まだ、人間と鬼が共存していたときのお話。
そういって、私は話始めた。
門宮村(かどみやむら)には、1つの家だけ、鬼が暮らしていた。それが鬼柳家(きりゅうけ)。元々、他にも鬼はいたのだが、他の村への移住だとか、子供の減少だとかで、この村では鬼柳家だけとなってしまった。しかし、この村はとても平和で、鬼だろうが人間だろうが関係なく暮らしていた。
この鬼柳家というのは、母・薺(なずな)と長男・朔(さく)、長女・薊(あざみ)の3人。ちなみに、兄妹である。
この日だって、平和に1日が過ぎるはずだったのに____。
その日のある事件によって、3人の家族の歯車は狂っていくのであった。
「ねぇ、母上。」
「どうしたの?」
話を遮ったのは我が子。
「怖いお話?」
私は安心させるように、努めて微笑む。
「いいえ、こわくなんてないわ。……ただ、哀しいだけ。」
戸惑うような顔をする我が子の髪を撫でる。
「でもね、母さんが一番好きなお話。」
ありがとうございます‼
長くなると思いますが、完結まで頑張ります。
その日、いつも通り、朔と薊は近所の子供達と遊んでいた。
この子供達は、勿論人間の子。この日は川で遊んでいた。
「あ、兄様、お魚さんそっち!」
「え!?どこ、薊!」
「朔っくん(さっくん)危ない!」
朔と呼ばれる少年は、黒の混じった濃い茶色の髪を持っている。目の色は翠であった。一方で、この朔の妹の薊は、真っ黒で鮮やかな髪だった。薊はいつも三つ網にし、お下げのようにちょこんと2つ、肩にのせている。母・薺にやってもらったものだ。この子の目は赤である。そして、この日遊んでいたのはもう二人。紗那(さな)と、兄である蒼(あお)。ちなみに、薊と紗那は同い年で四歳、朔が6歳で蒼が七歳だ。
足を滑らせて、川の真ん中で尻餅をつく朔。もうびしょびしょだ。
「…う、うぅ……。」
思わず泣き出す朔。
「もー‼それくらいで泣かないの兄様!」
腰に手をあて、文字どおり仁王立ちをする妹、薊。一方で紗那は、心配そうに朔の顔を覗き込む。
「朔っくん、大丈夫?はい、手。」
そう言って、手を差し出す。朔は泣きながら紗那の手を取った。
「びっくりしたっ…恐かったよ…うっ……。」
「はいはい、もう大丈夫だよ。」
紗那は背伸びをして朔の頭を撫でる。どっちが年上だかわからなくなっている。
そんな様子を、川に足だけ入れ、淵に座って蒼が見ていた。
「朔、こっちこいよ。」
自分の横をぽんぽんしている。どうやら、そこへ座れという意味らしい。
「朔っくん、一緒に行こうね。」
と、二歳も年下の女の子に朔は連れられ、一先ず川辺の方へ移動する。
「紗那、ありがとな。」
くしゃーっと、勢いよく紗那の頭を撫でた。
蒼はそうして、
「ほら、薊と遊んどいで。」
「うんっ!」
にこっと笑った紗那は、川の中へと駆けていった。
「可愛いなー紗那。」
蒼もにこにこしながら言う。その横では未だに朔がしゃくりあげていて。
「朔ー、薊の方が強いんじゃないの?」
ケラケラと笑いながら言う蒼に、朔はごしごしと目をこすりながら、へにゃ、と笑う。
「そうかもしれない。」
「朔、お前男じゃん__」
「でも、」
いつもの翠に深みが出た。
「強いにも色々あるからね。
腕力とかだと、薊の方が強いよ。」
にこっと笑った朔になにかを感じたが、七歳の蒼に、それを知る由もなかった。
「朔って面白いよな。」
きょとんとする朔は一拍置いて、
「蒼には敵わない。」
そう言って笑うのだった。
「どうして面白いの?」
私は微笑んだ。確かに、難しかったかもしれない。
「自分とは違う考えを持っていたからよ。」
「そうすると面白いの?」
あどけない表情に、くすぐったくなる。
「そうよ。世界がひろがったみたいじゃないかしら。」
「うん…そうかもしれないね。」
目をつむった我が子は、続けて、と促した。
「紗那ー薊ー、そろそろ行くぞ。」
蒼が声をかける。
「えーもう行くの、お兄ちゃん?」
「可愛いなー紗那。でも暗くなっちゃうよー?」
蒼は妹にデレデレだ。
「兄様、大丈夫?」
ちょこちょことよってくる薊。
朔は微笑んだ。
「うん、大丈夫だよ。ありがと、薊。」
「べ、別に…。」
朔はそんな薊に、困ったように微笑んだ。
「朔と薊ももういいか?
日が暮れる前に帰ろう。」
蒼の掛け声で帰路についた。
帰り道では、朔が盛大にくしゃみをする。
「朔っくん大丈夫!?」
紗那がわたわたしながら近付き、あっちへいったりこっちへ来たり。
そんな様子を見た蒼は、
「確かにこのままだと風邪引くな…。
家帰ったら、すぐ体を温めた方がいい。」
と、何気心配そうな顔をして、自分の羽織りものを差し出した。
16歳のピーターパンさん!レスありがとうございます^ ^
昨日の電車でぺけぺけ書いたものなので( ̄▽ ̄)素敵だなんて、嬉しいです^ ^
鬼の業、蒼くんが妹にデレデレしてるのを微笑ましく見てます^ ^ 朔って名前、かっこいいですよね!ヽ(・∀・)ノ✨
ありがとうございます(*´-`*)朔っくんも喜んでくれていることと思います(笑)
蒼君、もともとあんなキャラなはずでは…(¨;)笑
でも、逆に良いキャラになってくれました(笑)
是非最後までお付き合いください‼頑張ります✨
「蒼、ありがとう。」
「お兄ちゃんかっこいい!よかったね、朔っくん‼」
紗那にかっこいいと言われ、上機嫌の蒼。
しかし、案の定、家につく頃には朔は震えていた。風邪の手前といったところか。
「母様!」
薊が駆けた。
帰りの遅い子供達が心配で見に来たのだ。
「朔!」
いつの間にか肩を貸していた蒼は、少々安堵の表情を浮かべた。
「蒼君、ありがとうね。紗那ちゃんも。」
薺は驚くも、微笑んで二人にお礼を言う。そして、薊に向いた。
「薊、先帰ってお布団敷いておいてくれるかしら?」
「うんっ!」
真剣な表情だ。そして家へと走る。
「二人のことは私が送っていくわ。」
朔をおぶった薺が言う。
ありがとうと言った紗那に対して蒼の反応が悪い。
追伸:
これから追伸をここにかきます。タグにコメント書いているとはまりきらなくて…(笑)
何か感想などあれば、どんどん下さい。待ってます。
結局七話目をあげてしまいました。出来るだけあげていきたいです。「本章」の方もあるので…楽しんでいたたげるとなによりです(*''*)
「どうしたの?」
「…薊だけは心配…。だから、俺もついていきます。
紗那のこと、よろしくお願いします。」
一礼して蒼も走る。
「あ、蒼君!?」
蒼は、このとき妹と離れたことを、後に後悔する。
「行っちゃったわ…。
しっかりしたお兄ちゃんね。」
「うん!さな、お兄ちゃん大好き!」
他愛もない会話をしながら、紗那を送り届ける。
薺は朔を背にかえると、布団はしかれ、水と手ぬぐいまで用意されている。十分だ。
「二人とも、ありがとう。」
朔を寝かせると、薺もほっとした様子で。
「蒼君、本当にありがとう。わざわざ一緒にやってくれて…ごめんね。」
蒼は首を振った。
「いえ…こちらこそ、ごめんなさい。勝手な行動して…。」
「いいえ、とっても有り難かったわ。ありがとう。
妹ちゃんが待っているわ、行ってあげて。」
「蒼兄、ありがと。」
珍しい薊のお礼にくすぐったくなる。
「いや…、朔に付いててやれよ?」
「うん!」
微笑んで、蒼は鬼柳家を後にした。
事件は、この夜のことだった。
ドンドンという音に目が開いた。扉付近には既に薺が寄っている。重く眠たい眼をこすって朔が起き上がろうとすると、母は「朔はここにいなさい。」と、静かに、それでも強くいい放った。
不自然なことに、扉から漏れる緋がある。よこにいる薊が熟睡していることから、もう夜中のはずなのに、外が明るい。
「おい!いるんだろう!?出てこい!!」
この家に向けられている。そんなことくらい、小さな朔でもわかった。思わず薊を起こす。起こさなければ、そう思った。
「薊!起きて、薊!」
「兄…様?」
薺は扉を開けた。と同時に、声にならない悲鳴をあげたのを、朔は見ていた。
「母さん!」
「来ないで!!」
「来いよ。」
外にいる誰かが、薺を力ずくて引っ張り出した。
「母様!?」
起きたばかりの薊は、何が起こっているのか、さっぱりわからなかった。それは、朔も同様であるが。
「お前だろう!?俺達の子供を殺したのは!
紗那を殺したのは!!」
追伸:
序章のくせにまだ続くという…(¨;)笑
クライマックスとの上記の中、まだ終わりません(笑)
読んでくださっている方々、「本章」までもう少しお待ちください…一話が長くなるかもしれませんが、ペース早め早めに頑張ります‼
「紗那を…殺した…!?」
聞こえてきた単語に、薊は色を失う。
思わず、といったように薊は扉へ向かう。朔は止めようと自分も向かうが、立ち止まってしまった。
村人全員と言ってもいい。皆、家を囲んでいる。鬼柳家の家を、火を掲げて囲んでいる。
薺は、その内の一人の男に髪を無造作に掴まれている。力なくその場に座り込んだ姿は痛々しい。
「母様!」
「来ないで!薊!」
「待って!薊!」
母と兄の声が重なる。
「なんで…なんで!」
薊は睨む。母を掴んでいる男を。
男は口を開く。
「紗那の友達の嬢ちゃんか?
…うちの紗那が殺されたんだよ、お前の母親にな!」
薊は理解出来ていない。
「なんで…紗那が殺されるの!?
それに…母様は殺してなんかいない!」
「黙れっ!」
びくっとする。大の大人に着いた四歳の子供が勝てるわけがない。
紗那の父親は口を開く。
「なんで殺されるかなんて…俺が聞きたい…こっちは愛娘殺されてどうしたらいいかわからないってのにっ…!」
「じゃあどうして母様が殺したなんて言えるの!?」
父親は吐き捨てるように言う。
「紗那と最後まで一緒にいたんだ、こいつが!村人が見ているんだ、家の前まで送っていたところを!」
「ですから私は__」
「黙れ!」
蹴り飛ばした。夜だというのに、緋い血が鮮やかに散る様子が目にはいる。
「母様!」
追伸:
進んできました!やっとか…という感じもありつつ、まだまだ序章です(¨;)笑
これがこの物語の前菜であることを念頭に置いて読んでいただけたらと思います。
薊の叫ぶ声は悲鳴と化している。
震える朔は、それでもしっかりした面持ちで紗那の父を見る。
「さ、紗那殿のお父上。
しかし、そ、それでは母が殺したという確固たる証拠がございません。」
必死に大人の口調を真似る。
薺は肩で息をしていて、不安そうに子供二人を見上げていた。
「それは__お前達が鬼だからだ。」
空気が凍った。
紗那の父親の目は据わっている。周りを見れば、他の村人もそうであった。
「人間じゃない。俺達とは違う。
違う"力"を持っている。」
「な、何を…。」
「いつかボロを出すと思ってはいたが…こういった形で俺らに歯向かうとはなあ鬼共!」
再び薺を蹴り、そして踏んだ。顔を、だ。
朔は薊を庇い、見せないようにする。
「お前達もだ。いつまた、ここにいる誰かを殺すかもわからんからな。」
そう言うと、違う人が、朔と薊を連れ出す。
「やめて!
せめて二人は見逃してやってください!!」
「おーおー命乞いか!?」
「母様は殺してなんかいない!」
「だったら誰が娘を殺した!」
「母様じゃない!」
紗那の父親と薊は止まらない。しかし、力で薊が勝てるわけがなかった。
「ちょっと黙れ嬢ちゃん。君も母様のようにしてほしいか?」
「__触るな。」
何かの圧力がかかったような感覚。
深い翠の目で睨む兄に守られた妹。
その瞬間を、薺は見逃さなかった。
追伸:
9話目です。急に進展してきてます(笑)薺ママは見逃さなかったことで何をするんでしょう??
朔っくん、ヘタレキャラかと思いきや……?
早く本章に入りたい私です(¨;)笑
明日はセンター試験ですね。
受験生の皆さん、頑張れ!!
「いきなさい!」
朔は反射的に走り出した。薊の手をしっかり握って。
しかし、大人がいく手を阻む。
「母様!母様!!」
泣き叫ぶ薊と、後ろで聞こえる怒号。そして__母の悲鳴。
しかし、それは次に、村人の悲鳴へとかわった。
思わず朔が振り返る。目に入ってきたのは、燃え盛る自分の家と、鬼の姿となった母の姿。朔がこの姿を見たのは、これで二度目となってしまった。
母は、その姿でいてもなお、人間に手を出さない。朔までも、なぜと思ってしまうほどに。
しかし、何か印を結んでいる。瞬間、遠目ではあるが、緋い飛沫が舞った。緋の出所は、村人なんかじゃない。それは全て母のものだ。
「母上…母上……」
立ち止まってしまう朔。大人は追いかけてくる。
そこへ、そんな朔と薊の手を引っ張る人物がいた。
朔はどこで見たのでしょう、母の姿を。
それが2回目なら、1回目はどこで…?
ぜひ考えてみてくださいね。わかる人は分かっちゃってるかもしれませんが
草の茂みに隠れる。
それは__
「あ、蒼!?」
「しっ。静かに。」
泣き止まない薊をぎゅっと抱き締めて、嗚咽が響かないように、そして、安心させるように言う。
「大丈夫。またすぐ逃げるから。」
朔は懸命に堪える。
「蒼、紗那が殺されたって…。」
「本当のことだ。俺が帰ったら殺されてた。玄関の前で。
だけど、俺は朔の母上を疑うつもりはない。」
朔は涙目だ。
「あんなに優しい母上などいない。」
ごしごしとこする。
「僕はこれからどうすればいい。
…それを教えに来てくれたんだろう?」
蒼は笑う。そうだ、と応え、
「このままここで隠れてろ。ただし、物音ひとつ立てるな。
きっと、朔達の叔父上が来てくれる。 」
「叔父上…?」
「朔の母上のお兄様だ。」
「なんでそんなこと知って__」
蒼は、これには不思議そうな顔をした。
「おばさんが…俺に、そう伝えてきたんだ。今日、帰り際に…。」
少々考えるようにしてすぐ戻る。
「でもおばさんがいっていたんだ。俺は朔達を信じている。
…でも、俺はこの村に留まらないきゃいけない。紗那のこともあるから。」
朔は強く頷く。
そこで、少し蒼は笑った。
「でも、いつかきっと会いに行く。探しにいくから、二人のこと。…妹殺した犯人も見つけてやる。」
朔は、蒼のその言葉が嬉しくて、涙が出てきた。
「待ってる。僕も、強くなるから。」
「あぁ!」
追伸:
長かったですね。読みにくくてすみません。ちょっと反省です。
なんていうか、蒼兄イケメンですね(笑)まだ七歳というのが…みえないです。歳、詐欺ってますねきっと。
親友二人で交わした約束を、薊にも向ける。
「薊、待ってろよ。紗那とお前の母上の仇、いつか取るから。」
「うんっ…!」
蒼は優しく微笑む。
「薊はもう一人の俺の妹だ。」
もう一度強く抱き締め、朔へと戻す。
「死んでくれるなよ。」
「蒼も。」
頷きあった。二人はそれでよかった。
蒼は、赤々と燃える闇に消えていった。
「…兄様。」
「薊は僕が守るから。」
蒼の言葉と思い出し、泣くのを我慢する薊。’おじさん’が来るまでの時間が、永遠に続くのでは、というほどの長さだった。
「…んぅ…__!?」
びくっとして起きあがった。開かれた玄関からは眩しい光が入り込んでいる。朔が目があったのは、体格のいい一人の男性。お米を炊いているらしい。
「お…叔父上…?」
蒼の言葉を思い出す。
「朔、目が覚めたか。大きくなったなあ。」
焼けた顔に満面の笑みを浮かべる。
「おい朔、そんな呼び方するなよ。おじさんでいいんだよ。」
豪快に笑うおじさんに、朔は涙が出てきた。
「おじさんっ…おじさんっ!」
おじさんは釜戸から離れ、朔を抱き締めた。
「わかってる__辛かったな、朔。」
こらえていたものがはち切れて、ただただ泣くだけ。しかし、おじさんは黙って朔を待つ。そうしているうちに、薊が起きた。朔は慌てて目をこする。兄としての威厳は保っておきたいような朔に、おじさんは思わず笑みがこぼれる。
「兄様…ここはどこ?」
不安そうな妹に笑いかける。
「おじさんの家だよ。僕達はおじさんに助けられたんだ。」
「どうして、叔父様の家に__」
固まった。
「あ、薊…。」
「母様は?」
思い出している。
「母様はどこ?」
朔は目をそらしてしまった。そらしてはいけないのに。妹と、正面からぶつからないといけないのに。
「母様…母様!!」
両手で顔を覆う。泣くという言葉では足りない。
追伸:
被ってしまったー(¨;)笑笑
すみません(笑)
序章も新章ということで(次回の次回ですけども…)、そろそろ本格的に動きだします。
…動き出すのは次回からでしょうか(笑)
「薊。」
静かにおじさんが呼ぶ。
薊の様子が変わったら。
「…てやる…。」
「…薊?」
おじさんの呼びかけには反応しない。
「…殺、してやる…。」
「薊。」
少々きつい口調だ。しかし、薊は叫ぶ。
「殺してやる!人間共みんな‼消し去ってやる!」
「薊。」
大きな声を出したわけではない。しかし、子供を黙らせる迫力は果てしなかった。
「落ち着け薊。
薊の気持ちは十分わかる。だが、子供のお前さんに何ができる。…別に薊のことを止めやしない。だが、今行ったところで殺されて終わりだ。母親のようにな。」
あえて辛い言葉を入れて怒っていること、薊にも伝わる。
「お前さんの目的は何だ。」
「…母様を殺した、人間全てを消すこと。」
齢四歳の少女がいう。
「そうか…。」
おじさんは特に何とも言わない。
「朔はどうだ。」
答えられなかった。
追伸:
あああああああ!載りました‼
凄く嬉しい…(`;ω;´)
初心に帰れと、そういうことですかね??笑
まあ、四歳の子がいう言葉ではないですよね(苦笑)反省です。
うん、やっと進んできた気がしますね。
今後ともお楽しみ下さい!
おじさんは微笑む。
「答えは今出さなくてもいいんだぞ。」
そう言って、ぐしゃっと頭を撫でた。
「おじさんもなぁ…人間は許せない。だから、薊のことは止めんよ。
だがな、人間にもいいやつはいるんだ。」
朔を見て微笑む。
そうなのだ。だから、朔は目的を聞かれて答えられなかった。人間を殺したいとは思わなかったから。
薊はそっぽを向いた。絶対に赦さないんだから、そう呟いて。
おじさんは苦笑した顔を薊に向けた。
「もう10年は待てよ?お子さまもいいとこだからな。」
頬を膨らませた薊は、初めて打ち解けた顔をした。
「おじ様、早く起きて着替えなさい!」
「もうちょっと…。」
そんなことをいうおじさんの布団を剥ぐ。
「洗・濯!それとも、おじ様が行く?」
「薊殿にお任せいたします…。」
あの日から、13年という月日が経った。おじさんは、すっかり薊に頭が上がらない。朔も、自分で思う。薊には敵わないな、と。
あれから薊は、身のまわりのこと、全て自分でやるようになった。そして、他人のことも。母・薺の代わりをしてくれている。__と云うよりかは、そうすることで、悲しみを埋めているように見えた。
「兄様、先にご飯食べててね。よそってあるから。」
「ありがとう。」
言うと、薊は微笑んで駆けていく。
布団を引き剥がされ、やっと着替えたおじさんが、お膳の前に座る。
「薊のやつ、べっぴんになったなあ。」
朔は笑って返す。
追伸:
序章新章突入しました!やっと…やっとですよ(笑)
この話、ルーズリーフに書きまとめているのですが、一応序章完結したんですよね。早く載っけたいです。
楽しみにしてくれると嬉しいです。
「おじさん、発現がおじさん。」
「もうとっくにおじさんだっつーの。」
こう返ってきた。
薊は、あの日に言ったことはずっと覚えているのかもしれないが、今までそんな素振りも見せず、明るく振る舞ってきた。随分と笑顔の似合う美人になった。艶やかな髪は、洗濯物の白い衣類に、とてもよく映えていた。肩まで切り揃えたそれは、やはり三つ編みにしている。勿論、自分でやっていた。
朔と云えば、濃い茶色の髪は、長さと艶が増していた。伸びた髪は後ろで一つに結っている。優しげな顔立ちのまま成長した彼に、おじさんが一番喜んでいた。
ここ数十年、周りでは誰にも会わなかった。いるのは、小鳥や猪、熊。猫もたまに来たが、人間には会っていない。朔はふと、蒼と紗那を思い出した。あの日の緋は、鮮明に、目の裏に焼き付いている。手にしていた箸の手が止まる。
この様子に、おじさんが気付かない訳がなかった。しかし、何も言わない。それがおじさんの愛だった。
今回少ないですね、台詞(笑)
次はちゃんと会話します。どうしても説明を付け加えたくなるんですよね、性格上仕方がないです(¨;)笑
どうかこんな私にお付きあいください笑
発言のげんの字が違います(¨;)笑
誤字脱字、今までもこれからもあるかもしれませんが、生暖かい目で見守ってください…( ̄▽ ̄;)
しかし、朔が口を開いた。
「おじさん、ここ、人間来ないよね。」
朔の目は、おじさんの目の奥を見つめているようだった。それが、自分の中の"何か"を見られている気がして、恐くもあった。
「あぁ。」
一言答えると、朔は続ける。
「おじさん、あの日のこと、何か知ってるよね?」
ずっと、聡い子だとは思っていたが、急にどうしたのだろうか。
すると朔は、止めていた箸を置いた。
「あの日から、13年も経った。
…最近、薊の様子がおかしい気がする。具体的な言動では分からないけれど、今にも遠くに行きそうで__」
薊の、この短期間によって作り上げられた笑顔は素晴らしかった。上部だけの、偽りの笑顔。見抜けるのは兄所以だ。
おじさんは息を吐く。
「いつか言わなきゃなとは思っていたんだがな。…朔にだけ、まず話しておこうか。」
そう言って語り始めた。
追伸:
妹の何気ない変化に気づく辺りお兄さんですね。
あざみんの歪みが…オホン。
"何か"とは何なんでしょうね。分からないことほど怖いと感じたものはないです。あれ、本編とあんまり関係ないですかね?(笑)
「お前達の母・薺は、あの日人間の嬢ちゃんを殺した犯人で間違いない。」
追伸:
なんだか、あえて書くようなこともないかなーなんて思いました(笑)
まず、二行ですし(¨;)笑
うん…犯人、間違いないんですかね?私、書いてて疑心暗鬼ですよ(苦笑)
暗い序章も脱却するので‼
タイトルからして凄くレヴェルの高い話ですね。
もう弐も出ていますが続き楽しみにしています。