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2024年5月に開催した企画「鉄路の魔女」のまとめその2です。 今回は開催期間外に投稿された作品もまとめました。 ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 4

「あたしたちだって、みんな仲良しって訳じゃないのよ」
突然のスカーレットの呟きに、水色の髪の少女は不思議そうな顔をする。
「どうしたの? スカーレット」
水色の髪の少女の言葉にスカーレットは横に首を振った。
「…なんでもないわ」
さて!とここでスカーレットは手を叩く。
「さっきの幻影を倒してしまいましょ!」
今頃さっきのあたしの一撃で…とスカーレットは言いながら前を見るが、そこにはすでに何もいなかった。
「あ、あれ?」
いない…とスカーレットは呆然とする。
「幻影は逃げたよ」
どっかの誰かさんの邪魔のせいで、とウグイス色の髪の少女は淡々と言う。
「ちょっ、“ウグイス”…」
あたしは助けに来ただけってのにとスカーレットはうろたえる。
「そうだな」
お前の勝手さのせいだとシルバーは頷く。バーミリオンや彼女の傍に立つ黄色い髪の小柄な少女も静かに頷いた。
「みんなぁ…」
スカーレットはそう言ってうなだれるが、すぐに顔を上げる。
「ま、いいわ!」
あの幻影、探すわよ!とスカーレットは笑う。
「人間たちに危害を与えられちゃ困るし」
ささ、行くわよ!とスカーレットは歩き出す。
「あ、おい待て!」
シルバーはスカーレットを引き留めようとしたが、スカーレットはさっさと行ってしまった。
「…仕方ねぇ」
私たちも行くぞとシルバーが言うと、スカイやグリーンは静かに頷く。しかしウグイスは嫌そうな顔をした。
「あーほらウグイスってばそんな顔しないで〜」
わたしたちも探しに行くよーと水色の髪の少女が手を叩く。だがウグイスはいいと横に首を振る。
「あんな子、どうでもいい」
「そんなこと言わないでよ〜」
水色の髪の少女はウグイスを諫めるが、ウグイスは嫌そうな顔をしたままだ。だがここでバーミリオンが割って入る。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-23 23:06

鉄路の魔女:Nameless Phantom キャラクター

・“埼玉馬車鉄道の幻影”
外見は鹿毛の馬の下半身から、長い銀髪が特徴的な人間の少女の上半身が生え、両腕と馬脚の脛より下が機械仕掛けに置換されている外見。固有武器は巨大な金棒。
かつて、現代より遥かに昔、構想だけで消え去った哀れな未成線の記憶から生まれた鉄路の魔女。
彼女を『覚えている』人間は皆無に等しく、当然のように幻影化したが、生い立ちが「廃線」ではないためか、不完全ながら自我を残している。調子が良い時は自分の元になった鉄道が走るはずだった場所をふらふらと歩き回っている。
幻影化しているせいで鉄路の魔女にしょっちゅう攻撃されるが年季の違いでこれまで無事に対応し続けられている。当然のことながら『車体の色』なんてものはあるわけ無いので名前も無い。
・ミドリ
宇都宮線の魔女。固有武器はメイス。
・アオイ
秩父鉄道の魔女。固有武器は馬上槍。

何かが崩壊している者
男性/23歳/埼玉県
2024-05-24 21:34

鉄路の魔女 「眠り」

てくてくとおばあさんの方へ歩いて行く。
すると、

「貴女、そこで何してるの⁉︎早く線路から出さなさい!」

おばあさんはそう叫び、小走りで駆け寄ってきた。
驚きのあまり一瞬フリーズした後、
くるり、と踵を返しもと来た方向へ駆け出す。

「ちょっと、貴女!」

振り返る事なく走る。
迂闊だった。
猛省しつつ、1番端の線路まで行き、更に線路沿いに西へ走った。

(もういいかな。)

踏切のあたりで、ようやく足を止めた。
遮断機に座り、懐中時計を出す。
そろそろ人が多くなる時刻だ。
どのみち、駅に居る訳には行かなかったのだ。
むしろ幸運だったかもしれないぞ、と言い聞かせ、列車を待つ事数十分。

(列車が来ない...?)

猫町やたろう
女性/16歳/東京都
2024-05-24 22:35

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 5

「別にいいんじゃない」
ウグイスがバーミリオンの方を見ると、バーミリオンはふふと笑う。
「彼女だって、“大変な思い”をしているんだから」
バーミリオンがそう言うと、彼女の傍に立つ黄色い髪の少女もうんうんと頷く。
「バーミリオン、“カナリア”…」
ウグイスは少しため息をつくと、水色の髪の少女に目を向けた。
「仕方ない、行こう」
“ソラ”とウグイスは水色の髪の少女に言うと、彼女たちは既に歩き出している地下の魔女たちに続いた。

幻影探しが始まって暫く。魔女たちは2手に分かれて路地裏で先程の幻影を捜索していた。しかし魔女たちは気配で幻影を察知できるが、中々あの幻影は見つからなかった。
「見つからないね」
姉さま、とグリーンはスカイの服の裾を引く。
「そうだね」
そんなに遠くには行ってないはずなのにとスカイは辺りを見回す。
「ああ見えて意外とすばしっこいんじゃねーの?」
幻影なんてそんなもんだろとシルバーは上着のポケットに手を突っ込み、なぁ?とスカーレットの方を見る。スカーレットは電信柱の上で熱心に辺りを見回していた。
「アイツ、話聞いてないのか」
シルバーがそう呟くと、スカイが彼女はそんなもんだよと歩み寄る。
「スカーレットはあれでも…」
そうスカイが言いかけた所で、みんな〜!と彼女たちに近付く声が聞こえた。3人が振り向くと、水色の髪の少女…ソラが駆け寄ってきていた。
「さっき幻影見つけた!」
でもウグイスたちが戦ってるけどちょっと押されてる、とソラは続ける。
「だから加勢お願い!」
ソラが両手を合わせて懇願すると、スカイとグリーンは顔を見合わせ、シルバーは電信柱の方を見た。電信柱の上に立つスカーレットはシルバーの視線に気付いてトン、と地上に舞い降りるとこう言う。
「分かったわ」
今すぐ行くと言ってスカーレットは路地の奥の方へ走り出す。シルバーたちもそれに続いた。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-24 23:55

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 6

一方その頃、ウグイスたちは路地で先程対峙した幻影と戦っていた。
「っ‼︎」
幻影の大きな口から伸びる長い舌を避けつつ、ウグイスはチャクラムを投げつける。チャクラムは幻影に向かって飛んでいったが、長い舌に弾かれる。
「バーミリオン、カナリア!」
ウグイスが声を上げると建物の陰からバーミリオンが槍を持って飛び出し、カナリアはマシンガンの銃口を向ける。カナリアが次々と銃弾を撃つ中バーミリオンは高く飛び上がって槍を幻影の身体に突き立てようとした。しかし長い舌がすぐにバーミリオンにぶち当たり、彼女は近くの建物の壁に衝突した。
「バーミリオン!」
カナリアは思わず立ち上がって彼女に駆け寄ろうとするが、幻影の舌がカナリアの方に伸びてくる。カナリアは思わず硬直するが、そこへ銀色のナイフが飛んできて幻影の舌に突き刺さった。
「${*+[‼︎」
幻影は短く悲鳴を上げて伸ばした舌を元に戻す。カナリアがナイフの飛んできた方を見やると、そこには地下の魔女たちとソラがそれぞれの武器を携えて立っていた。
「みんな!」
カナリアが声を上げると、赤髪の少女ことスカーレットがハーイと手を小さく振る。
「お困りのようね」
あたしたちが助けに来たわ、とスカーレットは笑う。
「私たちは助けを求められたから来ただけだからな」
別にやりたくてやってる訳じゃない、と銀髪の少女ことシルバーはそっぽを向く。その右手には先程幻影に突き刺さったナイフと同じものが握られていた。
「とにかく、ここからはあたしたちが片付けるから」
あなたたちは下がってなさい!とスカーレットは担いでいた赤い鎌を構えて走り出す。シルバー、スカイ、グリーンの3人もそれに続く。そしてソラは姉妹たちの元へ駆け寄った。
幻影も新手の敵に気付いてドスドスと音を立てて魔女たちに近付く。しかし先頭を走るスカーレットは高く飛び上がってそれを避ける。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-27 23:56

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 7

「スカイ、グリーン!」
空中で叫ぶスカーレットに呼応して、グリーンは緑色の太刀で幻影の口から伸びる舌に斬りかかる。幻影は情けない悲鳴を上げ、半身をのけぞらせるがそこへ跳躍したスカイが幻影の頭部に着地し、手に持つ空色の打刀を突き刺す。
幻影は暴れてスカイは地上に飛び降りる。そして地上ではシルバーが生成した銀色のナイフを次々と幻影に投げつけて幻影の体力を削っていく。幻影がわめく中、近くの建物の屋上からスカーレットが飛び降りる。
「さぁ、覚悟なさ…」
スカーレットはそう言いながら赤い鎌を構えて幻影に飛び込もうとするが、突然現れた少女に体当たりされて突き飛ばされる。
「⁈」
スカーレットはそのまま地面に転がる。周りの魔女たちは呆然とし、何が起きたのか分からないスカーレットは少しうめきながら上半身を持ち上げる。
幻影の目の前には、山吹色の和服を着たみかん色の髪の少女が和傘をさして立っていた。
「…あなたは」
姉、さん…?とスカーレットは呟く。
「貴女には“彼女”をやらせない」
和服姿の少女はそう言ってスカーレットに目を向ける。
「アンタは…!」
“オレンジ”‼︎と後方でその様子を見ていたシルバーは叫ぶ。
「お前、何のつもりだ!」
まさか…とシルバーは続けるが、オレンジは気にせず幻影の方を向く。
「まぁ、こんな姿になって」
痛かったでしょうとオレンジは幻影の頭部に手を伸ばす。幻影は小さくうめいた。
「よせ!」
シルバーはオレンジを止めようと駆け出すが、オレンジは目の前までシルバーが近付いた所で和傘を閉じて彼女に向けた。
「よしなさい」
オレンジはポツリと呟く。どうして⁈とシルバーは尋ねると、オレンジは悲しげに目を細めた。
「だって、“彼女”たちはかつてわたくしたちと同じ魔女だったのよ」
オレンジのその言葉に魔女たちは微妙な顔をする。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-28 23:51

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 8

「確かにそうだけども」
奴らは私らの糧を無駄に食い散らかすんだぞ!とシルバーは言うと、オレンジはそうねと答える。
「彼女たちはわたくしたち魔女の糧、イマジネーションをむさぼる邪魔者でしょうね」
それでも、とオレンジは和傘を下ろしながら続ける。
「わたくしにとってはいつまで経っても“仲間”なのだから」
わたくしはつい、守りたくなるものよとオレンジは呟いた。
「…そう」
昔から変わらないわね、姉さんとスカーレットはゆっくり立ち上がる。
「過去にこだわり、やたらと過去を大切にする…」
さすが、最古の“地下の魔女”とスカーレットはオレンジの方に歩み寄る。
「でもねぇ」
スカーレットは顔を上げる。その目は真っ直ぐに姉の姿を見据えていた。
「あたしたちには今しかないの」
この街が、世界が、いつ毀(こわ)れるかも分からないからとスカーレットは続ける。
「あたしたちは、今のために走り続けるわ」
スカーレットはそう言い切った。オレンジは暫くの沈黙の後、そうと呟きこう言った。
「それなら、わたくしを倒してから行きなさい!」
オレンジは傘の柄をバッと取り外し、中から仕込み刀を取り出した。
「言われなくともそのつもりよ‼︎」
スカーレットは再度赤い鎌を生成すると、それを構えて走り出した。オレンジもまた仕込み刀を構えて駆け出す。路地の真ん中で、2人の得物がぶつかり、甲高い音が鳴る。
「相変わらず頑固なのね姉さん」
「貴女も変わらないわ」
姉妹は鍔迫り合いをしながらそんなことを言い、2人はパッと後方へ飛び退く。そのまま2人は暫く武器を向け合いながら睨み合っていたが、そこへ突然オレンジの頬を銀色のナイフがかすめる。オレンジはスカーレットの後ろからシルバーがナイフを投げてきたことに驚くが、その隙にスカーレットが鎌で斬りかかる。しかしオレンジはそれを刀で防いだ。
「さっさとそこを通して下さらない?」
スカーレットは鎌で相手を押し切ろうとするが、オレンジは後ずさりつつもそれに耐える。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-29 23:29

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 9

「嫌よ」
オレンジはにやりと笑うと刀で押し返してスカーレットの鎌を弾いた。
「っ!」
スカーレットはバランスを崩して後ろに倒れるが、その最中にスカイ、グリーン‼︎と叫んだ。
後方に控えていた2人はそれぞれ打刀と太刀を携えてオレンジの前に躍り出る。そのままスカイとグリーンはスカーレットに斬りかかろうとしていたオレンジの刀を受け止める。オレンジはまた後方に飛び退く。しかし息つく間もなくスカーレットが鎌を構えて飛びかかった。
「‼︎」
姉妹はまた鍔迫り合いになる。互いの武器で2人は押し合うが、突然スカーレットがオレンジの腹に蹴りを入れた。
「⁈」
オレンジの手から刀が離れ、オレンジは地面を転がる。オレンジは起きあがろうとしながら和傘を再生成するが、ここでスカーレットが叫ぶ。
「シルバー! 地上の魔女たち!」
今の内に幻影を!というスカーレットの言葉に一瞬ウグイスたちは戸惑うが、シルバーが幻影に向かって飛び込んでいったことで彼女たちも走り出す。
「待ちなさい!」
オレンジは彼女たちを止めようとするが、スカーレットが鎌を持って斬りかかってきたので和傘でそれを受け止める。
「今のあなたの相手はあたしよ!」
スカーレットはそう言ってオレンジとの戦いを再開した。
そしてシルバーたちは幻影に飛びかかる。
シルバーはナイフを次々と生成して幻影に突き刺して動きを鈍らせ、ソラは大剣で幻影の前脚を切り落とす。バーミリオンとカナリアは槍とマシンガンで無数にある幻影の目を潰していく。魔女たちの猛攻によって、幻影は少しずつ体力を削られていった。やがて幻影の動きが止まった所でウグイスが高く飛び上がって右手にチャクラムを生成する。そのまま彼女はチャクラムを幻影に対し垂直に向けたまま地上に落下した。チャクラムは幻影の首に突き刺さる。
「{*;>|‘}$]>]|]*]$[・‼︎」
幻影はつんざくような悲鳴を上げると動かなくなった。そして蒸発するように消滅していった。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-30 23:18

鉄路の魔女 「眠り」 3

もう既に五分以上経過している...筈だった。
懐中時計の秒針は停止している。
否、それどころか、全てのものが停止していた。
幻影の仕業なのか。
だとしたら重大だ。
とにかく、辺りを散策してみる事にした。

(でも...)

この辺りに廃線になった場所はない。
本数の減少はあれど、「完全なる廃線」はない。
山吹自身、古くはあるがまだ現役で動いている。
姉妹、友人もそうだ。
つまり、廃線からはるばるここまでやってきたか、

何かによってここで発生した可能性がある。

猫町やたろう
女性/16歳/東京都
2024-05-31 22:48

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Act 10

幻影の上に着地したウグイスは崩れていく足場でよろけて地上に転がり落ちる。ソラは思わずウグイスに駆け寄った。
「…決着は着いたようね」
幻影から離れた所で戦っていたスカーレットはポツリと呟く。オレンジは後ろを見て黙って和傘を下ろした。
「やったねウグイス!」
ソラがウグイスの手を取って飛び跳ねるが、ウグイスは真顔でそうねとだけ答える。ソラはそっけないな〜と笑うが、バーミリオンはいつものことでしょーとソラの肩に手を置きカナリアは静かに頷く。その様子を見ていたシルバーにも、スカイやグリーンが近寄ってきた。
「…姉さんの言うことも分かるわ」
幻影はかつてあたしたちと同じ魔女で、仲間だったとスカーレットは不意に呟く。オレンジはスカーレットの方を向く。
「あたしたちより長く生きている姉さんにとっては、大事な存在だったのよね」
でも、とスカーレットは続ける。
「あたしにとっては今いる仲間たちの方がずっと大事だから」
あたしは彼女たちのためにも戦っているのよ、とスカーレットは目を細める。
「姉さんだって、妹たちも大事な存在でしょう?」
スカーレットはにこりと笑って首を傾げる。オレンジは黙って俯いた。
「…わたしは」
わたしは、かつての仲間たちも大事だからと彼女は震えながら呟く。スカーレットは暫くその様子を見ていたが、向こうでグリーンがねーさまー!と手を振っているのに気付くと笑顔で手を振った。
「今行くわ」
スカーレットはそう答えると、オレンジに対しこう声をかけた。
「今のあの子たちみたいに、姉さんとあたしがまた一緒にいられる日が来ることを楽しみにしているわ」
オレンジはハッとしたように顔を上げる。だがスカーレットはもう既に妹たちの方へ向かっていた。オレンジが振り向いて彼女たちの方を見ると、魔女たちはわいわいと話に花を咲かせていた。
「…スカーレットったら」
オレンジは独り微笑みながらそう呟いた。

〈おわり〉

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-05-31 23:34

鉄路の魔女:あんぐら・アングラー その①

日没直後の薄暗い街の中を、2人の少女が駆けていた。
人々が帰宅する時間帯、その人ごみをすり抜けながら、彼女らは立ち並ぶ商店の屋根の上を這いずるように逃げる大鯰を追跡していた。
「やっばまた下りようとしてる。キンちゃん!」
「分かってる!」
キンと呼ばれた魔女が、クロスボウで矢弾を発射する。放物線を描いて屋根に着弾したそれは小規模な爆発を起こし、大鯰の進行を妨害する。
「ナイスぅ」
「いぇーい」
走りながら2人はハイタッチを交わし、そのまま駆け続ける。
「このまま人少なめのエリアに引っ張って殺そう」
「りょーかーい」

何かが崩壊している者
男性/23歳/埼玉県
2024-06-03 16:43
  • ご参加ありがとうございます。
    実はこちらもおまけをまだ投稿していないので実質まだ開催中ですね(笑)
    遅刻歓迎なので頑張ってください。

    テトモンよ永遠に!
    女性/22歳/東京都
    2024-06-03 17:06
これ以降の作品は投稿期間以降の作品になります。

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Extra 1

「鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches.」のおまけ…というかキャラ解説編その1です。

・“丸ノ内線の魔女”スカーレット
一人称:あたし
武器:大鎌
赤い長髪に黒いノースリーブワンピース、真紅のファーコートに赤いパンプス、網タイツと華やかな容姿の魔女。
性格も明るくフレンドリーで仲間思い。
時々他の魔女の戦いに首を突っ込むこともあるが、これは彼女なりの思いやりである。
唯一の姉であるオレンジとはかつて仲が良かったが、幻影に対する向き合い方の違いから現在は袂を分かっている。
ちなみに“地下の魔女”の中では古参の部類に入る。

・“日比谷線の魔女”シルバー
一人称:私
武器:ナイフ
短い銀髪に袖なしのストリート風ジャケットを羽織った魔女。
口が悪く他の魔女との馴れ合いを嫌う、同族嫌悪するタイプ。
しかし文句を垂らしつつ仲間のために戦ったりもする。
スカーレットのことが中々好きになれない。
余談だがナニガシさんの遅刻作品のキャラとモチーフが被ってしまった(こっちが中々モチーフを出さなかったのが悪い、ごめんなさい)。

・“東西線の魔女”スカイ
一人称:僕
武器:打刀
空色の長髪を高い位置で束ね、銀と青のジャケットとスラックスを着こなした魔女。
紳士的で落ち着いた“地下の魔女”きっての常識人。
妹のグリーンのことを心から可愛がっており、彼女のためならなんだってする。
設定上はバーミリオンやカナリアとも仲良くやっている。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-06-03 23:59

鉄路の魔女:あんぐら・アングラー その②

「オーケイそのまま、向こうのデカい交差点まで追おう」
「了解おギンちゃん。タイミングそっちで調整してね」
「はいはーい」
ギンと呼ばれた魔女は速度を上げ、先回りしてみせた。
「キンちゃん一瞬止めてー」
「はいはい了解」
大鯰の進む先にギンの放った矢弾が直撃し、粘性の高い液体がまき散らされ、大鯰の移動速度が一瞬遅れる。
「これで良い?」
「おっけぇーい!」
移動の勢いのまま、大鯰が空中に飛び出す。その巨体は、大型道路の交差点に落下しようとしている。
(奴にこのまま突っ込まれると、車に乗ってる人たちがイマジネーションを吸われちゃうかもしれない。だから)
足首に仕込まれた固有武器であるシックル・クロウを起動しながら、ギンは大鯰に飛び蹴りを食らわせた。
発条機構の弾性力とギン自身の威力と質量、速度の乗った攻撃が、大鯰を一瞬押し留めるが、体格差ゆえにすぐ弾き飛ばされてしまう。
「うぅ……流石に重さが違うや…………けど」
大鯰はそのまま落下していく。交差点の中央、信号の切り替わる瞬間の、『車が1台も通っていない』ど真ん中に。
「これで十分。お前に食わせるイマジネーションは無いよ」

何かが崩壊している者
男性/23歳/埼玉県
2024-06-04 19:08

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Extra 2

「鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches.」のおまけ…というかキャラ解説編その2です。

・“千代田線の魔女”グリーン
一人称:グリーン
武器:太刀
長い緑髪で和服と洋服の中間のような衣装に濃い緑の羽織を羽織った魔女。
純真無垢で無邪気、“地下の魔女”のかわいい担当。
小柄だが長い太刀を自在に操る。
姉妹たちのことが大好きで特にすぐ上の姉であるスカイにはべったり。

・“山手線の魔女”ウグイス
一人称:私
武器:チャクラム
ウグイス色の髪で軍服風の格好の魔女。
真面目で堅物っぽく、他人に助けられることが嫌い。
“地下の魔女”たちのことはあまり好きではない。
武器がチャクラムなのは元ネタの山手線が「環状線」だから。

・“京浜東北線の魔女”ソラ
一人称:わたし
武器:大剣
水色の髪を二つ結びにして、セーラー襟ジャケットを着ている魔女。
気さくで明るく、イメージ元の会社が違う魔女たちにも気にせず話しかける。
我が強い“JRの魔女”たちのまとめ役。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-06-04 23:12

鉄路の魔女:あんぐら・アングラー その③

大鯰の幻影は、ギンとの衝突によって運動エネルギーを失い、交差点の中央に向かって自由落下していく。
「キンちゃん仕留めて!」
「了か……⁉」
幻影の落下地点に照準を定めるキン。しかし、大鯰は舗装に衝突する事無く、地面を『すり抜けた』。
「なッ…………⁉」
一瞬遅れてギンも受け身を取りながら着地し、大鯰の消えた道路を見つめる。そこに合流したキンも足下に目を向ける。2人のいる地点を無数の自動車が通過するが、彼女らが気にする気配は一向に無い。
「逃げたか……ん? おギンちゃん?」
キンが見ると、ギンの前身は小刻みに震えていた。
「おギンちゃんや?」
「っ、はああああああああぁぁっ⁉ あのクソナマズ、ふざけやがって!」
「うおぉすごいキレ方……何をそんなに怒ってるのさ」
ギンは答えず、『真上』に跳び上がる。同時にキンが矢弾を射出し、空中に障壁を展開する。
ギンはその障壁に足から着地し、それを蹴って勢い良く地面に突っ込み、そのまますり抜けて地下に潜っていった。

何かが崩壊している者
男性/23歳/埼玉県
2024-06-05 20:11

鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches. Extra 3

「鉄路の魔女 〜Megalopolitan Witches.」のおまけ…というかキャラ解説編その3です。

・“中央線快速の魔女”バーミリオン
一人称:アタシ
武器:槍
オレンジ色の髪で短いズボンを履いた、背の高い魔女。
自分が“由緒正しきJRの魔女”であることを誇っており、他の魔女より優れていることを信じてやまない。
スカーレットとは因縁があるが、なんだかんだ言って理解している模様。
カナリアと仲良し。

・“中央・総武線各駅停車の魔女”カナリア
一人称:カナリア(本編未登場)
武器:マシンガン
黄色い髪で(設定上は)黄色いミニワンピースを着た小柄な魔女。
口数は少ないが仲間思い。
バーミリオンと仲良し。

・“銀座線の魔女”オレンジ
一人称:わたくし/わたし
武器:刀の仕込まれた和傘
みかん色の髪で山吹色の和服を着た魔女。
穏やかで幻影含め誰に対しても優しい。
最古の“地下の魔女”であり、それ故に決して少なくない数の魔女の最期を見届けてきた。
そのため幻影を倒すことに忌避感があり、自身の目の前で幻影を傷つける者がいると相手が魔女だろうと妨害しにかかる。
スカーレットとはかつて仲が良かったが、幻影に対する立場の違いから袂を分かっている。

・幻影
頭部に無数の目がついた爬虫類のような姿の幻影。
舌を自在に伸ばすことができる。
裏設定ではかつて東京中を走っていた“都電”の魔女の成れの果て、だったりする。

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-06-05 23:26

鉄路の魔女:あんぐら・アングラー その④

超高速で飛び込むように大鯰に追いつき、ギンはシックル・クロウをその頭部に突き立てる。
(こいつのパワー相手じゃ、私ごと引きずり込まれるだけだ。私如きの力じゃブレーキにもならない)
「……だから」
踵落としの要領で、突き刺した足を勢い良く振り下ろす。彼女自身の落下速度と蹴りの威力もあり、大鯰の下降は更に『加速』される。
「もいっぱあああぁぁぁあッつ!」
まだ自由な状態にあった方の足もシックル・クロウを起動して突き刺し、下方向への勢いを更につける。
「まだまだぁあ!」
真上から地面を透過して、キンの放った矢弾が大鯰に直撃し、爆発してその勢いで更に下方へと押し出す。大鯰とギンが地下を通る線路をすり抜けた直後、地下鉄の車両が轟音を立てながら通り抜けていった。
「……ふゥー、間に合った。そして、このまま殺す」
地上からキンの放った徹甲矢弾が、大鯰の片目を正確に射貫く。ダメージで暴れ狂う大鯰の銃創を、ギンの精密な蹴りが更に貫いた。事前の射撃によって砕かれていた頭骨はそれを止めることはできず、柔らかい脳漿に足首まで深々と沈み込む。
「どんな動物でも、脳味噌をブチ抜かれれば死ぬんだ」
一度格納されていたシックル・クロウが、再び起動する。その威力と衝撃は大鯰の内部から破壊を引き起こし、一度大きくびくりと身を震わせてからその幻影は動きを止め、少しずつぐずぐずと消滅していった。

「おかえり。勝てたんだ?」
出迎えたキンに、地上へ這いあがって来たばかりのギンは無言でサムズ・アップを示した。その手を引いてギンを完全に地上に引き上げ、衣服についた汚れを払ってやってから、2人は車道を出て手近な商店の屋根によじ登った。
「お疲れ」
「いえい」
拳を突き合わせ、互いを讃え合う。
「助かったよキンちゃん。っていうかよく私の意図が分かったね」
「まぁ、付き合いそこそこ長いからねぇ」
「あと、地面挟んで見えないはずの相手によくあんなに正確に当てられるよね……毎度のことながらちょっと怖いよ」
「いやぁははは。慣れてまして」

何かが崩壊している者
男性/23歳/埼玉県
2024-06-06 19:15

鉄路の魔女 〈あとがき〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
自分や他の参加者さんの作品が完結したので、企画「鉄路の魔女」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回の企画は確か去年の12月頃に思いついたお話でした。
元々「(萌え)擬人化」的なものを自分でもやってみたいと思っていたのですが、「今の時代色んなものがことごとく擬人化させられてるから、自分が使えるネタってあるのか…?」って思ってて中々踏み切れなかったんです。
でも最近鉄道熱が復活しかけて、「鉄道擬人化ってあまり見ないし、自分の好きなもので創作したい!」と思って作ったのがこの企画のベースとなる物語でした。
ちなみに「鉄道路線」の擬人化は先駆者がいるようですが、まぁいいでしょうね。
それで同時期に思いついた他の企画と一緒に昨年末に行った「企画アンケート」でみんなに投票してもらって、開催に至ったという訳です。

さて、今回も裏話はここまで!
参加して頂いた皆さん、今回もありがとうございました。
それで今後の企画についてですが、この企画を始めた時は「これで最後にしよう」と思ってたけど、当企画を開催してすぐに新しく面白いお話を思いついたのでやっぱりまた開催します。
次は、みんなの時間に余裕がありそうな8月に開催しようと思います。
ちなみに「花の学名」を使う企画になるので、参加してみたい人は「花の学名」について調べておくといいかもしれません…
それでは長くなりましたがこの辺で。
テトモンよ永遠に!でした〜

テトモンよ永遠に!
女性/22歳/東京都
2024-06-06 23:50

鉄路の魔女:あんぐら・アングラー キャラクター

・ギン
日比谷線の魔女。固有武器はシックル・クロウ(足に取り付ける鉤爪)。「シックル・クロウ」とはもともと、小型肉食恐竜の後脚に発達した1本の爪である。鎌のように湾曲した長い爪がついた指は普段は持ち上げているため移動には用いられず、狩猟時に獲物に突き刺し、体重をかけて引き裂くために使われた部位である。ギンの装備するシックル・クロウはこれを再現した金属製の刃を具えた品で、足首に取り付けられたそれは普段は持ち上がった状態で固定されているが、使用時には発条機構によって勢い良く振り下ろされ、鉄板や岩石をも容易く貫ける威力を発揮する。こんな武器を使っていることから分かるように、基本戦術はアクロバティックな三次元機動から放たれる蹴り技。シックル・クロウは壁や天井に貼り付きよじ登るのにも利用できる。

・キン
有楽町線の魔女。固有武器はクロスボウ。様々な性質の矢弾を発射する。通常の鏃のついた矢、炸薬や粘液の入ったタイプの矢弾、着弾地点や軌道上で魔法的効果を発生させる特殊な矢弾など、放つ矢弾は本当に様々。何、本体は矢弾じゃないかって? いーやクロスボウが本体だねとは本人の談。

何かが崩壊している者
男性/23歳/埼玉県
2024-06-07 20:25
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!