Uminohi

病み上がりだからと言うあなた
本当はカナヅチなの知ってるの
サンダルで足跡を追いかける
ふくらはぎのとこ蹴ってみれば
くすり指だけマニキュアの色
青に変わったの気づくかしら

何色の夏が2人を待ってるかな
小さな変化にも気づいてあげて
セミの鳴き声 聞こえ始めた
7月の第3月曜日

慣れない自転車でついてきた
ビーチに着くまでのあいだずっと
シャツからのぞく背中見ていた
どこか懐かしさを感じながら
時々こっちの方振り向くあなた
わたしのペースに合わせるの

何色の夏が2人待ってるかな
近づきすぎずに 離れすぎずに
なまぬるい風 顔にあたる
7月の第3月曜日

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-07-26 17:28

放課後ソーダ日和

終業式が終わった放課後
人目を盗み立ち寄った
静かな路地裏の喫茶店
なつぞら色に輝くソーダには
真っ白なアイスクリーム
その上には甘酸っぱいチェリー

ソーダ越しの君が微笑む
愛しくて 恋しくて
ストローで空っぽにしたいぐらい

クリームが溶ける前に
泡がはじける前に
ふたりが混ざりあう前に
チェリーは最後のお楽しみ

ソーダ越しの君が微笑む
愛しくて 恋しくて
ストローで空っぽにしたいぐらい

僕のクリームが溶け
君の泡が弾けた
でもその瞬間が、一番幸せ

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-07-26 17:28

一輪花火

人ごみでもすぐわかる
白いワンピースがまぶしい
暗闇でもはぐれない
ずっと一緒だと思ってた

かき氷を突かせながら
9月に留学するのと言った
君のブルーハワイが
何故かいつもより青かった

hyu〜 don parapara…
ー 図書館 ビーチ 喫茶店
君との夏の思い出が
夜空に咲いては消えてゆく
段々激しくなる音は
9月までのカウントダウン

hyu〜 don parapara…
終わりを告げる一輪花火
そっと目を閉じると
ぼんやり残像と火薬の匂い
まぶたの中の花火は
実物と違って 青くみえた

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-08-05 16:12

Blue Moon

I ask for the "New Moon"
月が隠れた真っ暗な夜空に
「会わせて」とないものねだり

I promise the "Crescent Moon"
「月末には絶対会おう」と
叶えられそうにない約束をした

I bark at the "Waxing Moon"
「今から会いに行くさ」と
できもしないことを騒ぎたてた

Man in the "The 14th Moon"
明日が来るのが待ち遠しくて
「月のうさぎ」が君にみえた

Once in a "Blue Moon"
長い間待ってた僕は君と
月明かりの下でひとつになった

Over the "Full Moon"
満月を超えるほどの幸せと
明日からかけてゆく月と日々

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-08-12 20:42

スコールが過ぎぬまに

ーここで見た虹を覚えてる
バンコクのドンムアン空港
終了間際の保安検査場
姿なくなるまで手を振った

このスコールが過ぎた頃
あなたははるか空の上
2人の距離が縮めたローソク
今にも消えそうな火

授業を抜け出して
タクシーに飛びのった
フロントガラスを叩く雨
ワイパーと心の鼓動はMAXに
doku doku dok dok dododd…

ー 私は今、虹を見ている
バンコクのドンムアン空港
滑り込んだ保安検査場
ラゲッジの波に飲まれるだけ

面と向かって言えずごめんね
ラーゴーン カップ(さようなら)

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-08-07 16:30

青いしおり

休みの電話を入れた 雨の月曜日
いつもと逆向きのバスに乗った
行き先には見覚えのある文字
ガラガラの車内 一番後ろに座る

曇ったガラスに震える手で描いた
似顔絵でしか見れないあの人の顔
いびつな輪郭につぶれた目と鼻
お手本がないと上手く描けないよ

休みの電話を入れた 雨の月曜日
いつもと逆向きのバスに乗った
着いた先は見覚えのある図書館
あの人が好きだった本を手に取る

青いしおりに震える手で書いた
「今でも好き」と名前を明かさず
あの人の開きクセがついたページに
そっとはさんで本棚にもどした

もしかしたら もしかしたら……
似顔絵じゃなく会えるかもしれない
わずかな望みを青いしおりに託して
私は帰った 何も変わらぬ日常に

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-08-01 16:59

休日エーガ日和

ポスターの前で待ってる間
君に会うのが待ち遠しかった
上映前の予告 見てる時のように
悲しいシーン となりを見ると
暗闇に輝くサファイアが
君の清いあの涙は忘れない

「続編も一緒に観に行こうね」
でも、その願いは空しく
2人はエンドロールを迎えた

1人で訪れたあのエーガ館
去年の恋 忘れたつもりだった
チケットの半券 ちぎるように
悲しいシーン 滲むスクリーン
右手に落ちたサファイア
こんなにも清い涙は初めて

君も今頃何処かのエーガ館で
同じ続編 観てるだろうか
同じシーン 泣いてるだろうか

2人とも去年の恋を思い出して

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-07-30 18:59

二人の抜け殻

茶色い髪に破れたジーパン
近所の夏祭りで見かけたとき
声をかけることができなかった
握る手の先には一回り年上の
一回り背の高いmatureな女の子

人は皆、自分の抜け殻を
夏の片隅に忘れてしまう

2年前の夏祭り一緒に行ったね
クラスメートを見つけると
少し離れたところ歩くあなた
手を繋ぐのが恥ずかしくて
私の着物の裾ぎゅっと握ってた

人は皆、自分の抜け殻を
夏の片隅に忘れてしまう

イヤリングに真っ赤な口紅
ラムネの底に自分の顔が映る
気づけば私も変わってしまった
中のビー玉のように輝く瞳
あなたは今でもgenuineな男の子

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-07-31 17:00

Aoi空

電停に立つふたり
"時のトラム"が通過した
愛だけを奪って
乗り遅れたふたりは3年後、
"時のトラム"にのった

きっと、3年前も今も
ふたりは手を繋いで歩く
ただ一つだけ違うのは
そこに愛はない
今では気心知れたfriend

展望台に立つふたり
一緒に行った街のエーガ館
今では跡形もなく
オフィスビルが建っている
台風一過の空を写して

きっと、74年前も今も
頭の上には一面のAoi空
ただ一つだけ違うのは
2羽の白いハトが
平和な時を運んでること

パラレルスペック
男性/21歳/大分県
2019-08-14 18:47