・虹汰 中学1年 テニス部所属
・"あの"先生 テニス部顧問 59歳
(気が合わないなぁ)
虹汰たち1年生は初めて会った日からそう思った
"あの先生"はとても厳しかった
いつもピリピリしている
人を褒めることなどほとんどない
たまに作る笑顔は口しか笑ってない
努力しているのに簡単に認めてくれない
冷酷無慈悲の魔物そう思っていた
あの時までは…
ある日、"あの先生"がお手本を見せた
"あの先生"が放った1球は
ネットの向こう側に迷いなく吸い込まれていく
虹汰たち1年生は
少しでもあの姿に近づきたい
気付けばそう思っていた
次の日の練習
虹汰はラケットを素早く引いて打ってみる
パコン!
"あの先生"ほどではないがボールは
"あの先生"のいるネットの向こう側に
ヒューッと吸い込まれていく
なかなかいいところにストンと落ちたなぁ
虹汰はそう思った
おめ、うまぐなったな
ずっといってほしかった言葉が聞こえた
見た目に合わない小さい声で
虹汰がその声のほうをみると
少しだけ笑う"あの先生"がいた
終
不定期投稿① ずっといってほしかった言葉