「はりつけにされたら、無実の罪にさえも謝ってしまいそうだ。」肌寒さから目が覚めた。夏なのに、骨まで染みるような底冷えで、体が軋むように傷んだ。目の前には、夏の夜の深い青に染まった教室の、空っぽの机と椅子がずらりと並んでいた。神崎の執拗な拷問で気を失ってから、僕はどうやら教室の黒板にはりつけにされたようだ。空っぽの教室を眺めてみる。神崎にかけられたシューアイスの残り香が微かに香って、夜の冷たさに押し潰された。口の中がカラカラに渇いて、昔、西内と食べたシューアイスの味を思い出す。あの頃の僕は幼く、無知で愚かで無力だった。今の僕は、どうだろうか。高校生になった僕は、シューアイスへの愛すら全うできない、しょうもない奴じゃないか。怒りに身を任せてみたところで、自分を守ることさえもできない、最低の男になってしまった。喉の奥が痛いほど渇いて、シューアイスがどうしようもなく食べたくなった。けど、そんな資格はもう僕にはないんだ、と気付いて、唇を強く噛んだ。愛したものが必ず手に入るとは限らない。それは、気付かない内に、手の届かないところへ行ってしまう。外では、ねばりとした風が吹いて、暖かい空気を何処かへ運んでいってしまう。短い呼吸を繰り返す。こうしていれば、いつの間にか朝が来て、全部無かったことになるのだろうか。目をつぶって、もう一度、シューアイスの極上の一口を食べられるような朝を想像して、僕は眠りにつこうとする。
ミヨちゃんこと三好清美は私をキッと睨み付ける。教室の対角線からの鋭い視線に、一瞬怯み、やっぱりミヨちゃんはカッコいいって思う。ミヨちゃんは昔からサラサラのショートヘアが自慢の、美しい女の子だった。小学校の時の私は同じクラスのミヨちゃんが羨ましくてしょうがなかった。へちゃむくれな私と、カッコいいミヨちゃん。いくら憧れても足りなかった。運動も勉強も苦手な私は、唯一絵を描くことが好きで、描いた絵をミヨちゃんに見せては、喜んでくれるのが嬉しくて仕方なかった。ミヨちゃんが喜んでくれる絵を描けることが、私が私を好きになれるたった一つのことだった。私は、目の前の彼女の、険しい顔を見つめる。私は今でもミヨちゃんが好きだ。ミヨちゃんの、まっすぐで澄んでいる瞳が好きだ。私は口をパクパクさせて、胸の奥の気持ちを吐露してしまいそうになる。でもそんなことして、彼女の美しい髪と、まっすぐな瞳を汚すのは、この上もなく最低だって、わかってる。わかってるから、私の口から何も出てこなくて、無様に口をパクパクさせて、悲しくなってうつむく。さっきまで赤く染まっていた外の景色は、一気に色を失って、冷たさに青く染まる。ミヨちゃんは、何か大声で叫んで、近くにあった濡れ雑巾を私の顔目掛けて投げつけると、教室から飛び出して何処かへ行ってしまった。取り残された私は、雑巾で濡れた顔に安堵する。色を失った景色に、雲がどんどんと流れ込んでいく。私は小さく、にへら、と笑う。自分で自分を笑うのは、この上もなく最低だ。
加藤ってかっこいいってタイプじゃないけど、男らしいなあってあの時思った、すっごく。中学の頃に私はバスケ部に入ってて、毎日汗臭いバッシュ履いて体育館走り回ってたんだけど、その頃から加藤はてきとーな奴って有名で、私は、何ていうか、体育会系の意地みたいなものが発動してて、適当に人生生きてるやつなんて嫌いだ、近寄んなって思ってた。対してバスケ上手い訳じゃなかったけど、それでも部のキャプテンやるくらいには真剣だったんだ。で、中二の冬ぐらいにそこそこ大きい大会があって、部内がかなりピリピリしてた時期があって、まゆみっていう副部長やってた子と私がほんとどうでもいいことで喧嘩しちゃって、もう本当こんな時期に何やってんだーって落ち込んでた。加藤が部活覗きに来たのはちょうどそんな時期で、まゆみと結構ガチで険悪な感じになってたから、私も構う余裕とか全然なくて、試合前だから帰ってくんないかなって睨みながら言っちゃって、そしたら加藤は、そか、邪魔して悪かったな、また来るわ、ってちょっと残念そうな感じで言うから私は、もう来んなよ、邪魔なんだよ!って叫んだ。体育館ってわかると思うけどかなり声響きやすいから周りにいたやつらが振り返ってこっち見てきて、おまえが邪魔なんだよ静かにしろよって野次飛ばしてきて、いつもなら全然相手になんてしなくて余裕なのにその時はもういろんな事が重なってたから恥ずいけどその場で泣いちゃって、もうどうしていいかわかんなくなってしゃがみこんだ。したら加藤が周りじろっと睨んで、俺が悪いっつってんだろ、黙ってろよって言って、それでもブツブツ言ってる奴ボコして、小さい声でほんとごめんって言って帰ってった。悪いの私なのにね。結局大会はあんまいい成績残せなかったけど、その後私は加藤にあの時はごめんって謝りに行った。そっから何となく付き合うみたいな流れになって、もう3年くらい経つんだなあ。
西内は夕方、スパイクで荒らされたグラウンドにトンボをかけていた。部員達が散り散りになって、赤茶けた地面をならしている。ハルヒコとシューアイスを食べたのもこんな日だった、と西内は自分が幼かった頃を思い出す。あの日は、夏休みの丁度真ん中の、真夏日だった。多摩川をずっと行けば海に出ると信じて、西内とハルヒコは朝早く、親の目を盗んで出掛けていった。まだ朝日がのぼらないうちから自転車をこいで、クタクタになるまで行ったけれど、一向に海は見えてこなかった。家から持ってきたお握りやチョコレートを食べ尽くして、いよいよもう少しも進めなくなったとき、西内は、ハルヒコの真っ直ぐな横顔を見た。丁度、今日のような西日に、真っ赤に照らされ汗ばんだ、真っ直ぐな横顔を見た。「僕ら、かっこわるいな。」ハルヒコは吐き捨てるように言った。「また、いつか海を見に行こうよ。今日はもう帰ろう。」西内は呟くように、諭すように言った。ハルヒコは小さく頷いて、来た道に向き直り、ヨロヨロと自転車をこいだ。途中、何度も休憩を取り、その度にハルヒコは悔しそうに歯噛みして、かぶりを振っていた。夜になり、街の灯りが点々とつき始めた頃、僕らはようやく開始地点に戻ってきた。ハルヒコの家の前までいくと、彼の母が神妙な面持ちで待ち構えていた。散々に怒られ、僕の家にも連絡を入れられた後、ハルヒコのお母さんは僕らに二つずつシューアイスをくれた。一度に二つのシューアイスを食べるのは御法度だと知っていたけれど、お食べ、と言われて、僕らは貪るようにしてそれを食べた。今思えば、あのときからハルヒコと本当の意味で友達になったのだ、と西内は改めて思う。あの時の、カラカラの喉に染み渡るようなシューアイスの味が、遠い記憶となって甦ってくる。
てかさ、マジでワケわかんないんだけど。ハルヒコのやつは暴れるだけ暴れて神崎に連れ去られちゃうし、神崎はウチらガン無視でどっか行っちゃうし、誰が後片付けとかすると思ってんのかな。5組の連中はとっくにノビてて使いもんにならないし、あたしもソッコーバックレたいんだけどヤマセンに見つかっちゃって逃げられなくなったじゃんよ。ヤマセンこういうときのタイミングマジでサイアク。本気でヤバい時には居ないくせにさ。てわけで渋々教室かたしてる訳だけど、マジでだる。意味わかんない。え、神崎は加藤のなんなわけ?あいつら付き合ってんの?それシュー教的にマズくない?神崎って確かシューアイス正教の司祭の娘とかで、ウチの学校の行事とか仕切ってるし、アイシストの加藤と付き合っちゃったらサイアク破門じゃん。まわりには隠して付き合ってましたーとか?でも今回の件で身バレしちゃったねざんねーん。明日にはあいつの親父が学校に乗り込んでくるかもねー。って、あんなビッ○どうでもよくて。あたしどうすんのよって話。いや別に加藤のことホンキとかそういうんじゃないんだけど、これチャンスじゃない?神崎がハルヒコしめてる間に加藤を保健室連れてって二人っきりみたいな?やば、片付けしてる場合じゃないって。って思って髪整えて加藤のとこ駆け寄ったら秋口が教室の後ろのドア開けて入ってきた。ガラッて、勢い良く。「掃除中。汚れるから入ってくんなよ豚。」秋口の髪の先が乱れてる。あたしにはわかる。また後藤田とあってたんだ。ったくどいつもこいつも汚ならしいなあ!
「神崎は麦わら帽子がよく似合う女の子だったなあ」ろくでもない回想をする。杉田が加藤をぶちのめした所を見届け、携帯をしまい、牧田は校舎裏から出てシューアイス聖堂へと向かう。今日の分の祈りを済ませようと木製のドアノブに手をかけたところで、目の端に神崎が映ったので振り向く。見ると、鬼の形相で杉田を担ぎ上げ体育館の方へ向かう神崎がいた。牧田は柄にもなく唾を飲んだ。麦わら帽子を被った神崎の、少し照れたような、柔らかい笑顔の映像が、脳内で浮かんでは消え、気付くと神崎の後をつけるようにゆっくりと歩き出していた。体育館に入ると、神崎は杉田を乱暴に投げ飛ばし、携帯を取り出した。牧田は、興奮と恐怖に苛まれ、混乱する足取りで体育館の倉庫へと回り込み、そこから神崎たちの様子を伺うことにした。汗臭いマットと埃を被ったゴム製のボールの匂いでむせかえる。暫くするとSBGの卯月、皐月、水無月の3人が入ってきて、杉田を取り囲んだ。SBGはヤバい。あいつらが出てくるとろくなことが起こらない。曰く、あいつらに目をつけられた奴が翌日には校庭の砂場に白骨になって見つかったとか。凄惨な拷問と発狂寸前の杉田の叫び声が体育館を埋め尽くして、牧田はもう気が狂いそうだった。優しかった神崎の、柔和な笑みを思いしては、目をつぶり、叫び声で目を見開く。それを繰り返す。女は恐ろしい、と口ずさんでみる。自分が今日初めて本当のことを言ったような気がした。西日が傾いて、もうじきに夜になる。
「泣いてるの?」「うわ、この程度で泣くとか、男としてどうなのそれ」「嬉し泣きだよね?大好きなシューアイスかけてもらって喜んでるんだよね?」「どんだけシューアイス好きなの、ちょっと引くわ」「杉田くん杉田くん、私たちが誰かわかる?わかってくれるかなあ?」「わ、睨んでるー。こわー。」「口も手も足も全部使えなくされて、反抗的になるって頭悪くない?」「大人しくしときなよ、杉田の癖に生意気。」「ちょっとウヅ、言い過ぎだよ。」「神崎さん激オコだし良くね?」「つかシメるために呼ばれたんでしょ私たち。」「そうだけどさー、もっと女の子っぽくしようよ。」「ミナはぶりっ子過ぎ。正直疲れんですけどー。」「え、ひどい。。。」「冗談だってもー、めんどいなあ相変わらず。」「あ、杉田が何か言ってる‼」「てかあれ呻いてるんじゃね?神崎さんのシメ、マジでエグいし。」「うわ爪全部剥がされてんじゃん。。。」「こわー。絶対逆らえないわ。」「それよりそれよりっ!私たちの自己紹介出来てないじゃん‼これじゃ杉田くんとお知り合いになれないよ!」「ミナはちょっと黙ってよっか。」「ひどいよウヅー。」「シメられてる奴に笑顔で自己紹介する奴の方がひどいわ。」「さっちゃんの突っ込みは相変わらずキレキレだねっ。」「てへっ☆みたいな顔してんじゃねえよ殴んぞ。」「泣くよ?私泣いちゃうんだからね?」「あーはいはい、どうぞ私達の自己紹介しちゃってください。」「えへへ、ありがとウヅ。私たちはね、ショートボブガールズ、通称SBGって言われてるんだよ!髪型がシューアイスのシューみたいでかわいいでしょー!私はミナヅキ、皆からはミナって呼ばれてて...」「こいつもう意識無いよ」「うわマジ有り得ないんですけど。」「ミナ、顔が怖い。」
神崎さん、どんな闇の組織の人間ですか(笑)
ミナちゃん、バトル物のキャラで実は一番危ないから周りが怒らせないように可愛がる系の雰囲気
ガッチャマンのODとか、クローズの綾野剛みたいなん
嫌いじゃない
あきやさん
気付いたら月一更新のペースになってました。完結するかすごく不安。。。
神崎さんは単体最強キャラです。変な粉を売ったりなんてそんなまさか。
ミナちゃんはきっとショートボブが一番似合う子です。いわゆる系のキャラで、書いてて嫌いじゃないけどアニメとかで見るとイラっとすると思う。
「ドロドロに溶けてしまったね。」僕は目を覚ます。ベニヤと埃の匂いがする。ぼんやりとした視界が段々ハッキリしてきて、目の前には神崎がいる。麗しの神崎照美。1組のマドンナ。僕がシューアイスの次の次くらいに好きだった女性。霧がかかったような思考で僕は何が起こったか必死に思い出そうとしてみる。そうだ、僕はあの下劣極まる加藤をボコボコにぶっ倒したあと、やつが食べていたシューアイスを救おうとしたんだ。「こんな、形の無いクズみたいなもののために人の彼氏殴ってんじゃねえぞ、落とし前つけろよ。」ドスの効いた声が響き、咄嗟に逃げようとするが動けない。ロープで縛られ、地面に転がされている。僕はあの時、今にも崩れてしまいそうなシューアイスを掴もうと手を伸ばした。あと少しでその純白の肌を劣悪な環境から救ってやれる、そう思ったとき、背後から何者かに殴られ昏倒したんだ。「そんなに大切ならくれてやるよ、ほら。」頭に何かトロリとしたものをかけられる。僕は咄嗟に目をつぶるが、甘い香りが鼻につき、神崎が僕の頭にかけたものの正体を知ってしまう。不敬だ。これは、何よりもしてはいけないこと。シューアイスを、僕の体で汚すなんて。何という愚行。何という失態。僕は怒りと恥ずかしさでわなわなと震える。助けてやれなかった、その罪を、僕は今身をもって味わっている。
続編待ってました。今回も素敵です。
きいろいかえる ありがとうございます。行き当たりばったりで進めておりますが、読んでくれる人がいるとやる気がわきます。今後ともどうぞよろしく。
私はどこにも属さない。属さないということにすら属さない。ふと思い付いたこの無所属への憧れを私は必死に模写する。白いキャンパスにB2の鉛筆で濃く描く。書道室の、白く淡い墨が流れるような光が沸々と沸きだし、私以外を満たしていく。
白かったキャンパスは汚れていく。私に汚されていく。私はりんと姿勢を正し、睫毛の伸びきった瞳で無所属を模写する。私の胸が膨らんだ頃に私は髪を伸ばすことをやめた。私の髪が色めき立つ頃に私は口紅を塗ろうと思う。私はそうやって関わっていたい、何事にも。りんと姿勢を正し、背徳的な行為に耽っていたい。口を真一文字に結んで、暖かい季節が過ぎ去るのを待ちたい。私は高校生でいたい。私は清く正しい学生でありたい。木の枝をはむ様な恋をして、ガチャガチャの愛憎を思い出にしたい。私の髪が色めき立つ頃に私はもう一度待ってみたい。
木造のドアをガタガタと鳴らし後藤田が書道室に入ってきた。私は振り返り、にへら、と笑う。後藤田は、仏頂面を構えて見下ろす。後藤田の無骨な肉体を見上げる。変態的な愛はいらない。私は無所属を振り返らない。
B2ではなく、2Bでしたね。。。恥ずかしい。美術の内申が2だったことがバレちまうぜ。
2B、使いやすいんですよね。
僕は無意味に4B一本で挑んでいた時期がありましたが。
なんだか、話の筋が、よりメンタルの柔らかい部分に触れてきましたね。
シューアイスの皮とアイスの間のような、そんな感覚がします。
あきやさん 4Bってどんなのなんだろうか。。。HBと2Bしか使ったこと無いです。ガリガリと音がするんだろうか。
秋口さんはちょっと特別です。こんな女性がいたらいいな、っていう願望が滲み出ております。次回からは主人公がまたシューアイスシューアイス言い出す予定です。
「ざまあみろ、だ。」牧田は薄暗い校舎裏、雑草の茂る中でそっと呟く。手の中の小さな液晶画面に、杉田が加藤の顔面を思い切り叩きのめす様子がぼうっと写し出されている。じめじめとした空気を吐いては吸い、牧田はコマ送りのように流れる映像を表情もなく眺めていた。汗がどこからとなく湧き出てきて、湿った制服を夕方の生暖かい風が撫でる。牧田は神崎のことを思う。腰の辺りまで伸びた黒髪を思い描く。その髪が短かった頃、牧田は確かに神崎のことが好きだった。顔を真っ赤にして手を繋ぎ、一緒に下校したり、したこともあった。喉がカラカラに乾いて仕方なかった。牧田はポケットからシューアイスを取り出し、一口食べる。少し溶けたバニラアイスが牧田の喉を潤してくれる。冷たかったシューアイスが溶ける様に、牧田の恋は無くなっていった。短くて、幸せな時間だった。雨の多い6月が終わる頃、珍しく晴れて気持ちの良い昼下がりに、神崎は牧田と別れた。2ヶ月前から加藤と付き合い始めたらしい。怖くて中々別れ話が出来なかったんだって、ふざけんな、クソ○ッチ。杉田が繰り出す拳の一発一発が、あまりにも生々しく、まるで本当に自分の手が痛むようだった。やれ、やっちまえ。叩きのめせ。牧田は左手をぎゅっと握り締め、誰にともなく祈った。
手は、心は、痛めた方がいい
たまねぎは、よく炒めた方がいい
ちゃんと、甘くなるように
あきやさん おっしゃる通り、手は痛めた方がいい。そうしないと、涙が出っぱなしなっちゃうね、きっと。
何十回目かの投稿かもうわからないけれど、載って良かった。レスがついて良かった。ありがとうございます。
やばっ加藤がガチギレしてんじゃん!ソッコー写メ取ってTwitterで拡散。廊下から撮ったからちょっと画質荒いけどまあわかるっしょ。加藤けっこう顔濃いし。それにしてもなんでキレたのかなーって気になってよく見たら机の上に食べかけのシューアイスがあって、なるほどってなった。あたしも確かに加藤のシューアイスの扱いは正直どーかなって思ってた。食べ方汚いしそもそも感謝が足りないんだよね、あたしみたいなシューアイス正教徒からするとさ。加藤に張りあってるハルヒコは確かかなり厳しいシュー派に入ってたはずだし、納得だわ。まあ5組はアイシスト(シューアイスをその他のアイスと混同し信仰しない者を差す蔑称)多いし、ハルヒコも肩身狭かったんだろうな。で、もう我慢しきれなくなって爆発、ってことね。うんうん、気持ちわかるけどやって良いことと悪いことがあるよー。携帯チェックしたら早速2組の神崎照美からリプが来てた。やっちゃえ加藤!だって、あいつも加藤のこと好きなのかなあ。
めっちゃすき
くすくすしました(笑)
100ローの5つくらい入ってるシューアイスに一時期ハマりましたね
ここは、コーヒーだのミルクだの、マシュマロだのプリンだの、色々おいしいものが出てきますね
あきやさん 同じく、クスクスしながら書いています。笑 100ローはたまにそういう憎い商品があって癖になるよね。大学前にあったので、お世話になってました。眺めているだけでお腹一杯になれるところですよね。
「人生に疲れたよ」加藤はシューアイスをモゴモゴ咀嚼しながらそんなことを語る。僕は、教室の隅から、そんなことをシューアイス食べながら語るな、といきどおる。シューアイスだぞシューアイス。廃れた校舎の夕方に似つかわしくない天使の食物。神の慈悲、感涙すべき僥倖、なんと言う幸せ。夕日に照らされ赤茶けたロッカーから体操着の腐敗臭、黒板の周囲にチョークの粉末等々が漂う中で鬱屈した青春の唯一の救い、シューアイス。僕らは間違っていた。人生に疲れているのではない。シューアイスのない人生に絶望するのだ、とかの有名なニーチェでさえ言ったかも知れない、あの時代にシューアイスさえあれば。加藤は相変わらずふて腐れながらシューアイスを頬張っている。もう限界である。僕は、シューアイスの何たるかを理解しない加藤に天誅を下すべく決意した。僕は目の前の女子共を蹴散らし行く手を阻む体育会系男子共をちぎるように投げ飛ばす。加藤はおののく。シューアイスを食べる手を止めた。僕は、机の上に置かれたシューアイスに目をやり、融けないで、と心の中で祈る。僕が助けるまで、どうか。加藤は遂に立ち上がり、早速シューアイスに対してのあること無いこと罵詈雑言、誹謗中傷を繰り返す。僕は聞く耳を持たない。仇を取ると決意したのだ。見ていてくれ、このあけすけな青春に、シューアイスの花が咲く。
シューアイスのお話、
とっても好きです。