どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが企画です。
タイトルは「Daemonium Bellum RE」。
天使と悪魔が人間を巻き込みつつ抗争を繰り広げる世界を皆さんに描いてもらおうという企画になっております。
開催期間はこの書き込みが反映されてから3/29(金)24:00まで。
参加方法は公序良俗と設定を守った上でタグ「Daemonium Bellum RE」(スペルミス注意)を付ければOK!
作品の形式・個数・長さは問いません。
ちなみに当企画は2022年5月に開催した企画「Daemonium Bellum」の復刻版になります。
あの頃より賑わっている(かもしれない)ポエム掲示板なら盛り上がるかもしれない…!ということで設定をパワーアップさせました。
もし企画「Daemonium Bellum」が気になる方がいたらまとめがあるので探してみてください(宣伝)。
さぁお次は設定です!
この書き込みは企画「Daemonium Bellum RE」の設定その1です。
〈設定〉
・天使 Angelus
秩序を以って地上に平和をもたらそうとする勢力。
この世界を支配する唯一絶対の“神”によって創造された、“神の使い“。
悪魔が存在することによって地上が混乱状態にあると考えており、悪魔を敵視している。
姿は人型で、背中に白い翼が生えている。
それぞれが特殊能力“権能”を持つ。
白系統の制服のようなものが存在する。
基本的に集団行動が多い。
文明レベルは中世ヨーロッパくらい。
性別はない。
弱点は首と心臓で、どちらかを破壊すれば倒せる。
たまに悪魔に宥和的な者、悪魔に協力する者などがいる。
実は異方からやってきた“神”がこの世界を支配するために悪魔を模して創った存在。
所々悪魔と同じ部分があるのはこれが原因。
なおこの事実に気付いている者は少数派。
ちなみに“天使”という名前は自称だが、だんだん地上の住民たちも使うようになった。
・悪魔 Diabolus
地上に巣食う混沌を好む勢力。
元々地上は自分たちが暮らしている所のため、それを脅かそうとする天使を敵視している。
本来の姿は異形だが、普段は人間に近い姿をとっていることが多い(獣耳や角などがある人間態を持つ者もいる)。
それぞれが特殊能力“権能”を持っている。
服装は個体によってバラバラ。
基本的に個人行動が多い。
文明レベルは中世ヨーロッパくらい。
性別はない。
弱点は首と心臓で、どちらかを破壊すれば倒すことができる。
たまに天使に宥和的な者、天使に協力的な者などがいる。
“神”が天使を創造する際に元にした、言わば天使の“アーキタイプ”。
元々は“神”がこの世界にやって来る前に地上に住んでいた神霊の一種である。
所々天使と同じ部分があるのはこれが原因。
なおこの事実に気付いている者は少数派。
ちなみに“悪魔”という名前は天使からの通称だったが、だんだん悪魔たちも使うようになった名前である。
「設定 Ⅱ」に続く。
も一つ質問。
天使も悪魔も多分、首or心臓の破壊以外じゃ死なないと思うんですが、痛覚の扱いってどうなってます? ほぼ不死身ならついてないのか、弱点はあるから一応痛覚も付いているのか。
レスありがとうございます。
まず1つ目の質問について。
悪魔の異形態に首がない場合は心臓を叩けばいいけど、心臓もない場合ってなると…それってあんのかってのは置いといて、その場合は肉体を消し飛ばすとかで対処するしかないかもしれません。
まぁ首はともかく彼らに心臓がないことはまずありえないと思いますがね。
で、2つ目の質問について。
天使も悪魔も痛覚はあります。
なかったら危険すぎますもん。
という訳で回答は以上になります。
ちょっと1問目が微妙な答えになってしまったかもしれないけど、その辺は許してね。
この書き込みは企画「Daemonium Bellum RE」の設定その2です。
・堕天使 Angelus Lapsus
天界から追放/逃亡した天使のこと。
追放された個体は大抵片方の羽根を切り落とされている。
羽根を切り落とされたことにより“権能”を一部失っていることがある。
弱点は相変わらず首と心臓で、どちらかを破壊すれば倒せる。
天使に協力する者、悪魔に協力する者、第三勢力として動く者、人間に溶け込む者と立場は様々である。
・人間 Human
地上の主な住民。
数だけが取り柄で、文明レベルは古代オリエント世界みたいなイメージ。
天使と悪魔の抗争によく巻き込まれている。
天使や悪魔を崇めたり、彼らに協力したり、邪魔がったりと様々な立場の者がいる。
・天界
天使たちの本拠地。
雲の上に中世ヨーロッパ的な都市が広がっている。
“神”がいる場所でもあるのだが、“神”自身は姿を隠してしまって出てこない(らしい)。
少し前に地上の悪魔も巻き込んだ、天界の天使の3分の1による反乱のせいで人手不足気味。
・地上
悪魔と人間が住まう場所。
人間は古代オリエント世界みたいな文明を築いているが、その中やそこから離れた所に悪魔が住んでいる。
リメイク元の企画に参加した方なら分かると思うけど、だいぶ設定をパワーアップさせました。
相変わらず難しいだろうけど…参加したい人は頑張って!
何か質問などあればレスください。
人間の登場はいつ頃でしょうか?
悪魔と同時期なのか、どちらかが先で共存していったのか?
一応参加の意思はあります。相変わらず中途で投げ出す可能性大ですが笑
追記。
地上では天界で天使たちに支給されているアイテム(服や雑貨類)が地上の住民たちと繋がりを持つ天使を経由して高値で取引されています。
ただもっぱらそういう天使たちのアイテムを使いこなせるのは“悪魔”や“堕天使”くらいで、地上で大多数を占める“人間”はあまり使うことがないようです。
レスありがとうございます。
そうですね、人間の登場ですか…
実を言うとあまり考えていません(笑)
でも決めないと困る人が出てきそうなので、一応人間が先ってことにしてみます。
元々カタチのない神霊だった存在が人間たちの信仰心や想像力によって“悪魔”と後に呼ばれるカタチを得た、そういうことにしましょう。
参加の意思がある人に遭遇できて嬉しいです。
中途で投げ出す可能性は誰にでもあるのでゆっくりやっていきましょう。
時代(文明)設定現代基準じゃないのか……。前以上に参加しにくそうな企画っすね。ちょっと古代オリエントについて調べてきます。
使わなさそうだけど一応質問。
この世界における天使の反乱の理由とは。
レスありがとうございます。
ごめんなさい現代じゃなくって。
まぁ「古代オリエント」っていうのはイメージで、古代っぽかったらなんでもOKです(ただしアジア風はなんか違うのでNGかな)。
分かりやすいイメージを上げるとしたらアニメ版FGO絶対魔獣戦線バビロニアの舞台みたいな感じかなー(分かりにくい)。
あと「天使の反乱」の理由ですか…
あまり考えていないのですが、一応は設定が存在してます。
長くなるけど語りますね。
本編開始の少し前、当時の天使長が「悪魔を討滅することは果たして正しいのか?」という疑問を持ってしまったことに始まります。
その天使は下っ端天使ばかりが悪魔討伐のためにこき使われている事実にも憂いており、どうにかしてこの状況を打開できないかと“神”に接触を図ります。
しかしいくら天使長と言えど“神”は姿を隠しているためどうやっても接触することができません。
もしかしたら“神”はもう既にいないのかもしれない、そう思った天使長は自分たちの手で天界を変えようと有志を募ります。
最初多くの天使は悪魔に対し宥和的な姿勢を持つことに違和感を持っていましたが、地道な活動により少しずつ賛同する者が増えてきます。
さらに天使長は悪魔たちの協力も必要と考えて地上の悪魔にも協力を呼びかけました。
その結果かなりの天使・悪魔が双方の関係改善に関わったのですが…それをよく思わない天使たちがいました。
改革をよく思わない天使たち、特にヒエラルキーの上層にいるような天使たちはこのことをよく思わず、改革へ対する牽制として一部の天使たちを地上へ追放しました。
これに異を唱えた天使長たちが反乱を起こし、結局鎮圧されて地上に追放されるか逃亡し、今に至る…みたいな感じです(長い)。
ちなみにこの話は自分が書く作品に絡めようと思ってる。
目を覚ますと、私は知らない部屋の中にいた。どうやら硬い椅子に座らされ、縄と鎖で身動きが取れないよう拘束されているらしい。
「あ、起きました? おはようございます。そんな状態じゃ難しいとは思いますが、どうぞ寛いでもらって」
声の方に目をやると、長い銀髪の青年が長剣の刃の手入れをしていた。
何故こんなことになっているのだろう。起きる前のことを思い返してみても、普段通りの生活を送り、普段と変わらない時間に床に就いた、その記憶しか無い。
状況を整理するために部屋の中を見渡してみると、自分以外にも2人、同じように椅子に拘束されているのが見えた。項垂れているところを見るに、まだ目覚めてはいないのだろう。
「わ……私達をこんな風にして、あなたはいったい何をする気なんですか」
あの青年に、震える声で、それでもできるだけ毅然と、尋ねてみる。
「……そーだそーだー。そっちの羽根持ちならいざ知らず、俺がこんな目に遭わされるような恨み買った覚え無ェよォー」
自分の右側に拘束されている男性が、便乗するように口にした。どうやら意識はあったらしい。
「なァ、“片羽根”?」
その男性が、長髪の青年に言う。よく見ると、青年の腰の辺りから、真っ白な鳥の翼が右側だけ生えていた。
「そーいう『如何にも差別してます』みたいな言い方、良くないと思うなー」
「バァーカ、挑発でンな丁寧に呼ぶわけ無ェだろーが」
「それもそっか。……けど、今回の俺の目当ては、どっちかというとおたくなんですよ」
「マジで? 何それ気色悪りィ」
2人の言い合う声のせいか、最後の1人もようやく目を覚ました。
企画参加ありがとうございます。
毎度ありがとうございます。
ぼくも下書きが完結していない…というか途中から進めにくくなっちゃって困っています。
それ故にまだ参加作品の投稿をしていません。
でもナニガシさんならきっと上手くいくのでのんびり見守ります。
あとルールの悪用は大歓迎です(笑)
キミはどうして重苦しい
純白の翼があるのか。
キミはどうしてその純白な衣を
身に付けているのか。
キミはどうして穢れのないような瞳なのか。
"神"などこれほども信じていなかったが。
"神"などむしろ蔑んでいたが。
キミを一目見たときに
怒りを、哀しみを、葛藤を覚えたのは。
キミとぼくとの違いは
それほどないというのに
その差が大いなる隔たりだった。
キミはどうして女性ではないのか
キミはどうして「天使」なのか
どうして、どうして、どうして
あっ、わざわざタグ修正版を出してくれるなんて…
お疲れ様です。
翼がほしい
翼を羽ばたかせて舞い
空風で皆の悲しみを癒す
そんな天使になりたい
企画参加ありがとうございます。
でも…でもさぁ…!
タグはちゃんと付けて欲しかった(タグは難しいけどスペルミスしててもいいので付けて欲しい!)!
すみません。。私は英語力があまりにも無さすぎるので、、、、テトモンさんすみませんでした
「地上における治安についての審議を始める…」
天使、悪魔、人間の3種族は形上の議会によって地上、そして天界を治めている。しかしその裏では天使と悪魔の戦争が続いていた。
「我らは神よりその身を与えられし種族、地上の種族ごときと同じにされては困るな」
「我らは地上を統べる種族、天界の種族にこれ以上荒されたくはないな」
人間はその2種族によって長く虐げられ、地上に作られたエリアの中に閉じ込められていた。しかしそんな歴史に2人の人間が革命を起こす。
「人間に自由を…我らの地上を取り戻す!」
企画参加ありがとうございます。
いつものことですが設定は大体合ってればいいのです。
多少ズレてても見逃します。
今回は自分史上最高難易度の企画なんで、ね。
あと人間は古代っぽく、天使と悪魔は中世っぽく、それぞれそういう感じにやってればあとは好きにしていいのです。
暖かく見守るのでぜひ自分のペースで進んでいってくださいな。
「ここ、は……」
今目覚めた方の男性は、周りを見渡し、室内にいる唯一自由な存在にすぐ目を付け、食ってかかった。
「おい貴様! 誰に向かってこんなことをしている! さっさと解放しろ! 無礼な片羽根の罪人が、殺してくれる!」
「おーこっわ。こんな風に言われて解放するひと居るわけ無いじゃないですかぁ、ねー?」
「ネー」
長髪の青年は、先に起きていた男性と意気投合したように同意し合った。
「貴様、舐め腐りやがって……!」
パチパチと奇妙な音が鳴る。さっき起きた方の男性を見ると、彼の身体の周囲を青白い電流が走っていた。そういえばこの人、背中に白くて長い鳥の翼が1対揃って生えている。まるで……。
「『天使』に楯突くことの意味、とくと知れ!」
彼が叫ぶと同時に、電流が長髪の青年に向けて飛んで行った。青年は冷静に長剣で電流を弾き、流れ弾が私の足下にぶつかり焦げ跡を残す。
「あー、いけないんだー。地上に平和をもたらす天使さまが人間殺しかけたー」
「ウッワドン引くわー。地上の先住民たる俺ら『悪魔』を虐めるのはまァ良いとしても? だって迷惑するのは俺らだけだし? けどこんな無力でか弱い生き物イジめるのはさすがに最低だろー」
2人が揶揄うように言う。天使氏は悔しそうに歯ぎしりしながらも大人しくなった。
『あなたに愛してもらうために、
かたちを少し似せたのです』
わけわからないこと言うきみの 両翼の 白さの
「きみが『かわいい』と言うなら、
この背中もかわいいの?」
もちろん、だなんて 微笑まないで。
『翼があったら、あなたの震える肩を支えることなんてできないでしょう?』
『ほら、こんなふうに』じゃないの!
泣かないで とか言いなよ、強くなれ とか言えばいいのに
「なんなのさ、」
でも、わたしのこの耳が
きみのやさしい言葉を聞くために大きくなっているのなら
その神様ってやつと きみを 今は信じてみてもいいかもしれない
企画参加ありがとうございます。
うおおおおカチョフのしゃちほこさん!
まさかあなたまでも参加してくれるなんて…びっくりです。
嬉しい、嬉しい…
>>テトモンさん!
レス&楽しい企画をありがとうございます(^○^)
いつもは企画を眺める側なのですが、今回は設定がおもしそうなのと自分が書けそうな気持ちになったのとで参加させていただきました。
お言葉もありがとうございます☆ミ
「……で。なんでだ?」
あの男性……彼の言葉から察するに、悪魔氏は、先ほどまでの軽い口調とは打って変わった真剣な口調で青年に問いかけた。
「俺に用があるなら、俺だけラチりゃ良いだろ。……ぁいや俺ラチってきたのも許してねーけど。羽根カスとヒトカスはなんでここに居る? 言っとくが悪魔にだって知識として『常識』はあンだよ」
長剣の刃を見ていた青年は身体の動きをぴたりと止め、ゆっくりと悪魔氏の方に向き直った。
「えっと、そうですね……見ての通り俺は片翼の“堕天使”なわけですが」
「あァ、そうだな」
「やっぱ俺って、追放された側なわけじゃないすか」
「そりゃテメェで反旗翻してンだからな」
「普通恨みません?」
「お前個人は?」
「いや特に……俺も馬鹿な事したなーって。けどせっかく見つけたんで、物のついでってことで」
「ヒヒヒ! お前良い性格してンねェ!」
「おい貴様! 誰が物のついでだと⁉」
天使氏の言葉には2人とも無視を決め込んでいた。
「あ、ついでにそっちの“かよわきいきもの”は?」
「それはほら、天使って暴力的なところあるじゃないですか」
「ウン」
「だからほら、無力な人間が一人いれば、無法出来なくなるなって」
「お?堕天使か」
背後からの声かけに、僕は思わずびくりとした。この地域での堕天使…もとい片羽は差別の対象だからだ。片羽呼ばわりされなかっただけでもましだ。何をされるかも分からないし、怖いけど…しぶしぶ振り向いて応答する。
「は…はい…」
「悪ぃ、呼び止める気はなかったんだけどよ」
…思ってた反応と違う。上目に声の降ってきた方を窺うと、つんつんした癖っ毛や吊り目が特徴的な…悪魔がいた。
「!?!?あ、悪魔だーーー!?」
「お、おいおい、そんなびっくりすることじゃねぇって…なっ泣くんじゃねぇよ!あーもううるせぇな…」
僕が混乱で泣きだしたことに驚いたのか、彼(見た目で勝手に性別を判断した)は眉を下げて僕の背中をさすってくれた。
「ちょっと!うちに悪魔ってどういうことよ!」
企画参加ありがとうございます。
激ムズ企画だけど今回は参加してくれる人が多くて嬉しい…!
ここからどうなるか楽しみですね。
「それじゃ、本題に入りましょうか」
青年は眩しいほどの笑顔で私達の方に向き直った。その手には先ほどまで見ていた長剣とは違う、刃渡り20㎝ほどの沿った片刃の短剣を携えている。
「まぁその前に」
言葉を続けながら青年は天使氏の方に歩み寄り、短剣をその口内に向けて深く突き刺した。
「このひとは煩いから黙らせときましょう。どうせこの程度じゃ死なないんだし。……では悪魔さん?」
「ンだよ」
「その偽物の身体、さっさと捨ててください。俺が用があるのはそんな小さい紛い物じゃなく、禍々しい化け物の姿の方なんですから」
長剣の刃を向け、青年は悪魔氏に言い放った。
「……『偽物』? 『紛い物』? 心外な言い方してくれんじゃねえか。この姿もまとめてひっくるめて俺なんだぜ?」
「ああごめんなさい、あなたの理屈は割とどうでも良いんです」
言いながら、青年は悪魔氏の足下に向けて長剣を振るった。殆ど何の抵抗も無く、悪魔氏の両の脛が切断される。
「俺が興味あるのは、あなたの“異形態”だけなんで」
「……そいつァアあんまりな言い分じゃねーの? 俺、自分の全てを愛してもらいたいタイプなんだk」
彼の言葉は途中で遮られた。青年が悪魔氏の上顎より上を斬り飛ばしたのだ。
「本日の審議はこれまでとする」
議長のその一言に異を唱える者はいない。誰もこの議会に意味を求めていないことはとっくに明確だ。
「今日はどこだったっけ?」
「知るかよ軍部の話なんか」
議事堂の廊下は三股に分岐していて、議会が終わると種族に別れてそれぞれの方向へ帰るのがお決まりだ。
「先日の負傷者は?」
「既に3桁を越えたとの報告が、MIAも含めるとさらに…」
この分岐点は机上の空論を絵に描いたように現場とはかけ離れた会話が飛び交っている。
「1次避難所の首尾は?」
「野良の装甲ですが、奴らの権能には十分耐えうるものになっています」
世界では天使と悪魔の戦争が続いている。人間は両種族の奴隷として軍備や援護をさせられ、いつしかそれに疑問も持たなくなっていた。
「レイ、いつまでこんな議会にこだわるつもりだ」
議事堂を出たところで声をかけてきた男の名ははムーラ。彼はレイの幼なじみであり先代の議員の息子だ。
「さぁな、せめてこの戦争が終わるまでかな」
「それが俺たちにどうこうできることじゃないのはお前の方がよく知ってるだろ」
確かに彼の言うことは事実だ。議会にいる立場では軍部に物を言うことは出来ないし、世界の実情が戦争によって多くを決しているのは否定できない。
「そうだな、でも全く変わらないってわけでもない」
「だからぁ!小さな変化じゃダメなんだよ!」
はぐらかすように軽く返したレイに対してムーラは血相を変えてレイの胸倉を掴んだ。
「離せよ…」
レイの声色は先程と違い重いものだった。ムーラも思わず手を離してしまう。
「とにかく、レイもそろそろこっちに合流してくれ」
彼がココ最近来る理由はこればかりだ。独立した人間の蜂起軍を結成するとの事らしい。
「すまないがそれは出来ない」
「何故だ?なぜそこまで議会にこだわる?」
「ムーラこそなぜ武力にこだわる?武力で抑え込んだところで同じことの繰り返しだ。たとえ今人間の手で戦争を終わらせられたとて、この軋轢はそう変わりはしない」
「それでも…このままよりはいい」
その言葉は人間の苦痛、怒りを込めたようでレイも返すことが出来なかった。
「あんまり待たせないでほしいなぁ……そうだ」
青年は長剣を床の上に放り出し、別のものを手に取った。干からびた枯れ枝のようで、先端は4つに分かれ尖った白い何かが貼り付いている。
「これ、この間あなたの同類から貰ってきたんですよ」
「『奪ってきた』の間違いじゃねえか?」
悪魔氏の返事に彼の方を見ると、頭も両脚も既に完全に再生していた。
「もしかしたらそうかも。まあそんなことはどうでも良くって。同類の腕に切り刻まれるのって屈辱的な気分じゃありません?」
「……いやァ? 俺は別にそーいうの気にしないタイプだしなァ」
「そうですか。じゃ、やりますね」
「バッチ来ぉい」
青年はその枯れ枝……悪魔の腕の爪を用いて、悪魔氏の頭、肩、腹、腿、腕と次々斬りつけていった。血飛沫と内臓が悪魔氏の身体から飛び出していくにも拘わらず、悪魔氏は平然として笑っていた。
「ふーむ……天使の武器も駄目。悪魔の爪も駄目」
「ソラお前、首も心臓も丁寧に外すんだからこっちも何の心配も無く受けられらァな」
「どうすれば本性表してくれます?」
「これもまた俺の本性だよ」
「そう言うの良いんで。……けど困ったなぁ…………あ、そうだ」
青年が腕から長剣に持ち替え、こちらに顔を向けた。
「同じ地上に住む者同士、仲良くしておくれ」
彼の考えに気付く前に、長剣の刃が私の首に迫っていた。
「この者を堕天の刑に処す‼︎」
「お前のせいであんなことになったんだぞ」
「やっぱり堕ちて当然よねぇ」
「さっさとここから失せろ」
「消えやがれ」
「…」
朝、日がそこそこに昇った頃、森の中の古びた屋敷の片隅の部屋にある寝台で、片翼で紫髪の堕天使が目を覚ます。横を向いて寝ていたその人物は、隣に横になってこちらを見ている1対の翼を持つ金髪の天使と目が合った。
「⁈」
紫髪の堕天使は驚いたように飛び起きる。しかし相手はえへへ〜と笑う。
「おはようぼす〜」
金髪の天使は笑顔で小さく手を振ったので、紫髪の人物は気まずそうな顔をする。
「添い寝は恥ずかしいからやめてと言ったのに」
紫髪の堕天使は呆れたように呟くが、金髪の天使はいいじゃーんと続ける。
「ぼすったらすごくうなされてたみたいだし」
傍にいてあげようかな〜と思って、と金髪の人物は起き上がる。紫髪の堕天使は恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「…うなされてたってことは、やっぱり処刑される時の夢を見てたの?」
金髪の天使がふと真顔に戻って尋ねると、紫髪の堕天使は静かに俯く。
「やっぱり」
金髪の人物はそう呟くと寝台から降りる。
「あの一件はよく分からないよね」
ぼすなら反乱なんて起こしたりしないはずなのに、と金髪の天使は呟く。
「だからボクは何かの手違いだと思ってるんだけど…」
金髪の天使はそう言いながら紫髪の人物の方を振り向く。
「ぼす⁇」
金髪の天使は紫髪の堕天使がぼんやりしていることに気付いて、思わず声をかける。紫髪の堕天使はハッと顔を上げた。
来たる痛みと死に備え、反射的に目を瞑り身体を強張らせる。しかし、肉の潰れるような気持ち悪い音が聞こえるばかりで、恐れていたものはいつまでも襲ってこなかった。疑問に感じおそるおそる目を開くと、私から見て右側、悪魔氏がいた方から伸びてきた鼠色の物体が、青年の長剣を受け止めていた。
「……ッたくよォ…………俺らを『悪魔』と呼んでるのはテメエらだぜ? それをお前、人命救助なんかに使わせやがってよォ……!」
「ようやく出てきたか。それを待っていたんだ。俺の知る限り唯一無二の、『首も心臓も無い悪魔』!」
拘束を易々とすり抜けた鼠色の不定形の物質は、私の前で伸び上がり人型に、あの悪魔氏の姿に戻った。
「なるほどねェ……弱点皆無最強無敵の俺サマをご所望かい。で、その俺をどうするつもりだ?」
「勿論、殺します! あんたを殺せたとなれば、恐れるものはもう無いでしょう?」
「なるほど正論。それじゃ、恐れるものの無くなったテメェは何をするんだ?」
「いや別に……。普通に不可能を可能にする浪漫を追いたいだけですが」
「……そっかー…………。んじゃ、ヒトカスは解放してやれよ。本題は今、テメエの目の前に立ってるぜ?」
「あー、天使のひとの方は気にしない感じです?」
「まあ、うん……天使だし…………」
「了解。それじゃ、本気で殺し合いましょう!」
さすがナニガシさん。
設定の隙を突いてきやがる(褒め言葉)。
青年が悪魔氏に斬りかかる。悪魔氏はまたあの鼠色の不定形に姿を変えて回避しようとしたが、青年の斬撃はあまりにも素早く、不定形の物質を真っ二つにしてしまった。
断面から、真っ赤な血のような液体があふれ出る。悪魔も血は赤いのか。
「あがぁ……おい片羽根ェ、テメェ強いな」
「お褒めに与り光栄です。どうです? 死ねそうですか?」
「生憎と首も心臓も斬られてねェからなァ……どっちか消し飛ばしてから言え」
「どちらかと言わず、全身消し飛ばされたらどうでしょう」
「アー、死ぬかも。やってみろ……ッとその前に」
物質が一度悪魔氏の姿に戻り、椅子ごと私を蹴り倒してしまった。
「流石に巻き込まれて死なれても寝覚めが悪りィ」
「天使さんはどうします?」
「それは運が悪かったということで」
「了解です」
2人は戦闘を再開させた。決して広くはないこの部屋の容積、それをほぼ目一杯に使って、壁や天井すら足場として蹴りながら乱闘している。
時折彼らの戦闘の余波が天使氏に向かい、その身体を少しずつすり減らしていくが、天使氏もすぐに再生していくから、短剣が刺さったままの口以外に外傷は残らない。
もう何十度目かという青年の放った斬撃が壁に深く痕を残し、悪魔氏がその傷を足掛かりに壁を駆け、彼我の距離を詰める。眼前に迫った悪魔氏を、青年の長剣は既に捉えられない。
不定形の物質が青年の顔に迫ったその時、青年は長剣を手元で回転させ、自分の肩口に刃が食い込むのも構わず異形の悪魔氏を切り裂いた。
昼、日が1番高い所へ昇り切った頃。
日干し煉瓦でできた建物が立ち並ぶ、小さな街の広場で開かれている市で、外套を身に纏い頭巾で顔を隠した2人組が人混みをかき分けつつ歩いている。
「人、多いね」
天界の天使より多そうと紫髪の堕天使が呟く。
「そりゃそうだよ」
この世界は天使より人間の方が多いんだから、と隣を歩く金髪の天使が答える。ふーんと頷きつつ紫髪の堕天使は辺りを見回す。市を行き交う人々は天界の天使や地上の悪魔たちに比べるとみすぼらしい姿をしているが、どこか力強さを感じさせる雰囲気を纏っており、市は活気に溢れていた。
「…意外と、天使が秩序で地上を平定しなくてもみんな幸せそうだね」
紫髪の堕天使が何気なくそう言うと、金髪の天使はもちろん!と笑う。
「案外人間っていうのは強いから…」
金髪の天使がそう言った所で、2人の間を無理やり通るように帽子を目深に被った人物が駆け抜けていく。2人が思わず通り過ぎていった人物が向かった方を見た時、いたぞ‼︎と上から声が飛んできた。見上げると、3人の白い制服を着た天使たちが市の通り上空を飛んでいった。
「今のって…」
金髪の天使が紫髪の堕天使の方を見ると、紫髪の堕天使は先程の帽子の人物が駆けていった方を見ていた。
「ぼす?」
「ねぇ“べべ”」
金髪の天使が紫髪の堕天使のことを呼ぶと、紫髪の堕天使は振り向かずに呟く。
「ぼく、ちょっと行ってくる」
「え?」
べべと呼ばれた金髪の天使がポカンとする中、紫髪の堕天使は帽子の人物が走っていった方に向かって駆け出す。
「ちょ、ちょっとぼす〜」
べべもその後を追いかけ始めた。
「マジかー……刃の内側まで潜れば安全圏だと思ったんだがなァ」
床に落ち、断面を接ごうと蠢く鼠色の物質。鳩尾の辺りまで食い込んだ刃を抜き、大きくよろめく青年。私は改めて、彼らが人外の怪物であることを認識した。
「……これだけ斬っても死なないとなると、ちょっぴり傷つきますねぇ……。俺、これでも両翼揃ってた頃は優秀な戦士で売ってたんですよ?」
「へェ。そいつァ素敵な売り文句だ。しかしこちらも“死神”で売ってんでねェ……。そうそう『死』を押し付けられるような真似しねェさ」
「えっ何それ初めて聞いた」
「ウン言ってねーもん」
「さて……話しているうちに傷もだいぶん塞がりました」
青年は長剣をまた放り捨て、代わりに全長50㎝足らずの片手剣を手にした。
「『長くて重い』はたしかに『強さ』ですけど、同時に速さを邪魔する『枷』でもありますから。解決法は簡単な話、『短くて軽い』で代用すれば良い。どうせ刃が当たれば斬れるんだから」
「わぁお強ェ奴の言葉って感じだ。その調子で頑張って、削り切ってもろて」
向こうから来たのは僕のご主人様、リリィ様!この辺では本当に稀有な四枚羽の天使様で、柔らかい長髪と大きな青い瞳が特徴だ。
「げぇ…」
悪魔は露骨に嫌な顔をする。
「うげえっ」
リリィ様も嫌な顔をする。暫く沈黙する。
「…四枚羽…ここお前ん家かよ…」
「アーサー!?なんでいんのよ!帰れ!」
リリィ様が取り乱している。め、珍しい…。というか、知り合いだったのか。僕はなんか妙に冷静になってしまった。
「嫌だね!つかこいつ、お前の?」
リリィ様にアーサー、と呼ばれた悪魔は僕の肩を抱き寄せてきた。
「所有物みたいに言わないで頂戴!…まあ、私の召使いだけど…」
「ふぅん、片羽を採用したわけか」
「ていうかその子に触らないで?あと私の家で息をしないで。動いたら殴るわよ」
「はぁ?黙れよその口縫うぞ」
「私のような麗しい天使になんてこと言うのよこの二又悪魔!」
「表でろメスゴリラァ!!」
四枚羽のリリィ様と、尻尾が二又のアーサーさんが睨み合っている。ああ、喧嘩になりそう…。
人々で混み合う市の通りを帽子を目深に被った人物が走っていく。道行く人々は突然人混みをかき分けていく人物に驚きながらそれを避けたり、ぶつかってしまったりする。上空からの天使の追跡を逃れるように逃げていくその人物はいつの間にか人気のない街の外れまで来ていた。
「…」
帽子の人物は周囲に人がいないことを確認すると、ホッとしたように近くの壁に寄りかかる。しかし突然、ねぇと話しかけられて帽子の人物はビクッと飛び跳ねる。
帽子の人物が声のする方を見ると、地上では中々見られないような白い外套を着て頭巾を目深に被った人物が立っていた。
「やぁ」
「て、テメェ」
何者だと帽子の人物は後ずさる。白い外套の人物はふふふと笑みを浮かべる。
「ぼくは“サタン”」
見ての通りただの堕天使、と白い外套の人物は右手を胸に当てる。
「なんだよ」
一体堕天使サマが何の用、と帽子の人物が言いかけるとサタンは帽子の人物の口に右の人差し指を突きつける。
「今からぼくが君を助けてあげよう」
「は?」
なんで俺がテメェなんかに…と帽子の人物が言いかけた所で不意に上空から声が聞こえた。
「見つけたぞ‼︎」
この悪魔め!と3人の天使が舞い降りてくる。
「うぉやっべ!」
帽子の人物はそう言って駆け出した。サタンはちょっと待ってよ〜と引き留めようとしたが、おいと後ろから声をかけられて振り向く。そこには上空から舞い降りてきた天使たちがいた。
「そこのお前、アイツを知っているのか」
白い制服を着た天使の1人がそう尋ねる。サタンはあーえっとね〜とにやにやする。
質問。
悪魔の異形態に首や心臓が無かった場合、その悪魔が異形である限りどうやっても死なないことになってしまうんだが、どう処理される?