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細胞。夜明け。宇宙。懐かしい歌。落下生。 花はあなたに差し出そう。

ゆりいか

誰も知らなくたっていいし 70億人が知っていてもいいな。
何がどうあれ 僕は僕だ。
深海に沈んでもいいし 宇宙の涯だっていいな。
どこまで行ったとして 僕は独りだ。
水面の朝もや 微かな光 落ち葉を踏む音 ひどく小規模な魔法。
優しすぎて 窒息しそうだよ。 眩しすぎて 暗闇のようだよ。
僕は僕を差し出すだけだ。 愛されようと 蔑まれようと。
この世の果てでも きっと僕は僕だよ。
僕が消えた後も どうせ僕は僕だよ。

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2015-12-28 23:20
I am me.

光陰

どん底だから 後は這い上がるだけだと
あなたは容易げに言うけれど
この世が地獄たる所以は
ここが本当に底か 誰も知りえないからだ

今より悪いってことは無いだろうと
手渡した結果どうなったっけ
僕が歴史から学んだ唯一のことは
人間は歴史から何一つ学んだりはしないということだ

冷たい雨
立ち尽くす影
世界は今日も問いかける
もういいかい?

まだだよ 当然まだだよ
明日は今日よりもひどいかもしれない
飛び出したら余計にどしゃぶりかもしれない
でもここじゃないよな

さあ 問おう
僕はどこまでいけるだろう
地獄の底を抜いてしまうかもしれない
あるいは雨雲を突き抜けるかもしれない
少なくても言える事は
ここではないよな

天国も地獄もすぐそばにあって
たかだか一生分の間隔しかない

濡れたって気にすんなって
お気に入りの靴を履いて
涙が枯れるまで踊ろう
やがて虹の橋を渡ろう

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-11-18 23:08
  • 凄く引き込まれました。

    望月朔(もちづき さく)
    女性/25歳/大阪府
    2016-11-19 16:08
  • ありがとうございます。

    ダレカ酸
    男性/25歳/東京都
    2016-11-21 22:51
There is always light behind the clouds. - Louisa May Alcott

らいかろーりんぐすとーん

産声には言語も国境も人種もない。
獣から遠ざかるほどに 神さまからもかけ離れて。
理解し合うには複雑すぎるほど 人間になってしまうのだ。
それだって 許しあってしまおうぜ。
分かり合えなければ 笑い合えないか?
知り尽くさなければ 愛し合えないか?
人生が天国から落下していく過程にすぎないとしてもだ。
下らない人生はあまりにも退屈だから。
坂道を下り続けるのだ。 高らかに笑いながら。

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-01-15 21:52
If you want to be happy, be. - Leo Tolstoy

さようなら、はじめまして

砂漠で 雪原で 山間で 都会で 
夜明けの色は どう映りますか?
失ってばかりの道行きを それでも照らそうとするようかな。
無くしてばかりの僕たちを せめて暖めようとするようかな。
爛々と輝く陽光と星空の下 はなればなれなのに となりあっているように 
話をしようぜ。
人生について お気に入りの唄について 或いは別の何かについて 
銘々に体温を持ち寄って。
まるでおとぎ話のように 僕ら もう 
幸せになるしかないよな。
手遅れだよって君が言うなら 僕がその手を引っ張ってやる。

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-01-29 21:57
自己紹介は苦手。これといった自己が無いから。

とおくのあしおと

遠くの足音のように 心臓が脈をうっている。
ようこそ僕の暗闇へ 今こそ僕は暗闇へ。
歩いていけるのかもしれない。 心臓を連れて。 心臓を連れて。
魂に酸素をあげよう。 窒息しないように。 燃え続けていられるように。
星が瞬いている。 月が綺麗だ。 散らばった欠片は 乱反射している。
空っぽのこの手も 実は世界と繋がっていて。
光には触れられないだろう。 掴めもしないだろう。 それがどうしたっていうのか。
歩いていけるのさ。 傷跡を連れて。 汚れた足で。 
遠くで足音がしている限り。

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-01-04 22:38
孤独に震える夜に、こっそり毛布をかけるように。

深呼吸

息を止めて空気を読んでばかりいるから
苦しくなってため息を吐き出してしまうのだ

皆がコートを着ているからって
暑苦しいのを我慢している必要はないんだ
世界中が歓喜の輪を作ったって
君は君の悲しみを悲しんでいいんだ
世界が悲しみの底に沈んでいたって
君は君の喜びを盛大に祝っていいんだ

空の底に光があって
春がやがて降り注ぐだろう
花びらが舞い散る中で
唄いながら宙を舞う小鳥

いずれ夕焼けが空を染め
空はやがて星が満たして
日の出の3秒前に光あれと叫んで
神様ごっこして遊ぼう

ただ思いのままに生きる
どうせ終わっていく命を
笑いながら愛おしんで
一頭身の身体を燃やして
幸いまで運んでいくのだ
神様の真似事をしながら
幸いまで運んでいくのだ

息を吸え そして吐け
魂を燃やせ
光あれ

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-03-10 15:46
It’s all about the journey, not the outcome. - Carl Lewis

Also sprach Zarathustra

震源地に集まる野次馬じみた善意の人々
に 後ろから指を指す液晶越しの野次馬たち
世界は小さくなりすぎたみたい
無関係なふりを決め込んでいたいのに

ヒーローになりたがる人々はこれほどいるのに
世界がちっとも良くなりはしないなんて驚きだよ
世界は重くなりすぎたみたい
もはや誰にも背負えはしない

幸せの作り方すら知らないのに
もう何一つ知りたくないんだ
重くなりすぎたのは
僕の頭の方だろうか

神様の死因
スーパーマンにはなれない
実は一方通行だったよ
取り返しはつかない

赤ん坊が立てた中指
空を握り締めるこの手で
僕たちはもう
世界を変えてしまうしかない

壊せ 燃やせ 火を想え

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-07-22 21:21
ニーチェぱねえ。

You are the first one of your kind

一人じゃないとか冗談だろう?
僕は史上初の僕だよ
あなたは宇宙初のあなただよ

僕は僕らしく生きていくしかないんだ
あなたはあなたらしく生きるほかないんだ
だから
手を繋ぐことはこれほど尊いんだろう

新しい物語を始めよう
誰も見たことのないものを
誰も知ることのない感情を
憎み合おう 奪い合おう
そうして愛し合おう

失敗を積み上げ 泣きたくもなるだろう
それでも「それでも」と言い続けよう

歴史を作るのはいつだって
一人きりの僕たちだ

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-12-22 13:00
Kites rise highest against the wind – not with it. - Winston Churchill その1

heritage

「ロケットの打ち上げがあるらしい」

水面は反射する
空を 光を
宇宙に手を伸ばす赤ん坊
もうすぐあの星に触れるよ

空と海と土の間を生きる
僅かばかりの魂を 傷だらけにしながら
美しい場所まで歩く
際限なく汚れながら

赤ん坊の睫毛がまどろみを払って
瞳は今まさに開かれようとしている

本質を観測することはできない
それでも手は伸ばされる 光の方へ

「打ち上げは失敗に終わったという」

かつて赤ん坊だった全ての人たちが可能の限りを尽くして
それでも未だに誰一人辿り着けずにいる光のさなかへ

深く もっと深く
根を張って
魂が血を流す限り 呼吸して
瞳に光がある限り 絶え間なく鼓動は続く

高く もっと高く
飛べないとしても飛ぶのさ
届かないとしても伸ばすのさ

ほら、限界を超えるよ
やがて想像すら超えるよ

今にもあの星に触れるよ

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2017-01-17 14:19
  • 映像がぶわあって広がってました。こう、なんかうまく言えませんが好きです。

    望月朔(もちづき さく)
    女性/25歳/大阪府
    2017-01-17 21:42
  • 映像的でありたいというのは一つの目標なのです。
    ありがとうございます。

    ダレカ酸
    男性/25歳/東京都
    2017-01-18 23:31
Kites rise highest against the wind – not with it. - Winston Churchill その2

はろーわーるど

ハローハロー やあ、世界
こんな僕も君の中にいてもいいかい?
すばらしい世界

ハローハロー なあ、世界
いつだって誰かの誕生日で命日なんだろ
すばらしい世界

たとえば僕らは神様のワイン袋で
今もそれがそこら中で弾けて 大地を舗装しているんだとしたら
僕はあらゆる毒薬を飲みほして 弾け飛ぶ日を夢に見るよ
あの聖なる愚かな酔っ払いに 不幸な目覚めの時間を

ハローハロー 美しい世界
それでも僕は今ここにいるんだ
すばらしい世界、神様の吐いた反吐

死にたいよ、でも今日じゃない

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-03-14 21:58
  • そうだね、死にたいとか思うこと
    たくさんあるけど
    今日じゃないね^ ^

    カチョフのしゃちほこ
    女性/26歳/東京都
    2016-03-14 22:34
死んでも嫌なものをまだ見つけていないだけかもしれない。

エンドロール

びいどろは壊れてしまったね
思い出が唐突に撒き散らされて
きらきらと光ったことだろう
ほとんど見逃してしまったけど

こんなに悲しくても
やり遂げなくてはならない命
幸いは恐らく
絵と空にしか無いのに

全てを手に入れたなら
あとは全て壊してしまうだけだ
ならばもう 何も

花びらは散って さよならの時間だ
もしかすると 僕は

泣いていたのかもしれない

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-04-08 23:34
卒業式

flower head

人間関係に悩みなんて無いのは 悩むほどの関係がないからだ。
僕の幸せな脳味噌には 僕ひとり分の空間しかない。
さよならの数より はじめましての数のほうがずっと多い。
さよならしないうちに お別れしてたんだろうな。
思い出せないあの人と またはじめましてしてたりして。
いつだって新鮮な気分さ。 空虚。
どうせ空っぽなら せめて花畑を満載にしてたかったな。
かち割れたときに ぶちまけるために。
無意味な僕の人生が まるで美しかったかのように。
さらば現世 嫌いじゃなかったぜ。 来世は別にいらないけど。

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-01-18 22:04
頭の中、お花畑。

せかいがおわらなかったあさ

やがて空が開き 光に容赦なく苛まれる。 陽だまりで眠る赤ん坊 通学路に弾ける笑い声 揺り篭を揺らす速度で 囀って舞う小鳥。 すばらしい世界。 疑いようも無い。 ありふれた憂鬱を詰め込んで 空っぽが呼吸をしている 許されるだろうか。 生きていてもいいし 生きていなくてもいいな。 愛も平和も戦争も憎悪も どうだっていいよ。 ただ漠然と眠っていたいだけなのだ 永久に 静寂のように。 そして 世界が終わらなかった朝を 繰り返し呪いながら 産まれて生きて死んだ僕の化石を 粉々に踏み潰して 跡形もなく消してくれ。 

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2015-12-16 23:34
世界が終わらなかった朝。

Nurse log

理科の教科書に書いてある通り
生命は燃焼だよ
すなわち呼吸を続けなくてはならない

全て僕が選んだ結果だから
なにもかもが僕のせいだろ
迷い込んでしまった深い森
その中で深い呼吸を

当たり前に誰もいないよ
いつか怪物と出くわしたとしても
そいつも僕と同じ名前だろ

木々は絶え間なく燃え
時に傷つき、折れ、倒れてしまって
それさえ燃料に、肥料にして
命は萌え栄えるのだ

やがて誰かを暖めるため
生命は燃え盛るのだ

灰の中でさえ 花は咲くのかもしれない

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2016-05-24 21:16
倒木更新

すうさいど

無意味な壁の落書きのような 最高の人生を。 
騒々しい楽団で 体内は埋め尽くされている。 
寂しがり屋の遺伝子 震える指先。 
誰にもつながれず 優しい暗がりで 蹲ったまま。 
心臓は血管に縛られて どこへも辿り着けはしない。 
恐ろしく悲しい喜劇のようだ。 せめて笑えるものにしなくては。 
もはや死ぬまでも無いのは 意味も価値も 端から存在しないからだ。 
音だけ聞こえた花火 砂漠に落ちたエイリアン。 
21グラムの消失 知らぬ間についた傷跡。 
まるで無価値な宝石のような 最高の人生を。

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2015-12-17 22:09
吸う、再度。

my name is

ことばを紡ぐことは自己紹介にも似て

僕の世界はこんなだよ と
晒してやりたくなっただけ

生きた証を少しだけ
刻んでおきたくなっただけ

黒板の隅っこの36編
ひとつも気に入らなかったけど
僕は僕を嫌いなんだから
やはりこれが僕なんだろう

好きに生きて そのうちに死ぬよ
花を拾い集めて 美しいものばかりを持って

生きるというのは
花束を彼岸まで
撒き散らしに行く過程なのだ

たくさんの花を
あなたすら知らないうちに 受け取ったから
そろそろお別れを言わなくちゃな

あなたの言葉に出会えてよかった誰かがきっと今の僕だ

ダレカ酸
男性/25歳/東京都
2017-03-01 23:11
  • 自己紹介ですよね、ほんと。
    自分のなかにないものは自分からは出てこないんだから。

    それはきっと雑踏を歩くときにも、自転車やクルマを運転するときにも、黙って電車に乗っていても同じなんだと思います。積極的にせよ消極的にせよ、人は生きている間ずっとなにかを発信していて、その気になればその人の存在のかたちを受け取ることができるんだと思います。
    花のように、実のように、美しいものを残しながら生きていきたいな。

    シャア専用ボール
    男性/32歳/岡山県
    2017-03-02 10:54
  • 私も、初めのうちは、言葉を選んでは換えて選んでは換えて、、どきどきしていたなぁなんて思い出しました。

    生きること、
    花束を海岸まで撒き散らしに行く過程

    すごく素敵で、良い意味で鳥肌が立ちました。
    好きです。

    noako
    女性/27歳/山形県
    2017-03-02 20:22
  • ああやっぱりダレカ酸さんの言葉が好きです。
    あの、タグに「お別れに代えて」とありますが、卒業してしまわれるのでしょうか?
    だとしたら凄く寂しいです。

    望月朔(もちづき さく)
    女性/25歳/大阪府
    2017-03-03 20:28
ボーナストラック。ではまたいつか。