鉛筆を削って、何か書くことにした。バナナを書いた。なぜバナナにしたのだろう。下手くそな曲がり具合になった。消すのも面倒だったのでそのまま放置。
畳に転がって、申し訳程度にタオルケットで腹を覆った。目を瞑る。眠れないだろう、と思った。昨晩は遅くまでゲームをしていたが、睡魔が訪れる予感が全くしない。
「スイカ食いてー」
ぼそりと口に出すと本当にそんな気分になった。スイカ割りについての思い出は、小学校の時クラスで人気のあった奴の一つ前の順番が俺で、俺が割ってしまったので気まずくなったことだけである。
気怠い。空気がむうっとぺたぺた肌に擦り寄って来た。カブトムシの真似をしていたら、晩飯に呼ばれた。
ぞろぞろ揃って家族旅行が馬鹿らしくなった遅い反抗期、反抗期返り。
かぶとむし地獄のシャワースイカの種飛ばしじいちゃんのハエ叩きは瞬殺。
反抗期、帰り。
へいへい、夏を
取り返しに
街へ出るとしますかね
お元気ですか?あーっ、こんな他人行儀な言葉使うと変な感じするから、タメ口でいい?いいよね、いまハタチなんだ、うっそ、見えない。強いていえば口紅赤くした、よね、ちょっと髪明るくした!どうせならもっと分かりやすく変えなよ。ほら、言ってたじゃん、金色にするって。ほんと変わってないね、そういう無駄に真面目なところ、嫌んなるわ〜、あ、あたしコーヒー飲めない。アイスティーにして。でさ、なんでわたしがここに来たのかっていうとさ、昨日電話きたの、富士川から。富士川、覚えてる?あの化粧も服もバッチリなのに、そうそう、うっすら眉毛繋がってる!!!で、なんか面談でよくわかんない連発してたら、ここにいますぐ電話しろって、あ、ケーキ食べていいの?やった、さすが稼ぎが違いますねー。じゃあ、レモンチーズタルト。えーっと、どこまで話したっけ、あ、そうだ、で、電話した訳。で、先輩に話を聞けるように機会を設けた、とか言われたから来たらさ、まさかね〜。どう最近、たのしいの?なにその顔、すごい不安になるんですけど。じゃあ、話を変えるわ。あたしね、詩を書いてるの。歌も歌いたい。お芝居したり、写真撮ったり、そうして大人になろうと思ってんの。だけどさ、こんなこと親にも先生にも言えないし、だから、ここに来たんだよね。でも、その感じだったら、ちょっと聞かないでおく。あんたがそんな風になったのはあたしのせいだもんね。わかった。うん。あたしががんばる。あ、はい、わー、きたきた。美味しそう。え、同じなの。空気読んでよ〜。ま、2人しかいないし、いっか。ま、2人でもないし。ほんとは、ね。
今日未明、〇〇中学校の図書館にて
或る男子生徒が小説を借りようとしているところを一人の女子生徒が残念そうに見つめていました
すると、その視線に気づいた男子生徒が
自分の持っていた小説を女子生徒に手渡しました
女子生徒は恥ずかしそうに礼を言って
本を受け取りました