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「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」5つ目のエピソード「クラーケン」の後半戦、⑫~㉒のまとめ。

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑫

「なーネロ…」
耀平もあきれたように苦笑いながらネロを見る。
…多分ネロが気まずいのって、さっきのアレかな…と、わたしは思った。
さっき、美蔵とネクロマンサーとコマイヌが遭遇した時。
あの時ネロは状況が呑み込めないのか、固まってたし。
もしかしたらわたしに原因があるのかも…
なんとなくそう思えてきてしまって、ちょっと気まずくなってきた。
でも気まずいからってここから立ち去るワケにはいかないし…聞きたいこともあるし。
これ以上気まずくならないうちに、聞きたいことは聞いちゃった方が良いかもしれない。
そう思って、ネロに尋ねようと口を開こうとした―が。
「…あ、」
何かに気付いたような師郎の声に、わたしは気をひかれてしまった。
「何?」
「あ、いやー、そこの角に何かさっきいたなって」
彼は何か面白いものを見たのか、ちょっと笑いながら駄菓子屋の近くの角を指差す。
「確かに…いた」
黎も何か見たのかポツンと呟いた。

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-01 00:11
  • 何ィッ!?別のやつですと!?それは楽しみ!

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-01 20:43
  • レスありがとうございます。
    さぁ何でしょうねぇ?(笑) 楽しみにしていてくださいね…
    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-01 21:19
「クラーケン」後半戦スタート。

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑬

「…何がいた?」
ネロも気になっているのか、耀平の陰から顔を出す。
「クッ、まぁ言ったらつまらなくなるんだがな…」
師郎は何か意味ありげに笑いながらネロの方を向く。
「でもどうするかな~、とっ捕まえるのもアレだし…てかネロ、お前なら誰だか気付いてるだろ」
ニヤリと笑う彼の目は、見たことはないけどどこか悪賢い狼のようだった。
「…なんとなく」
そうポツッと呟くネロを見て、師郎はククッと笑って元の方向を向いた。
「…じゃ、ちょっと捕まえてきますか」
「…え、どういうこと?」
話の意味が分からなくて、わたしは少し戸惑った。”捕まえる”、って…
「あーおれ何か分かったかも」
「え、分かるの?」
耀平は師郎が言ってることが分かるのか、クスっと笑う。
「でもそれでいいのかよ?」
「ま、責任は俺が取るんで」
師郎はそう言って、路地の角の方へちょっと駆け出した。
「…オレも行く」
そう言って黎も立ち上がった。

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-01 23:28

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑭

「…ねぇ、あの2人は何するつもりなの? ていうか、何がいるの?」
2人が少し離れてから、わたしは耀平に尋ねた。
「え? えーとな~…」
「耀平それ以上言うなよ」
わたしの質問に答えようとした耀平を、急にネロが遮った。
ネロは耀平の肩を強めに掴んでいて、明らかに何かあるような気がした。
「…へいへい。でもきっと、何かわかったらお前ビックリするだろうなぁ」
「…はぁ」
やっぱり何の事か分からなくて、わたしはぼんやりとしてしまった。
ちょうどその時だった。
何かがいたっぽい角の方から、師郎たちの話し声が聞こえた。
「…なぁお前何やってんの?」
「…」
「てか隠れてるとかさ…いっそこっちに引きずり出してやろうか?」
「…⁈」
「隠れているより姿が出ていた方が面白いだろう? なぁ? 墨イカさんよぉ?」
少し抵抗されながらも、師郎が路地の角にいる誰かの腕をぐいと引いた。そして角から姿を現したのは―
「―美蔵ぁ⁈」
わたしは思わず叫んだ。

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-02 23:34
  • お前だったのか!やっぱり!それより墨イカか。良い渾名だ。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-04 20:53
  • レスありがとうございます。
    フフフフフ…ええ、アイツだったんですよ(笑)
    ちなみに墨イカなんて呼んでいるのは師郎ぐらいですね('ω')

    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-05 14:25

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑮

「―なっ⁈」
美蔵は驚きのあまり目を見開いた。
「え、どういう…」
何でここに…とわたしが言いかけた、その時だった。
「―!」
目の前が、真っ暗になった。
さっきと同じだ、視界には何も映らない。
だが、闇の中から声が聞こえた。
「―どういうことだ?」
誰かの、多分美蔵が、静かに誰かに尋ねている。
「え、おれに聞いてる?」
耀平の、彼らしいぽかんとした声が聞こえた。
「…そう、あと死霊も」
「おいさすがにその呼び名はやめろ。せめて”使い”ぐらいつけろし」
ネロは不満げに言った。でもあれ、美蔵はネロが”死霊使い”と呼ばれるものだって知ってるの?
「まぁそれは良いんだけどさ」
美蔵は2人に向かって、1つ間を取ってから聞いた。
「お前ら、盛大なまでにバレちゃったじゃん。どうすんの? これから」

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-06 00:37
  • 読めば読むほどネロさんが可愛らしく思えてくる不思議。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-06 16:24
  • レスありがとうございます。
    そうかなぁ? 作者はそうも思いませんが…(笑)
    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-06 21:55

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑯

「…いや、どうするも何も。もうとっくにバレてるんだけど」
「え?」
すでに開き直っているネロの言葉に、美蔵は唖然とする。
「い、いやぁ~…ね、色々あってネクロがやらかしてバレちゃったんだよ、盛大に。だからもうコイツの前で異能力使っても別にいいんだけど」
「は…?」
耀平は苦笑いしながら事情を説明していたが、美蔵はイマイチ理解できていないみたいだった。
「ホントはさぁ~、バレたくなかったんだけどさぁ…てかアンタ、そろそろ解除してやったら? この状況だとあの女にバレてるよ? さっさともう1人の自分を引っ込めろよ、…”クラーケン”」
…”クラーケン”⁇ それって…とわたしが思った時、目の前が明るくなった。
「あっ、戻った」
さっきまで真っ暗だった視界は、元の通り路地裏が見えている。
「…フン、まさかまた異能力者の知り合い増やすとはね」
ネロが音もなくわたしの後ろから出てきた。
「アンタ常人の友達いないの?」
「いや美蔵は昔からの知り合いだよ!!」
「ホントに?」
「いやホントだよ…」
疑いすぎだよ…と思いながら、わたしはうなだれた。

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-06 23:44
  • まあ、主人公の性ですかね……。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-07 00:13
  • レスありがとうございます。
    まぁそうですね…それが主役です(笑)
    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-07 13:50

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑰

「てか、ケンジが異能力者だって事知らなかったのかよ」
「えっけ…」
なんか、美蔵のことを下の名前で呼ぶ人が珍しすぎて、わたしはちょっとびっくりした。
「いや別に人の事どう呼ぼうとこっちの勝手でしょ」
「あ、そうだね…」
ネロに真顔で言われて、わたしは沈黙した。
「…そういやケンジ、何でそこに隠れてたんだよ? なぁ」
こっちの会話が終わったのを見計らってか、師郎が美蔵に尋ねた。
「い、いやぁ~さっきアイツに異能力の存在がバレたと思ってあの2人を逃がすために能力使って自分も逃げたんですけど、また会いそうになったんで…」
美蔵は気まずそうに説明する。
「…だからどっか行くまで隠れてたんですけど」
「いや自分まで逃走する必要ねーだろ。あとこういう時に敬語使うな」
「あーはいはい…てか離してくださいよちょっと痛い」
美蔵は愛想笑いを浮かべて懇願する。が、師郎はまだ美蔵の腕を離す気はないようだ。
ふと、わたしはあることに気付いて美蔵に尋ねた。
「ねぇわたしすごい気になってんだけど…」
「何?」
美蔵たちはこちらに目をやった。
「美蔵とネロとか耀平とかって…どういう関係なの?」

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-07 23:57

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑱

「え、そりゃ…」
彼らの間に少しだけ沈黙が下りた。
「なんていうか、腐れ縁ていうか…」
「ていうか、前にクラーケンの能力でこっちが被害被って能力の本領発揮できなくて、その原因探ったら知り合ったというか…」
「ま、異能力者のよしみってやつだよ」
師郎はニヤリと笑って美蔵の腕を掴み直す。
捕まえられてる美蔵は何とも言えない表情を浮かべていた。
「はぁ…というか、美蔵の能力って何なの? ネロ達に被害があるってどんな…?」
「え、それ気になる?」
わたしの何気ない問いかけに、美蔵は嫌そうな顔をする。
「アンタも異能力者であることがバレたんだから言えば? 第一コイツに能力使っちゃったんだし」
ネロが美蔵の方を見て皮肉気に笑う。
「う~」
美蔵はがっくりとうなだれたが、すぐに顔を上げて自らの能力について話し出した。
「…僕の”クラーケン”の能力は『他人の視界をに奪う』能力。まぁ”視界を奪って”も、その人が見ている風景を見ることはできないけどね。もっと言うと、『他人を一時的に盲目にさせる』能力とも言えるな」

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-08 23:44
  • 目が見えなくなるんか……。恐ろしいな。けど何か『クラーケン』って感じの能力で良いと思います。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-09 15:51
  • レスありがとうございます。
    「クラーケン」は船を真っ暗な海の底に引きずり込む怪物ですからね…能力に相応しい名前ですよ、ほんと。
    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-09 21:01

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑲

「…やっぱすごいなぁ」
「そう? こいつのお陰で僕は色々と大変だったんだけど?」
思わずこぼれた感嘆の言葉に、美蔵はちょっと微妙な顔をする。
「”クラーケン”が発現し始めた頃、よくこの能力で周りに被害が出てたんだよ。自分も、異能力なんてものが顕れ始めてるなんて気付かなくて、無意識のうちに能力を発動しては周りを盲目にして、面倒ごとを随分起こしてた…自分でも周りに何が起こってるか分からなくて、周りとトラブって大変なことになってたし」
彼は少し間をおいて苦笑する。
「…ま、完全に発現したら原因が全て分かってすっきりしたけどな。もちろん”クラーケン”のせいで色々大変だったけど、別に憎んだりはしてねえよ…”異能力”は自分という存在の、一側面みてえなもんだから」
「自分の、一側面…」
わたしは思わず復唱する。つまり、さっきネロが言っていたように、もう1人の自分ってことか。
「そ。人間の長い歴史の中で、延々と引き継がれてきた”もう1つの自分”。ま、自分は唯一無二なのに、他の人に引き継がれるってちょっと意味分かんないけど」
ま、ずっとそういうもんなんだけどなーと彼は笑う。

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-09 23:52

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑳

「とは言え、ただの常人さんにただすごいとか言われるのは嫌なんだけど。面倒なこともあるってのに…」
「うう、なんかゴメン…」
なんとなく、わたしは美蔵に申し訳ない気分になってしまった。
異能力を知ってしまった事とか、色々と。
「にしてもさー、ケンジの能力ってホント厄介だよねー」
ふと思い出したようにネロが呟いた。
「ま、そうだよな。他人の視界を奪うから、おれ達の能力実質無効化しちゃうし…」
耀平は苦笑いしながら言う。
「ついでに発光色は紺色だぜ? めちゃくちゃバレにくい色だから、発動しても分かりにくい。視界を奪われても他の異能力者は気配で分かるとはいえ、どこでクラーケンが発動してるか分かんないよな」
師郎は美蔵の方をちらと見て皮肉気に言う。
「だから初めて影響くらった時はあとで軽く倍返しにしてやったんだけどさ」
ネロはちょこっとだけニヤっと笑った。
その視線の先にいる美蔵は、うぐっ、とうろたえた。

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-12 23:46
  • 記憶操作と過去視コンビの仕返しかー……。何をされたんでしょうね。目が見えなくなるの倍返しですか、美蔵君、ドンマイ。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-13 01:52
  • レスありがとうございます。
    補足ですがコマイヌの能力は「人やモノが移動した軌跡を見る」能力です。ネクロは「人やモノの記憶を扱う(記憶操作も過去視的なこともできる)」能力なので、あしからず。
    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-13 20:38

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ㉑

「…ねぇ美蔵、一体何があったの?」
あんまり美蔵が気まずそうな顔をするので、わたしは思わず聞いてみた。
「いや~なんていうか~そのぉ…やっぱいいわ」
美蔵はこれ以上聞かないでくださいと言わんばかりに目をそらした。
「え、言わないの?」
「いや別に良くね⁇ こっちにも黙秘権てモンがあるし~…それに、仕返しがヤバすぎて思い出したくねーわ」
美蔵はそう言い切ってうつむいた。
「はぁ~」
「まーアレは結構派手にやったもんな~ なぁネロ?」
耀平はケラケラと笑いながらネロを見る。
「まぁね。ネクロみたいな強力なのを敵に回したらこうなるっていう証明にもなったし? あれぐらいはねー」
ネロはちょっと誇らしげに胸を張った。
「…一体、何をしたの?」
美蔵が言いたくないと言うような事って、どんな?とわたしは尋ねた。
だがその質問を聞いたネロ達は、少し顔をしかめた。
「え、いや、それは…」
「なんていうか…お前に言うようなことじゃないよなぁ?」
「それな、なんかますます面倒なことになりそう。ただでさえ、常人に異能力がバレてる時点でヤバいのに」

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-13 23:59
  • ほんとあのコンビに何されたのかねー?そうだよね、言いたくないことって一つや二つあるものだよね。美蔵君、ご愁傷様です。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-14 09:46
  • レスありがとうございます
    ホント、彼は運がなかったというかなんていうか…まぁ、こうなったから知り合ったんですけどね(笑)

    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-14 22:06
美蔵がネロたちにどんな目に遭わされたのか、詳しくはまたいずれ…

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ㉒

「…まぁ、僕から言えるとしたら、この人たちは敵に回したらものすごくヤバい人たちだって事です、はい」
美蔵は微妙な顔でそう言い切った。
「…そうなの」
わたしはポツリと呟いた。
確かに、この人たちは敵に回さない方が良いのかもしれない。
前に「常人は”異能力”に関わっちゃいけない」と言われた時に恐ろしいと思ったし、美蔵は彼らを見た時に動揺していた。
よくよく考えたら自分はかなりすごい人たちとつながりを持っているんだな…そう思った。
「…ねぇ、そろそろ駄菓子屋行っていい? いつまでもここでグダグダしてるワケにはいかないし」
話に一区切りがついたところで、ネロが切り出した。
「そうだな」
「じゃー行こーぜー」
「…まだ、買い物してなかったの」
みんなが駄菓子屋の方に移動しだす中、わたしは思わず言った。
「…いや、まだなんだけど」
ネロがぽかんとした様子でこちらを見た。
「あ、そう…」
「とりあえず行こうぜ不見崎(みずさき)。僕も用事済んでないし」
ボンヤリしているわたしを美蔵は追い抜かしながら言う。
「え、ちょっと待ってよ!」
わたしはまた置いてかれないように、彼らの後を歩き出した。

〈5.クラーケン おわり〉

テトモンよ永遠に!
女性/17歳/東京都
2019-08-15 00:23
  • これはもうミズサキさんただの常人じゃなくて、沢山の異能力者と知り合いになれる才能の持ち主だな。

    何かが崩壊している者
    男性/19歳/埼玉県
    2019-08-15 16:55
  • レスありがとうございます。
    そうですね、あの子はそういう意味では才能ありますね(ただそれを良く思わない人々がいそうだけど)(笑)

    今日も連載します!

    テトモンよ永遠に!
    女性/17歳/東京都
    2019-08-15 18:17
物語はまだまだ。                             「6.ハルピュイア」につづく。