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2023年8月25日から9月30日まで開催した企画「Metallevma」のまとめです。

Metallevma:PROLOGUE

曇り空の街中を、青い髪のコドモが駆けていく。
そのコドモの見た目は人間の少女のようにも見えるが、額には角のように青い鉱石が2つ生えていた。
「…はぁ、はぁ」
コドモは走ってヘトヘトになってしまったのか、路地裏で立ち止まる。
「みんな、どこ行っちゃったんだろう…」
コドモは辺りを見回すが、周りには誰もいないようだった。
「…いたぞ‼︎」
するとここで軍服風の服装に身を包んだコドモ5人が青髪のコドモを囲んだ。
「やっと追いついた」
「逃げ足の早い奴め」
「俺たちから逃げられると思うなよ!」
コドモたちに口々にそう言われ、青髪のコドモは思わずしゃがみ込む。
「うぅぅぅぅ…」
うっかり“ガーネット一族”のナワバリに入り込んだだけなのに…と青髪のコドモは頭を抱える。
「さぁ、覚悟しろ!」
“コランダム一族”の“サファイア”‼︎と軍装姿のコドモたちはにじりよる。
「ひぇぇぇぇ」
“サファイア”と呼ばれたコドモがそう声を上げた所で、突然“サファイア”の頭上を小さな火球が飛んでいった。
「⁈」
軍装姿のコドモたちは驚いて後ずさる。
「やぁやぁやぁ」
拳銃のポーズを作った右手を下ろしつつ赤い髪のコドモがこちらに歩いてくる。
その額にはサファイアと同じように赤い鉱石が2つ生えていた。
「ウチのサファイアによくやってくれるじゃない」
随分と度胸があるねぇと赤髪のコドモは笑う。
「げっ!」
コランダム一族の“ルビー“だ‼︎と軍装姿のコドモの1人は叫ぶ。
「ヤバいヤバい」
「アイツに出てこられるとマズい!」
「撤収だ‼︎」
赤髪のコドモを見て、軍装姿のコドモたちは慌てて逃げ去っていく。
「…」
逃げていくコドモたちを見ながら、ふらふらとサファイアは立ち上がる。
そして”ルビー“と呼ばれたコドモの方を見た。
「ルビー」
サファイアがそう呟くと、”ルビー“は静かに微笑む。
「帰ろう、サファイア」
「うん!」
ルビーがそう言うと、サファイアは頷いてルビーに近寄った。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-08-25 14:01

Metallevma 〈企画要項〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが企画です。
タイトルは「Metallevma(メタルヴマ)」。
鉱物を核に生まれたヒト型の存在“メタルヴマ”の物語を皆で描いていく企画です。
まずはとりあえず設定です。

・メタルヴマ Metallevma
鉱石を核に生み出されたヒト型の“何か”。
身体のどこかから核と同じ鉱石が生えている。
核になっている鉱石の名前を名乗っている。
核になった石の石言葉や性質にちなんだ特殊能力を持つ。
核の鉱石が健在な限り死ぬことはないし、食事の必要はない(食事は嗜好品程度と捉える者が多い)。
性別はないが、同じ鉱物種を核とする者をきょうだいや家族、一族として認識する。
おしゃれ好きな者が多く、皆個性豊かな格好をしている。
その昔、ある王が自らのしもべとして生み出したのが始まり。
そうして生み出された原初のメタルヴマが自らの同族を生み出していったことで数を増やしていった。
しかし数が増える内に人間に歯向かうようになり、やがて人間の住む世界から追放されてしまった。
現在は人間の住む世界のすぐ傍にある世界“ミクロコスモス”で暮らしている。

・ミクロコスモス Microkosmos
メタルヴマ達が住む小さな異世界。
人間達の住む世界から様々なモノが流れ着く。
住民であるメタルヴマ達は一族ごとの派閥に分かれて激しいナワバリ争いを続けている。
現在はメタルヴマ達が人間の住む世界を真似て人間世界顔負けの都市が造られている。

開催期間はとりあえず9月が終わるまでで、形式・投稿回数は特に問いません(あ、公序良俗は守ってね!)。
投稿作品にはタグ「Metallevma」(スペルミス注意)を付けて投稿してください。
難しめの企画ですが、企画趣旨に大体合っていればOKですのであまり気負わずにご参加ください。
質問などはレスからお願いします。
皆さんの参加お待ちしております‼︎

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-08-25 16:00
  • あ、やっべ、「夏キラ」タグつけ忘れた!
    ま、いっか。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-08-25 17:55
  • よっしゃ参加したろ。
    ところでいくつか質問です。
    まず、メタルヴマに損傷や部位欠損が発生した場合、治癒はされますか? される場合、どんな感じで治っていくんでしょうか。
    もう一つ、核となる鉱石はどの程度破損したら死にますか? 逆に言うと、どの程度残っていれば生きていられるんでしょうか。

    何かが崩壊している者
    男性/22歳/埼玉県
    2023-08-25 20:11
  • レスありがとうございます。
    メタルヴマの身体に損傷などが発生した場合、時間経過で自然治癒されますね。
    普通のケガなら(スピードは人間より早いけど)人間と同じように治るし、欠損が発生した場合はちょっとエグいですが「生えて」きますね。
    核となる鉱石は、パーセンテージにして5割以上破損したら身体を維持できないですね。
    逆に核が5割残っていればギリギリ身体を維持できます。
    まぁナワバリ争いで核が壊れるほどの戦いをすることはまずありません。
    「死んでしまっては死なせた側も辛い」からという理由でメタルヴマたちは核が破損するほどの戦いはしないようにしています。

    企画参加楽しみにしております。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-08-25 20:55

Metallevma 〈企画要項〉(再掲)

(月が変わると前の月の書き込みがバックナンバーなどでしか見られなくなるため、先月投稿したものを見てなかった人用の再掲です。それではどうぞ。)

どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが企画です。
タイトルは「Metallevma」。
鉱物を核に生まれたヒト型の存在“メタルヴマ”の物語を皆で描いていく企画です。
まずはとりあえず設定です。

・メタルヴマ Metallevma
鉱石を核に生み出されたヒト型の“何か”。
身体のどこかから核と同じ鉱石が生えている。
核になっている鉱石の名前を名乗っている。
核になった石の石言葉や性質にちなんだ特殊能力を持つ。
核の鉱石が健在な限り死ぬことはないし、食事の必要はない(食事は嗜好品程度と捉える者が多い)。
性別はないが、同じ鉱物種を核とする者をきょうだいや家族、一族として認識する。
おしゃれ好きな者が多く、皆個性豊かな格好をしている。
その昔、ある王が自らのしもべとして生み出したのが始まり。
そうして生み出された原初のメタルヴマが自らの同族を生み出していったことで数を増やしていった。
しかし数が増える内に人間に歯向かうようになり、やがて人間の住む世界から追放されてしまった。
現在は人間の住む世界のすぐ傍にある世界“ミクロコスモス”で暮らしている。

・ミクロコスモス Microkosmos
メタルヴマ達が住む小さな異世界。
人間達の住む世界から様々なモノが流れ着く。
住民であるメタルヴマ達は一族ごとの派閥に分かれて激しいナワバリ争いを続けている。
現在はメタルヴマ達が人間の住む世界を真似て人間世界顔負けの都市が造られている。

開催期間はとりあえず9月が終わるまでで、形式・投稿回数は特に問いません(あ、公序良俗は守ってね!)。
投稿作品にはタグ「Metallevma」(スペルミス注意)を付けて投稿してください。
難しめの企画ですが、企画趣旨に大体合っていればOKですのであまり気負わずにご参加ください。
質問などはレスからお願いします。
皆さんの参加お待ちしております‼︎

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-01 15:34
  • 先月も参加させてもらうぜみたいなこと言ったし、既に一本書けてはいるんですけど、一応質問したかったのに何故か反映されなかったところを教えてほしいのです。

    ざっくり言うと3点。
    まず、汗、涙、血液の有無。
    次に、肉体強度(鉱石寄りなのか肉寄りなのか)。
    最後に、生物としての自衛本能である恐怖と痛みを感じるのか。

    今できてる話の展開や描写の一部が、この質問の結果によって微妙に変わってくるかもなので、答えていただければと思います。

    何かが崩壊している者
    男性/22歳/埼玉県
    2023-09-01 19:30
  • レスありがとうございます。
    じゃ、答えさせていただきますね。
    汗、涙、血液など体液はもちろんメタルヴマに存在しますね(彼らは人間を模した所があるので)。
    肉体強度は人間よりは強いけど鉱石ほどではないです(宝◯の国みたいに砕け散ったりしないのでご安心を)。
    あと恐怖と痛みはちゃんと感じます(彼らは人間を模した所があるからね)。

    こんなんでよろしいでしょうか。
    ナニガシさんの企画参加楽しみにしております。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-01 20:37
  • 答えていただきありがとうございます。
    答えが出たおかげでうちの最つよキャラのアメちゃんが腐らずに済みます。答え如何ではクソ雑魚ナメクジになってた。
    今日から投稿していこうと思います。

    何かが崩壊している者
    男性/22歳/埼玉県
    2023-09-04 17:56
  • レスありがとうございます。
    参考になったら幸いです。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-04 19:06

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅰ

物で散らかった一室に敷かれた布団の上に、青緑色の髪のコドモが寝ている。
よく見るとその額には青緑色の鉱石が生えていた。
「…」
「あ、起きた」
青緑色の髪のコドモが目を覚ますと、近くのイスに座る額に赤い鉱石の生えた赤い髪のコドモが呟いた。
その傍には青い鉱石の生えた青髪のコドモがイスに寄りかかっている。
「やぁ、寝覚めはいかがかね?」
赤い髪のコドモはそう尋ねる。
「…ここ、どこです?」
青緑色の髪のコドモが聞くと、赤髪のコドモがハハハと笑う。
「ここはあたしたちの家さ」
ちょっと散らかってるけど気にしないでね、と赤髪のコドモは続けた。
「…君、その辺の道端で行き倒れてたんだよ」
そこをウチの“サファイア”が見つけてあたしが拾ってやったんだよーと赤髪のコドモは傍の青髪のコドモを親指でさし示しながら言う。
「…はぁ」
青緑色の髪のコドモは状況が飲み込めずにポカンとする。
「で、こっちも聞くけど君は誰だい?」
ちなみにあたしは“ルビー”、と赤髪のコドモは膝に肘をつく。
「“コランダム”一族のリーダーさ」
そう言って、“ルビー”はにやりとした。
暫くの間、青緑色の髪のコドモは考え込んでいたが、ふとこう呟いた。
「…ない」
「は?」
ルビーが思わず聞き返すと、青緑色の髪のコドモは顔を上げた。
「名前、ないと思います」
そう淡々と告げるコドモを前に、ルビーは唖然とする。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-04 16:55

Metallevma:水晶玉は流星を見通す

メタルヴマに似つかわしくない、煤けた無地のシャツ1枚のみを身に纏った幼い少女のような姿のそれは、今日も虚空に手を伸ばし、無意味な呻き声をあげていた。
「クリスチャン! クリスチャンどこー! おーいクリスチャン!」
「あぇ?」
呼び声に反応し、そちらに顔を向ける。両の眼球を抉り出されたメタルヴマが一人、見えない目できょろきょろと周囲を探りながら少しずつ近付いてきているのが見えたので、後頭部からひび割れ中ほどから折れた水晶柱を生やした少女のようなメタルヴマ、クリスタルは、手を振って呼び返した。
「ねこちゃん!」
「あ! よっしゃ聞こえた!」
猫耳風の突起が付いたキャスケット帽を被った盲目のメタルヴマはクリスタルに駆け寄り、額に輝くクリソベリル・キャッツアイの核でクリスチャンの顔を覗き込んだ。勿論その鉱石の目に、クリスタルの顔を確かめられるような視力は具わっていないのだが。
「ネコメちゃんが今日も来てやったぜークリスチャン。いつ殺されるかとビクビクしながら来てるんだ。感謝しろよー?」
「んー」
クリスタルの隣に腰を下ろし、ネコメも同じように空中に手を伸ばし始める。
「この辺? この辺で合ってる? 自分がどう動いてるのか目視できないのがキツイのよ」
「ぁんー」
クリスタルは曖昧に答え、虚空に透明な壁でもあるかのように両手で叩くような動作を始めた。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-04 18:10
  • 企画参加ありがとうございます。
    早速ナニガシさんらしい始まり方、ここからどうなるか楽しみですね。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-04 19:02

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅱ

「えー…」
マジか…とルビーは口に手を当てる。
「…“きおくそーしつ”って奴?」
不意にサファイアがこぼしたので、ルビーがサファイアに目を向ける。
「あー、まぁ、そういうのだろうね…」
ルビーはそう言うと、目の前の青緑色の髪のコドモの方を向いた。
「…君、本当に何も覚えてないの?」
ルビーがそう尋ねると、あ、はいと青緑色の髪のコドモは答える。
「ここで目覚める前のことは一切覚えてないですね」
その言葉を聞いて、ルビーは顎に手を当てて考え込む。
「うーん」
それじゃあどこへ帰すべきか分からないしなーとルビーは呟く。
「かと言っていつまでも家に置いとく訳にはいかないし」
うーん、とルビーは腕を組む。
「…じゃあ、探しに行く?」
サファイアがイスの上からルビーを覗き込みながら聞く。
「ボクたちと同じように身体に鉱石が生えてるってことは、メタルヴマなんでしょ?」
なら、どこかの一族の一員かもしれないよねとサファイアは青緑色の髪のコドモに目を向ける。
「それなら正体も分かるんじゃないかな」
サファイアがそう言うと、ルビーは…なるほどと青緑色の髪のコドモを見た。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-05 16:59

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その②

「クリスちゃん? クリスちゃ……あ」
クリスタルを探しに来たそのメタルヴマは、クリスタルの隣に座る異種のメタルヴマを認識した瞬間、反射的に針状の水晶柱を生成し射出した。
しかし、それがよく知る者であることに気付き、すぐに水晶柱の動作を止め、粉砕し霧散させた。
「何だ、ネコメか……」
「もうびっくりしたなァ……ルチルのひと。手が早いのよ」
背後からの無音の攻撃に対し、的確に後頭部を庇った腕を解きながら、ネコメは振り向きつつ頬を膨らませて抗議した。
「それが正解だから良いんだよ」
「そりゃぁそうなんだけど……クリスチャンのお友達なんだからこう、もっと手心ってものを……」
「……まあ、正直その子の相手をしてくれてるってだけで助かってはいるんだけどね。戦えないくせにうっかり結構なダメージを食らったりするもんだから……」
「はァー呆れたっ! 水晶のひとはこれだからいけない。戦いにしか価値を見出せないなんてサモシイと思いませんか!」
「クォーツ領は良い場所だからな。日々様々な部族に襲撃を受けるこの現況、戦えない上に読めないタイミングで戦場に現れる味方ってのがどれだけ恐ろしいと思っている。クォーツの戦力は決して大きくは無いんだぞ?」
「……参った微妙に反論しづれェや」
言い合いながら、ルチルも二人の隣に腰を下ろした。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-05 18:20

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅲ

「じゃあ、探しに行くか」
「え」
青緑色の髪のコドモはついポカンとする。
「探しに、行くって…」
「そりゃあ街に探しに行くんだよ!」
ルビーはそう言って立ち上がる。
「他の一族の所に行って聞き込みするのさ!」
ほら、行くよーとルビーは布団の上に座り込む青緑色の髪のコドモの手を引っ張る。
「ちょっと、ちょっと!」
青緑色の髪のコドモはそのまま引きずられるように立ち上がった。

青緑色の髪のコドモは寝起き早々ルビーたちに連れられて街に繰り出した。
街は2階から4階建ての建物がひしめき合っており、道を身体に鉱石の生えたメタルヴマたちが歩いていた。
「おい見ろ、コランダム一族のルビーとサファイアだぜ」
「ホントだ」
「じゃあ隣にいるあの子は…」
道行くメタルヴマたちはひそひそと3人の様子を見ながら話し合う。
青緑色の髪のコドモはひそひそ話をするメタルヴマたちに不思議そうに目を向ける。
目を向けられたメタルヴマたちは、慌てて目を逸らした。
そうして歩く内に、3人は洒落た建物が並ぶ通りに出た。
「ここは?」
青緑色の髪のコドモが尋ねると、ルビーはん?と言って続ける。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-06 16:58
  • こんばんは。お久しぶりです!
    「企画を乱立する企画」面白そうですね!!また私も企画立ててみようかなぁ、、、

    それはさておき、小説とてもおもしろかったです!
    私は、逆に小説うまく書けない人なので、すごく憧れております。
    「鏡界輝譚スパークラー」のキャラなのですね!
    実は、たまに「鏡界輝譚スパークラー」拝見してて、すごく好きだなぁ、、、と思っていたので嬉しかったです。

    テトモンよ永遠に!さんがまた企画をしたとき参加できたらなぁ、、、と思っています。
    その時はよろしくお願いしますm(_ _)m
    レスありがとうございました!

    からみだいこん
    女性/16歳/宮城県
    2023-09-06 17:27
  • こちらこそレスありがとうございます。
    即興で勢いに任せて書いた拙い作品ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。
    それにしても、企画「鏡界輝譚スパークラー」を見ていてくれてたんですね!
    企画参加者ぐらいしか興味持ってくれる人はいないだろうと思ってたけど、こうして楽しんでくれてる人が他にもいて嬉しいです。
    実はもう今やってる企画が終わったら、もう企画に参加する人は少ないからこれ以上企画を開催するのはやめようかと思ってたのですが…
    こうして楽しみにしてくれる人がいると、またやりたくなっちゃうなぁ〜
    ちょっと、考えてみますね!

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-06 19:36

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その③

「しかし君らも飽きないな。毎日毎日何にも無い空間に手ェ伸ばして。退屈しないの?」
ルチルのその言葉にネコメの動きが止まり、口元をニタリと歪ませてルチルの顔を覗き込んだ。
「『何も無い』? 何も無いだって? そう見えるのかい? ハハハ、そうかそうか! ボクらが何も無いところを手探りする狂人にでも見えてるわけか! クォーツのひとでも聡い奴ばっかりじゃないんだねェ!」
「死にたいようだな?」
核に水晶針を突き付けられ、息を呑むようにネコメの笑いは途切れた。
「ぃやァーゴメンナサイ調子乗りました……。いやね? 違うんですのヨルチルのひと。ボクら、そうこのネコメちゃんとクリスチャンは、可視光しか感知できない残念な眼玉しか持ち合わせてない余所のメタルヴマらとは見てる世界が若干違うんですノヨ」
「……前にも聞いたな。どういう意味なんだ?」
ルチルの問いかけに、シシシと息を漏らすように笑いネコメは答える。
「いやほら、たとえばボクはクリソベリル・キャッツアイ。イワユル“猫目石”を核に持ちましてね。この猫目は現在絶賛生き別れ中の両の目玉とは違って、ゾクゾクするモノとワクワクするモノしか見てくれないんですノヨ」
「……つまり、どういうことだ?」
「ボクが触れたら死ぬような危険物の存在が、ボクには手に取るように分かる。距離も方位もね。『ワクワクするモノ』ってのはそりゃァルチルのひと」
ネコメはそこで言葉を切って、再び虚空に目をやった。
「“小さな世界”ミクロコスモスの外っ側でさァね」

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-06 18:03
  • お久しぶりです!レスありがとうございました。
    私と違った「飛び込んで」で勉強になりました!
    面白かったです。ありがとうございますm(__)m
    追記:
    プールの高い飛び込み台、高さあって怖いけど憧れますよね!いつかは飛んでみたい、、、
    海から飛び込むのも最高ですね(`・ω・)b

    からみだいこん
    女性/16歳/宮城県
    2023-09-06 20:16

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅳ

「ここは“ベリル”一族のテリトリーさ」
あたしらとはそこそこ敵対してる、とルビーは淡々と言う。
「え、敵対してるって…」
青緑色の髪のコドモがそう言いかけた時、突然背後に気配を感じた。
ハッと振り向くと、銀髪のコドモが3人に向かって飛びかかろうとしていた。
「⁈」
何がなんだか分からないまま青緑色の髪のコドモはルビーに腕を引っ張られる。
すんでの所で青緑色の髪のコドモは銀髪のコドモを避け切った。
「っ!」
銀髪のコドモはそのまま地面に転がる。
その背中には透明な鉱石が生えていた。
「おー相変わらずだねー」
“ゴシェナイト”、とルビーが笑いかける。
「コランダム一族のルビー!」
ここに何しに来たんだ!と“ゴシェナイト”と呼ばれたコドモは立ち上がる。
「いやぁ、身元不明のこの子がどこの一族の子か聞きに来たんだけど…」
ルビーは隣の青緑色の髪のコドモの肩に手を置いて言うが、ゴシェナイトはうるさい!と言い返す。
「今度こそ、この間の借りを…」
「ゴシェナイト」
ゴシェナイトがそう言いかけた所で、通りの奥から澄んだ声が聞こえた。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-07 16:49

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その④

「外……だと?」
「そーお外」
ルチルが訝し気に問い返すも、ネコメは事も無げに答える。
「クリスチャンにも見えてるんだろうさ。ドキドキワクワクするような、“異世界”ってやつが」
言いながら、ネコメはクリスタルに意識を向けた。その目に映らないクリスタルの口元は、心なしか僅かに上がっていた。
「ナワバリ争い? 下らないねそんなこと。こんな小さい世界に甘んじる奴らの諍いになんか興味無いよ。すぐそこに見えてンだ、この不可視で強大な『壁』のその先が。出自やナワバリの違いなんかでいがみ合ってる暇も無いほど、ボクらの戦いは困難で不確かなんだぜィ?」
ネコメがニヤリと不敵な笑みをルチルに向けた瞬間、ネコメの首が刎ね飛び、後方から飛んできた何者かの腕に吹き飛ばされていった。
「ッ⁉ ネコメ⁉」
咄嗟に立ち上がるルチル。
「る、ルチル! 敵襲だ!」
駆け寄って来たのは、片腕を失ったルチルやクリスタルの仲間、ローズだった。
「ローズちゃん! あの腕ローズちゃんだったの⁉」
「うん、油断した。クソ、“あれ”が来たんだ!」
「あれってなに……」
首だけになったネコメが尋ねる。答えるのはルチル。
「……“流星刀”のトロイライト。最近この辺で猛威を振るってる『隕鉄一派』の1人だ」
「そっかー……ところでなおして」
「ああ。ローズちゃん!」
ルチルに呼ばれ、ローズが自身の傷口を抑えながら駆け寄ってくる。
「クリスちゃんとついでにネコメを頼む。戦況は?」
「アメシストがどうにかしてる」
「私はそっちに行く。他に誰も近付けるな。私とアメシストで駄目ならあとはもう無駄な被害だ」
「了解。行くよ、クリスちゃん」
「んぇあ?」
クリスタルはネコメの胴体を小脇に抱えたローズに呼ばれ、訳も分からずネコメの頭を抱えてローズについて避難した。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-07 17:45
  • 隕石も鉱石の一種に入るぜ(多分)!

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-07 18:08

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅴ

皆が思わずそちらの方を見ると、緑の長髪を切り揃えた黒いワンピース姿の人物がこちらに歩いてきていた。
「そんなに騒ぐんじゃありません」
品位がなっていませんよ、と緑髪の人物は諫める。
「…“エメラルド”様」
ゴシェナイトは慌てて背筋を正した。
「それにしてもルビーにサファイア」
何の用ですの?と“エメラルド”はルビーたちに尋ねる。
「またナワバリを奪いに…」
「いや、ナワバリじゃなくてこの子のことなんだけど」
ルビーはそう言って青緑色の髪のコドモを自分の前に立たせる。
「この子誰だか知ってる?」
記憶喪失なんだけどさ、とルビーは青緑色の髪のコドモの背中を押す。
「ふーん」
エメラルドは目の前に立つコドモの顔を覗き込む。
「…知らないわ」
「マジ?」
お前の一族の子じゃないの?とルビーに聞き返されて、エメラルドは本当よーと口を尖らせる。
「わたくしたちベリル一族の子じゃないわ」
そもそもベリル一族は背中に鉱石が生えるし、とエメラルドは続ける。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-08 16:37

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑤

戦場に駆け付けたルチルの目に入ったのは、力無くへたり込む相棒の姿と、その数十m前方に立ちはだかる甲冑姿のメタルヴマだった。
「アメシスト!」
仲間の名を呼びながら戦線に飛び込み、ルチルは最大出力の水晶柱を敵に叩きつけた。
「うお、遅いよルチルクォーツ。私が半分無くなっちゃったじゃないか」
おどけて言うアメシストの両腕と左脚は根元から失われ、腹部も半分以上抉り抜かれている。
「すまない、遅くなった」
「いやごめんて、軽口よ軽口……実際早すぎるくらいだよ。しかしさっきの攻撃すごかったね。『針』ってより最早『柱』って感じだ」
「あれで斃れていてくれれば良いんだが……」
ルチルの言葉と同時に、地面に深々と突き刺さった水晶柱が爆ぜるように砕け、土煙の奥から抜き身の刀を引きずる甲冑姿のメタルヴマが現れた。
「出たな……トロイライト」
「気を付けなよ。“流星刀”は間合いを問わず、理不尽なほどの剛剣だ」
「ああ。あれだけの距離を余波が飛ぶんだからな……」
呟きながら、ルチルは無数の水晶針を自身の周囲に漂わせた。
青年、トロイライトが刀を振り上げると同時に、刀身に狙いを定めて水晶針を全て叩きつけ、斬撃を妨害する。刀は水晶針の威力に跳ね返されるが、その反動は斬撃の余波として前進し、ルチルの右腕とアメシストの髪を一束吹き飛ばした。
(な……⁉ 馬鹿な、完全に防いだはず……⁉ 横暴にも程がある……!)
「お、先にやり合ってた私と同じ反応してら」
アメシストがけらけらと揶揄うように笑った。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-08 21:08
  • 核が無事ならいくらでも再生するからねメタルヴマは…
    脊椎もゆっくりだけど再生しそう。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-08 21:54

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅵ

「この子は額に生えているからうちの子じゃない」
エメラルドがそう言うのを見て、ルビーはえーと呟く。
「じゃあ他の一族で行方不明になってるメタルヴマがいるとか、聞いてない?」
ルビーがそう言うと、エメラルドは顎に手を当ててこう答えた。
「それも聞いてないわね」
エメラルドはこう続ける。
「そもそも行方不明者がいれば、この狭いミクロコスモスのことだし既に話が回ってるはずなんだけど」
まだ行方不明になってから日が浅いのかしら?とエメラルドは首を傾げる。
「…確かに」
よくよく考えたらおかしいな、とルビーは顎に手を当てる。
「そもそもこのミクロコスモスの住民なのかしら?」
もしかして外から来たとか…とエメラルドは呟く。
「いや、それはないと思う」
あたしらが元いた世界にいたメタルヴマは全員こっちに来たから、もう人間世界にメタルヴマはいないはずとルビーは顔を上げる。
「じゃあどこから来たって…」
エメラルドがそうこぼした時、不意にふーっふっふと高笑いが聞こえた。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-11 16:40

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑥

「しかし……困ったねェ」
一頻り笑った後、アメシストが無感情に呟いた。
「私らクォーツの中じゃ、私とルチルのコンビは最強の呼び声高いわけだけど……戦術の核になる私の手足は、とっくの疾うにズタボロだ」
「……なら、どうする? 私一人でアレを相手しろと?」
「いやァー……それは駄目でしょうよ。嫌だよ、自分が何もできないのに目の前で仲間が殺されるのを見るとか」
「私だって嫌だ」
「あ、次が来る」
アメシストが残った足でルチルを蹴り飛ばし、その反動で自分も飛び退くことで斬撃を回避した。
続いて飛んでくる斬撃を、アメシストは転がるように回避するが、躱しきれずに左肩を深く切り裂かれる。
「うあぁー……すまない相棒。もう駄目っぽい」
「馬鹿言うな!」
無数の水晶柱でトロイライトを生き埋めにしてから、ルチルはアメシストを素早く助け起こした。
「冗談言ってる暇があったら考えるんだ、アレを追い払う方法を!」
ルチルに言われて、アメシストはルチルの顔をまじまじと見つめた。
「……本気で言ってる?」
「……どういう意味だ?」
「アレ、本当に『倒さなくて良い』の?」
「倒せないだろうあんなの。今を生きて乗り切れれば、それで良い!」
真っ直ぐに言い切るルチルに頭突きを当ててから、アメシストは高らかに笑い地面に倒れ込んだ。
「ああ分かった! 私がどうにかする。奴の注意を私から完全に逸らしてくれ!」
「了解した」
水晶柱の山を吹き飛ばし現れたトロイライトを睨み、ルチルは短く答えた。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-12 16:49
  • あるよね、書き込みが反映されない時。
    KGBさんに弾かれるパターンもあるけど、時々書き込みの内容が上手くサーバーに届かなくて反映されないこともあるから、そっちかも。
    それにしても“死なないって素敵”ね…
    そういう設定を作ったのはぼくとは言え、そう言われるとなんか複雑。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-12 18:11

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅶ

パッと皆が声のする方を見ると、近くの建物の屋根の上で白いワンピース姿で額に透明な鉱石が生えたコドモが仁王立ちしていた。
「やぁメタルヴマ諸君、ご機嫌いかが?」
コドモはニヤニヤしながらメタルヴマたちを見下ろす。
「…何の用だ」
“クリスタル”とルビーは屋根の上のコドモを睨みつける。
「“クリスタル”?」
誰なの?と青緑色の髪のコドモはルビーの顔を覗き込む。
「…あの子は“原初のメタルヴマ”」
このミクロコスモスに住むほとんどのメタルヴマを作った張本人だよ、と背後からサファイアがそう教える。
「…へぇ」
青緑色の髪のコドモは頷いてまたクリスタルの方を見る。
クリスタルは気にせずルビーと話していた。
「それで、何の用なの?」
あたしら今お取り込み中なんだけど、とルビーは不満げな顔をする。
「ふふふふ、そんなルビーちゃんたちにお得情報〜」
クリスタルはその場にしゃがみ込みながら言う。
「キミたちの傍にいるその子、ちょーすごいんだよ?」
は?とルビーは首を傾げる。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-12 18:08
  • 有名どころのキャラ名被っちゃうのは仕方ない。
    「死なないって素敵」発言についてですが、不死かつダメージがちゃんと治るって戦闘させるに当たってすごい便利なんですよ。後のことを考える必要が無いから負傷上等の特攻作戦を取らせやすかったり、ダメージの影響(骨、筋肉、神経が逝って部位が動かなくなるとか)を気にせず暴れらさせられたり、欠損部位を武器にできたりetc.
    普段戦闘シーン書いてるとキャラがダメージを受けないように気を遣うんですが(実体験を経て外傷の影響って小さくても地味に面倒だなってのが自分の中にあるので)、それが無いのが大変楽なのです。
    あとはメタ的にいうとダメージ描写で文章量稼げて書き進めやすかったりする。ナニガシはライブ感で書いてるので、時間稼ぎができるのはとても助かるのです。

    何かが崩壊している者
    男性/22歳/埼玉県
    2023-09-12 22:17
  • レスありがとうございます。
    そうだね、有名どころネタなら名前カブりは仕方ないですね。
    …なるほど、「不死かつダメージが治る」って便利なのか。
    確かに捨て身の攻撃とかできるから役立つでしょうね。
    そしてメタ的には文章も稼げるのか。
    案外悪くない設定…かも。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-12 23:35

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅷ

「この子はその辺で行き倒れてた身元不明者…」
ルビーがそう言いながら青緑色の髪のコドモに目を向けると、クリスタルはチッチッチと指を振る。
「その子はただの身元不明者じゃない」
そもそもその子はまだ誰も知らないの、とクリスタルは笑う。
「それってどういう…」
エメラルドがそう聞こうとした所で、クリスタルはこう言った。
「その子の名前は“グランディディエライト”」
わたしが作ったばかりの、最新のメタルヴマよとクリスタルは続けた。
「最新の、メタルヴマ…」
サファイアはそう呟きながら青緑色の髪のコドモに目を向ける。
他の皆も青緑色の髪のコドモに目を向けた。
「しかも、それだけじゃないの」
クリスタルは得意げに続ける。
「その子の特殊能力は“未来予知”」
どうでしょ、すごいでしょ?とクリスタルはウィンクする。
「どこの一族も、自分たちの陣営に欲しいでしょう?」
きっと、取り合いになるでしょうね〜とクリスタルは笑った。
「…」
一同は“グランディディエライト”と呼ばれたメタルヴマを見ながら沈黙する。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-13 16:00

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑦

ルチルは無数の水晶針を周囲に浮遊させながら敵の懐に飛び込んだ。トロイライトが刀を振り上げる瞬間、水晶針の弾幕を空間を埋め尽くすように射出し、視界を塞いだ隙に急接近し、無事な左腕で刀の柄を押さえる。
「これさえ、奪えば……⁉」
刀を奪おうと力を加えるが、手に貼り付いたかのようにびくともしない。
「オ……レの……『核』に…………触るな」
「は……?」
トロイライトは左腕でルチルを殴りつけ、吹き飛ばした。
(あいつ……今、たしかに『オレの核』と言った。あの刀が核だと?)
咳き込みながらも起き上がり、ルチルは水晶針の弾幕を再び撃ち込む。トロイライトは刀を振るった余波で弾幕を打ち消し、攻撃のための斬撃を打ち出すため、再び刀を構えた。
トロイライトが斬撃を放つ直前、視界の外、斜め右後方から飛んできた槍のような水晶柱がその身体を弾き飛ばした。
空中で体勢を立て直そうとしたトロイライトだったが、身じろぎしようとする前に、その身体は予め地面に突き立てられていた水晶柱に叩きつけられ、仰向けに倒れそうになる。
「ナイスぅルチル。あとは私の仕事だ」
倒れまいと踏ん張るトロイライトの顎に、アメシストの飛び膝蹴りが突き刺さる。
耐え切れず脚が砕け千切れ飛ぶほどの威力に、重装のトロイライトとはいえ成す術無くナワバリの遥かに外まで吹き飛ばされ、二人の前から姿を消した。
「ぃよっ……しゃぁあー……! 勝てたぁー……!」
満足げに地面に転がるアメシスト。ルチルが足を引きずりながら近寄って来たのに気付き、アメシストは肩しか残っていない両腕をルチルに向けた。
「相棒ぉ、もう両手足無くなっちゃった。抱っこして抱っこ。私の事運んでー」
「……私の手足も相当限界なんだが……まあ仕方ないな。しかしこれ、『勝った』ってことで良いのか?」
抱え上げられながら、アメシストはからからと笑う。
「良いに決まってるじゃない! 私らの目的は、私らが死ぬ前にあいつを眼の前から一瞬でも退かすことだったんだから。ほら、戻ってくる前に私らもさっさと逃げてしまおう」
「了解」

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-13 21:13

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅸ

“グランディディエライト”はえ、ちょっとと後ずさる。
「まさかみんな…」
グランディディエライトはそう焦っていると、ルビーが不意に口を開いた。
「おい、クリスタル」
ルビーの言葉にクリスタルが、ん?と反応する。
「まさかアンタ、この子を使ってミクロコスモスに混乱を起こそうとしてるんじゃないだろうね?」
ルビーがそう言うと、どうしてそうなるの?とクリスタルは驚く。
「だってアンタがあたしらに干渉してくる時って、大体このミクロコスモスの勢力均衡を乱そうとする時だし」
ルビーは冷たい目をクリスタルに向ける。
「そもそも“取り合いになるでしょうね”とか言ってる時点で最初からそのつもりなのが見え見えだし」
ルビーが言い切ると、クリスタルはあ、あー…と気まずそうにそっぽを向く。
「…確かに、クリスタルがわたくしたちに自分から関わってくる時は、ナワバリ争いを活発化させたい時だわ」
エメラルドがそう言ってクリスタルの方を見る。
サファイアもうんうんと頷いた。
「えー…」
クリスタルは想定外の反応にポカンとする。
「バレないと思ったんだけどなぁ…」
クリスタルがうなだれながら呟くと、ルビーはバレるよと言い返す。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-14 16:40

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑧

「……はい、処置完了」
クォーツ族のナワバリの中央付近にある避難施設にて、ローズに首の傷を処置され、ネコメは患部をさすって微笑んだ。
「うんうん動く。ありがとローズのひと」
「言っておくけど、ダクト・テープで雑に貼っ繋いだだけだから、ちゃんと治るまでは無茶しないでね?」
「はーい」
生返事を返し、ネコメはすぐ傍でぼんやりとして座っていたクリスタルの隣に座った。
「クリスチャン、クリスチャン」
「ねこちゃん!」
「見て見てー、首直してもらった!」
「んにゃぁー」
「ここのみんなは優しいねェ」
「へぁん?」
「……なんでピンと来てないの? 身内でしょ?」
「にゃぁー……」
首を傾げて唸るクリスタルに疑問を覚えつつ、ネコメは額の核で周囲を見渡した。
「それよりさァ、この辺には『境界面』無いのかね?」
「ハハハ、訳の分からないものが避難所にそんな簡単にあったら困るなァ」
笑うローズの背後で、ネコメの視線が止まる。
「な、何だい急に私を見つめて……」
「クリスチャンこっち」
クリスタルの首の後ろを捕まえ、ネコメは自分の身体の方にクリスタルを引き寄せた。
「……あ」
ローズは二人にまだ無事な左の掌を向け、能力を発動する。ローズの身体が二人に引き寄せられるよう飛んでいき、衝突の勢いで3人はもつれ合ったまま更に転がった。
「たしか……ネコメの力は『危険』と『興味』を認識する能力。あの反応の仕方ってことは……」
ローズは直前まで自分がいた場所に目をやった。そこには、ローズを押し潰そうとしていたかのように岩石塊が突き刺さっていた。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-14 18:31

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅹ

「アンタの思いつきやら何やらのせいで、あたしらいっつも面倒ごとに巻き込まれてるからね」
ルビーがそう呟くと、サファイアはまたうんうんと頷く。
「そんなー」
わたしはただ面白そうだからやってるだけなのにーとクリスタルは頭を抱える。
「…それにしても」
その子どうするの?とエメラルドはルビーに尋ねる。
「貴方たちが預かるのか、それとも…」
エメラルドがそう言いかけた所で、ルビーはこう答える。
「え、生み出した当人が引き取ればいいんじゃない?」
ルビーがそう言って後頭部に手を回すと、クリスタルはえ、と顔を上げる。
「アイツが全ての元凶なら、アイツが責任を取るべきなのでは?」
ルビーがクリスタルを指さすと、クリスタルはえええええ⁈と立ち上がる。
「わたっ、わたしが⁈」
「そうだよ」
ルビーはそう言って冷ややかな視線を向ける。
「アンタが始めたことなんだし」
どうにかせい、とルビーはグランディディエライトの背中を押す。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-15 16:29

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑨

「何か飛んでくるのは分かったけど、あんな怖いものが飛んできてたんだァ……」
ネコメも岩石塊を見つめ、絞り出すように呟く。
「ねこちゃん、にげよ」
クリスタルに上着の袖を引かれ、ネコメは頷いて立ち上がった。
「うんそうだね。全く戦えないボクらは邪魔にならないようにしなくちゃだ。生存最優先!」
ネコメはクリスタルを抱え岩石塊から離れるように駆け出し、その場に取り残されたのは、ローズ一人。
「この大岩……まるで隕石? いや、衝撃はほぼ無かった……」
「そうであろう? 我が異能によって降り注ぐ隕鉄は、それ自体の質量によってのみ破壊を引き起こす! その純粋たること、これより美しい能力は他に類を見ないだろう!」
上空から朗々と語る声にローズが見上げると、隕鉄塊に突き破られた天井から見下ろす一人のメタルヴマの姿があった。
そのメタルヴマの腰より下は、核と思しき金属光沢を帯びた八面体の黒い結晶に埋まるように融合しており、右手に携えた軍刀を肩に担いでローズを睥睨している。
「美しいかどうかは別にして……失せろ侵入者!」
ローズが左手をそのメタルヴマに向け、能力を発動しようとする。しかし、何者かに背後から腹部を貫かれたことで、能力の発動は失敗に終わった。

何かが崩壊している者
男性/22歳/埼玉県
2023-09-15 17:36
  • 光沢を帯びた八面体の結晶って…
    某第6使徒みたいだな!(昔◯ヴァに熱中してた人)。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-15 18:27

Metallevma 〈お知らせ〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
企画「Metallevma」の開催期間が折り返し知店に到達いたしました。
相変わらず参加者が全然いないけど、9月いっぱいまで開催するつもりです。
作品の形式はなんでもOKですので(小説を書かなきゃいけないとは言ってない)。
企画要項はタグ「Metallevma」から探してやってください。
まだまだ参加待ってます!

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-15 23:32
  • テトモンよ永遠に!さんこんにちは!
    実は私も、Metallevma参加してみたいなぁと思って、考えているところです。良かったら参加させてください!
    あと、質問したいことがあったのですが、メタルヴマって人間より小さかったりしますか?
    変な質問でごめんなさい。良かったら教えてくれると助かりますm(_ _)m

    からみだいこん
    女性/16歳/宮城県
    2023-09-16 16:10
  • レスありがとうございます。
    参加表明ありがとうございます。
    メタルヴマは人間を模しているので大きさは人間とほとんど変わりません。

    こんなんでよろしいでしょうか?
    企画への参加楽しみにしております。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-18 15:38
  • なるほど…!人間とほぼおおきさ変わらないんですね!
    ありがとうございます。
    小説出来てきたので、見直してから投稿してみますね!

    からみだいこん
    女性/16歳/宮城県
    2023-09-18 20:09
  • レスありがとうございます。
    参考になったなら幸いです。

    テトモンよ永遠に!
    女性/21歳/東京都
    2023-09-19 16:37

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅺ

「う、うー」
クリスタルは思わずうなだれたが、すぐに顔を上げた。
「あ、そーだわたしこの後用事があるんだったー」
わざとらしくそう呟くと、クリスタルはじゃ!と指を鳴らしてその場から消えた。
「あ、ちょっと待て!」
ルビーはそう言ってクリスタルを止めようとしたが、目の前で消えられてしまって力なくうなだれた。
「…全く、クリスタルらしいわね」
自分が面白そうなことを始めては、都合が悪くなるとすぐ逃げる…とエメラルドは呆れたように呟く。
「仕方ないよ」
それがクリスタルだもん、とサファイアはこぼした。
「…それで、どうするのルビー」
その子のこと、とエメラルドはルビーに聞く。
「生み出した当人に逃げられてしまった訳だし」
そのまま放っとく訳にもいかないしね、とエメラルドは呟く。
「うーん、じゃあ…」
ルビーは腕を組んで下を向いてこう答えた。

テトモンよ永遠に!
女性/21歳/東京都
2023-09-18 17:44
まとめⅡにつづく。