な鎌が握られていた。
やっと見つけられた! 嬉しくて思わず話しかけてしまった。
「…あのぉ…もしかして…」
”死に神”は、はっとしたように、だけどゆっくりと振り向いた。
その容貌は、奇妙なものだった。
何かジョジョっぽい。
レスありがとうございます!
ふぇ⁈ そうですか…⁈(思わぬ反応にこれしか言葉がない…)
ジョジョといえば前に友達が担任の先生と熱く語り合ってたな~ わたしには到底理解できなかったけど…
真っ黒なパーカーで、そのフードをしっかり被った少女。
下はデニムのショートパンツと黒タイツ、そしてありふれたスニーカー。髪はギリギリ肩につかないぐらいの長さだ。―だが、その目は恐ろしく鮮やかな赤紫色だった。
「…なに」
暫くの沈黙ののち、”死に神”は問いかけた。その声からは警戒心が剥き出しだった。
「あ、あの…”死に神”さん、ですよね?」
恐る恐る尋ねると、”死に神”は舌打ちし、立ち上がってこう言った。
「ごあいにくだけど違うね。そもそも、神なんてこの世に存在しない。いたらここまで酷い世界にならなかったハズだよ?」
このときわたしは驚いた。”死に神”は、わたしよりも頭一つ分背が小さいのだ。「じゃ、じゃあ…何なの?」
”死に神”の口調に気圧されて、わたしの声は震えた。
「何って…聞きたいっていうのかい?」
わたしは深くうなずいた。”死に神”じゃなければ、何なのか。
「…ボクは”ネクロマンサー”、和訳すると”死霊使い”」
”ネクロマンサー”はそう言って両腕を広げる。
「ネクロ、マンサー…」
「そうさ、都市伝説上の存在じゃない。第一、どっかの誰かさんがボクを見て”死に神”だと思っただけなんだろう?」
どうやら都市伝説は都市伝説のようだ。それに気付いて、思わず落胆する。
「…そもそも、何で”死に神”なんぞ探してんだよ」
そう言って、ネクロマンサーはわたしを睨む。
「それは…」
「それは?」
一瞬ためらったけれど、一つため息をついてから、わたしは吐き出すように言った。
「…殺してもらうためです」
「フン、なんなら、他にも方法はあるじゃねぇか」
うつむくわたしをネクロマンサーは鼻で笑う。
「自殺するのは怖いんですよ!」
「ってことは生きたいって意味じゃん」
ネクロマンサーは平坦な声で言う。なんだか彼女が恐ろしくなってきた。
「…何で死を願うんだよ」
ネクロマンサーの赤紫色の目が、じっとこちらを見つめる。言いたくないけどわたしは話すことにした。
「…生きてても意味がないもん」
その言葉を聞いて、ネクロマンサーは苦笑する。
「そもそも人間に、生命に、存在する意味はないよ。ただ、そこに在るだけ。でも、人間はいつの時代も、どんな場所でも、そういうことを気にするんだよ。だから神とか、宗教とか作ってすがったり、生き甲斐、とやらを探したりするんだよ」
ネクロマンサーさんのその考え方、気に入った!
この手の長編が増えるのは嬉しいことです。これからも頑張ってください!
レスありがとうございます!
…なんか、うれしいです…(まぁ、ネクロに言ったら「あっそ」って言うだけかもしれないけれど) 頑張って連載します! これからも応援よろしくお願いしますm(__)m
いつの間にか彼女はわたしの近くまで来ていた。その赤紫色の目が、わたしの目を―むしろ、その奥にいる弱いわたしを、覗き込んでいる。
「ボクだって、アンタみたいに死を願った時がある。―でも、今は違う」
彼女の言葉を聞くうちに、彼女が人間じゃないような気がして、思わずこう聞いた。
「あなたは―人間じゃないの?」
フッと彼女は笑った。
「ボクは人間だよ。ただ、持っている”力(モノ)”が違う」
「もの…」
「そうさ、モノだよ。力だよ。だから、アンタとは同じで違う」
その目の赤紫が、濃くなったような気がした。
「ねぇ、じゃあ、その”力”って…」
そう言いかけたわたしを、彼女は面倒くさそうに遮る。
「聞くな。それ以上聞かないほうがいい…帰る」
そう言って、ネクロマンサーはわたしの横を通り過ぎ、わたしの後ろにある螺旋階段を下りて行った。
不思議なことにその手には、あの巨大な鎌はなかった。
「帰るって…」
わたしは彼女が去っていった螺旋階段を、ただ茫然と見ることしかできなかった。
〈1.ネクロマンサー おわり〉