いつもと同じ朝
いつもと同じ電車に乗る
いつものようにあの男の人の向かいに座る
何をやっている人かは分からないけど
男の人とは思えないほど綺麗でオシャレ。
話したことはない。
目が合うと会釈するぐらい。
今日もほらね。
少し顔を上げれば目があった
ぺこっと会釈すれば
男の人は会釈し
すぐに手元のスマホに目線を落とす。
私はこの一連の流れが好き。
話したことは1度もないのに。
何でだろう。
安心する。
ぼーっとしながらそんなことを考えると、
自分のスマホが震えた。
...
ブーッブーッ
《新着メッセージがあります。》
なんだろう。
開いてみると、
相手は彼氏だった。
《今日の夜会えないかな?》
最近話なんてほとんどしてなかったのに
いきなり連絡がくるなんて...。
...悪い予感がした。
胸がぎゅっと苦しくなった。
...
当たって欲しくないときに限って
悪い予感は当たってしまう。
その日の夜。
呼び出されて話を聞けば
案の定別れ話で。
...今までずっと。
浮気されてたんだ、私。
...
夜も遅く人も少ない帰り。
電車の中。
瞳から溢れる涙を抑える事も出来なくて。
下を向いて自分の降りる駅を待つ。
あと3駅
といったところで新たな乗客。
慌てて涙を手の甲で拭えば泣いてるのが
バレないように結んでいた髪の毛を下ろした。
入ってきたのは3人の男の子達。
「まじかよ。www」
「へー、お前がなぁ。笑」
と話をしながら
長身のお兄さんと
金髪のこちらもまた長身のお兄さんが
笑いながら斜め向かいに座る。
それに続いて一番後ろから...
あの男の人...
...
そっか。今お仕事帰りかな。
なんて、
言ってる場合じゃない!
もうなんでこんな時に...
泣いてる姿なんて見せられないよ。
あと少しだもん。
きっとバレない。
大丈夫。
...大丈夫。
のはずだったのに。
私の向かいに腰を下ろす男の人
思わずいつものように目を合わせてしまった
ぱっと目が合えば
男の人が驚いた顔でこちらを見ていた。
恥ずかしい...。
最悪。
...
慌てて再び顔を伏せる。
早く...。
早く着いてよ。
いつもより長く感じるこの時間。
.........
ドサッ
隣に誰かが座る気配。
俯いたまま目線をずらし隣を確認する。
「...あげる」
隣にいたのはあの男の人だった。
私に向かって棒付きキャンディを差し出している
えっ、
もしかして...
「...要らないの?」
驚いて男の人の顔を見る。
と同時に顔を逸らす男の人。
元気づけようとしてくれてる...?
『い...いるっ。ありがとう。』
......to be continued
いつもと同じ朝。
いつもと同じ電車に乗っている。
いつものように綺麗な女の人が向かいに座る。
何をやっているかは分からない。
女の人はいつも低いポニーテール。
話したことはない。
目が合うと会釈する程度。
今日も、ほら。
女の人が少し顔を上げれば目が合う。
ぺこっと会釈され
会釈しかえすと
女の人の口元が緩む。
それを見て俺は手元のスマホに目線を落とす。
この1連の流れ結構好きだったりする。
......
話したことは1度もないけど
いい人なんだろうって思う。
しばらくスマホをいじって目線をあげる。
女の人はスマホをみている。
眉間にしわをよせて
怒ったような悲しそうななんとも言えない表情。
何かあったのかな?って思うけど
所詮俺には何も出来ない。
けれど...
なぜだか胸騒ぎがする...
その日の夜
いつも通り仕事に行って同僚2人と帰る。
駅のホームで電車を待つと電車がきて
1人の女の人が下を向いて座っている。
同僚と話しながら電車に乗る。
「あっ、、、」
うつむいて座っているのは
朝あう女の人。
同僚2人が女の人の斜め向かいに座る。
それに続いて朝と同じように
女の人の向かいに座る。
いつもと様子が違う。
顔に両手をあて髪も顔を隠すように下ろしている
目、あわないかなって思っていると、
ぱっと目があう。
泣いているのか目が真っ赤だ。
朝の表情となにか関係があるのだろうか...
......
同僚に話し女の人の隣へ...
ドサッ
すると女の人は俯いたまま目線をずらし
こちらを確認している。
こんな時は...甘いものかな......
「...あげる」
棒付きキャンディをさしだす。
女の人は戸惑いながらこちらを向く
それにあわせて女の人の逆をむきながら
「要らないの?」
『い...いる。ありがとう』
俺と女の人の距離が縮まった瞬間。
...to be continued
おおっ!こうなるのか…
ちょっとびっくりしたけどこれ楽しみです!
江國さんと辻さんのRosso/Blueを思い出しました。どっちも一人で書けるなんてすごいなぁ…笑