α

春が来たんだ
こんな僕でも桜が綺麗だってことくらい分かる
映える赤と白と 土と名前の知らない虫と

彼女に愛想を尽かされたのは
今思えば当然の事だな
原付の免許を取ったんだと
SNSに笑顔の写真

「春は出会いと別れの季節です」と
喋るアナウンサーに苛立った

悲しくはない 此の期に及んでもなお
悔しくもない ただ自分に失望しただけ

遠くに行かないで 置いて行かないで
それより他に望まないから

三流大学の新歓コンパ
アルコールに溺れた先輩を介抱するあの子は時々
とても泣きたそうな顔をしてた

吐き気 眩暈 手足の震え
どこへ行こうと変われないんだと
思い始めて不貞寝した
死にたくないのに死にたいと呟いた

「春は出会いと別れの季節です」と
駅前の看板の文句に苛立った

悲しくはない 此の期に及んでもなお
悔しくもない ただ自分に失望しただけ

遠くに行かないで 置いて行かないで
それより他に望まないから

風が吹いて 花弁が落ちて
その一枚を子供が拾って
汚いからそこに捨てなさいと優しく諭す母親

生きてりゃ良いことあるって見え透いた嘘に
騙されてここまでやって来た 何度目の春だ

悲しくはない 此の期に及んでもなお
悔しくもない ただ自分に失望しただけ

遠くに行かないで なんて我が儘を
言わない人にならなくちゃ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-03 18:26
最初から暗い笑 半分実話なだけあって状況の描写がリアルな感じが。ギリシャ文字一つにつき一つの詩を書くシリーズはここから始まりました。タイトルのギリシャ文字と内容は無関係です。だからα波関係無いです笑

β

「知った風な口を利くから私は自分の親が嫌い
その親から貰ったこの名前も気に入らない」
君はそう嘯くけれど僕は君の名前が好きだよ
呼びやすいしさ書きやすいしさ
笑わないでよ、結構重要な事だよ

初めて君の名前を呼んだ日のことを覚えてる
放課後 夕景 信号待ち 手を繋いだ

僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか見ても何にも分からないけど
匿名希望がありふれた こんな世界だから
できる限り大事にしたいんだ

「なんか音の響きが格好いいから
私は貴方の名前が好き
きっとセンスのある親なんだろうな
私の親と大違いだな」
君はそう嘯くけれど僕は僕の名前が嫌いだよ
こんながらんどうの僕の中身に
不釣り合いなほど大層な意味を持ってるから

初めて君に名前を呼ばれた日
僕のことだと気付くのに少しかかった

僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか何の足しにもならないな
匿名希望がありふれた こんな世界だから
できる限り大事にしたいけど

僕が嫌いな僕の名前も
君が好きと言ってくれるなら
それでいいかもな、と最近思えてきた
どうせ生まれてきてから死ぬまで抱えるもんだしな
僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか只の識別番号で
とかさ、言うだけ言ってみてもそれでも愛着に近い
何かがあって

僕達はきっとそこそこ複雑で
名前なんか見ても何にも分からないけど
匿名希望がありふれた こんな世界じゃ
できる限り大事にしたいんだ

君の名前をできるだけ呼ぶよ
君が自分の名前と親を好きになってくれるまで

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-03 21:53
  • ありがとうございます!
    言葉選びが丁寧で凄く綺麗な唄ですね
    私も見習わなくちゃ(笑)

    アンサンブルーす
    女性/21歳/神奈川県
    2017-04-04 14:34
  • レスありがとうございます!
    そう、唄になるように意識しました!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-04-04 15:16
名前がテーマです。恋人関係の二人に焦点を合わせ、一番で相手の女の子の名前、二番で自分の名前に言及するという我ながら上手い手法ですね笑 ラストは今ならもう少し綺麗にまとめられそうな気もしますが。

γ

誰が悪いか決めたくなった
分かりづらい現実に分かりやすさを求めた
無口で地味な少年が
その捌け口になるのはよくある話だが

「お前はいつも何かに怒っているよな
そんな生き方して辛くないか?」
辛い辛くないの問題じゃないと
答えるのも辛かったから黙った

君は真面目で優しすぎるよ
ここで生きるのには向いてないくらいに
でも私は君のそんなところが好きになったの
って言ってくれてどうもありがとう

人を傷つける資格もない奴が
素知らぬ顔して人を傷つける
そんなのは珍しくも何でもないと
目を逸らし足早に去る
誰かの吐いたニコチンと溜め息を
君は深く大きく吸い込む
こんな社会とそれに汚される
君を守れない僕が嫌いだ

自分を大事にできない人が
他の人を大事にできるわけはないよな
今になってそんなことに
気付くなんてやっぱり僕は莫迦だ

卑屈で最低だったと思う
好きと言ってくれたのに疑ってごめんな
君は今何してるだろうか
幸せになってくれたらいいな

君は真面目で優しすぎるよ
って言われたけどどうしてもそうは思えないんだ
本当に優しい人は
そうやって気を遣わせたりしないんだろうから

目に見えるものばかりに惑わされて
何かを失う様は滑稽なんだろうな
女子高生の甲高い笑い声が耳障りだ うるせえよ
って呟いた後で歩いて
背広の男とぶつかり舌打ちされた
ああ、邪魔者は僕の方だったのか
僕を守れない僕が嫌いだ

もう全部嫌いだ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-05 11:27
  • 「本当に優しい人は 
         そうやって気を遣わせたりしないんだろうから」
    そんなことを言えることに凄く優しさを感じます
    簡単に言えることじゃないとおもうので。

    すごくこのポエムに優しさをかんじました。

    なんかいい表し方がわからないけれど
    このポエムがすごく好きだな、と思います(*´∇`)ノ

    かばざん
    女性/23歳/京都府
    2017-04-05 20:20
  • レスありがとうございます。
    そう言ってもらえて嬉しいです。
    半分実話みたいなもんなので、
    ちゃんと、昇華というか、
    あのときの自分を成仏させようと思って
    作りました。
    改めて読むと暗いっすね、これ!
    読んでいただいてありがとうございます、本当!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-04-05 20:39
当時の自分の気持ちを淡々と書いてます。だから最後「嫌いだ」で終わってしまう。疑心暗鬼になってしまうととことん怪しく見えてくるんですよ。自分を好きでいてくれる人さえも。そんな自分を嫌いになってしまう。

δ

調和は要らない 永遠は要らない
そんな強がりは要らない
副流煙は要らない 二日酔いは要らない
建前は要らない それを慣習とする開き直りも要らない
第三者の意図が透けて見える教科書は要らない
生殖行為に眠る動物性を見て見ぬ振りする純愛は要らない
恐怖に催促されて作った妄想で人を殺すような宗教は要らない
人間に都合のいい自然環境を地球と呼ぶような図々しさは要らない
使いこなせないものが増えた、昔は良かった、などと嘆く割に社会から退場しない大人は要らない
合理性の観点から議論される文化は要らない
自分の持っている物差しで全ての価値が測れるなんていう反知性的な考えは要らない

どうせ消える命は要らない


そうやってゴミ箱に捨てられたもので
できた世界がここなんだ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-10 11:23
何々は要らない、という形で統一しました。たいていの詩にはメロディーがあってサビがありますが、たまにこういうポエトリーリーディング的なのも入れてます。めちゃめちゃ怒ってるのが伝わるかと思います笑

ε

死にたくなったら私を思い出してね
それでも駄目なら電話していいから
この前うっかりスマホを落として
画面にヒビ入ったけど一応使えるんだ

あなたが何に苦しんでいるのか
分かってあげられなくて本当にごめんね
住む世界が違うって前に言ってたよね
やっぱり今でもそんな感じなの?

優しくされたくらいで
人を好きになるのは良くないよ
私が無味無臭で味気ない人だって
知らないでここまで来たんでしょう
こんな最低な奴のことを大事に想ってるのは
ちょっと可哀想だな

同じだね、だなんて
烏滸がましくて口に出来ないし
したところで何だか怒りそうだけど
私もそれなりの痛みとか傷とかあるから
だから、何だろう?
何言おうとしたか忘れた

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日

死にたくなったからあなたを思い出すね
サラサラの髪の毛 割と羨ましいな
あなたの笑う顔が結構気に入ってる
ごめん、嘘ついた でも笑ってほしいな

優しくされたくらいじゃ
人を好きにならないからさ
簡単に満たされない面倒臭い厄介な
人間になってしまったな
こんなはずじゃなかったのに
どこを間違えたのかな
ちょっと可哀想でしょ?

大人になるときに
大事なものを色々失った気がして
あの時に戻りたいけど
昔の消えない過去とかと向き合うのも嫌だから
だから、今はただこうやっていたいの

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日

理不尽だらけ 矛盾だらけ しがらみだらけの
今日を
放り出してどこか遠いところにでも
なんて嘆いて勇気が足りなくて
目に映るもの全てを壊して掻きむしって
すぐに後悔して
それでも生きるあなたが
狂おしいほど愛しい

同じだね、結局はみんな細胞の集まりで
生まれて消えるまでのたったそれだけの間
手でも繋ごうか
恥ずかしいからやっぱやめとこうか
手汗と周りの目を気にしてしまうしさ

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも終わりが来る等しさが、神秘的で
誰にでも終わりが来る等しさが、神秘的で

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-13 12:51
このシリーズの中で一番好きです。女の子が語るという形式なので女の子特有の喋ってる感を出そうとしてます。あまり理路整然としないように、というか。会心の一撃的な文も随所に散りばめてます。

ζ

最近は朝が寒くて 起きるのも一苦労だ
みんな難なくこなしてるからさ
愚痴をこぼすこともできないし

幼稚園に通ってたとき よく蟻を指で潰してた
天国に行けないとしたら 原因はそれくらいかもね

ギター掻き鳴らす少年への憧憬
好きだったアーティストの盗作疑惑
頭の悪い学生のノリ
空気を読めという空気 頭痛 生理痛
もう充分頑張ったから 自分の中ではそうだから
だから誰か私を褒めてよ

吐き気がして 枕が濡れて
どうでもいい会話をして
普通になりきれない中身を嫌われないように隠して
相槌打って 音楽聴いて
困ったら愛想笑いをして
そこまでしてしがみつく意味をたまに考えて

電車の中で痴漢されたと 同じクラスの子が喋ってた
どことなく嬉しそうだった 男に生まれたら良かった

できることとできないことを説明する度に自己嫌悪
曖昧な境界の拠り所が自分であるという憂鬱
故に生じる身体障害者への歪んだ羨望を
未だに抱いてる私を殴ってよ

勘違いして 恥かいて
自転車に乗ったらふらついて
みんなが好きなものが薄っぺらいものに思えて
水を飲んで 昼寝して
自慢話と悪口を聞いて
何をやっても上手くいかないのを
誰かのせいにしたくなって

やることないからテレビを見た
コンビニのお弁当は美味しかった
こんな時間が幸せと思える私は不幸せだ

ビビりすぎ オドオドしすぎ 自信無さすぎと笑われた
自分を持てと言われても持ち方を知らなかった
会う人全て悪人に見えて外に出れなくなった
そんなのはメンタルが弱いせいだと一蹴された

パン食べて 化粧して
スマホいじって 時間潰して
頑張って我慢しようと
決意した矢先に泣きたくなって
他人の思考を推測できなくて
永遠に一人でいたくて
それでも何とかしないとって
手探りで明日を迎えて

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-17 17:10
  • 歌詞みたい、わたしすきです。現状は辛いのかもしれないけれど、それを言葉に詩にできるすごいパワーを持っているのでは

    きいろいかえる
    女性/26歳/宮城県
    2017-04-22 11:06
  • ありがとうございます。
    励みになります。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-04-25 22:18
  • 本当、ありがとうございます!
    これからも頑張ります!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-05 00:29
精神障害者は見た目普通の人に見えるっていうパターンが多いと思うんです。だから暫くは理解されない。「身体障害者への歪んだ羨望」とはそういう意味です。この主人公は結構辛い思いをしてきてると思います。

η

要らない物と言えない 癒えない
時が解決してくれない 紅
友達と思っていたのは 自分だけだったよくある話
道端に捨てられた煙草の吸殻を見て立ち止まる午後
日常が奪われるって一周回ってもう日常だ

好きです付き合ってください一目見たときからあなたのことが頭から離れないんです
どうしようもない 救いようがない
いや、本当に救いようがないのは
そんな衝動さえない自分
強風で倒れた自転車を横目に俯いて歩いた

好きな人とやるべき事を
好きでもない人とやったのは
何にも好きになれないから
誰も好きになれないから

ぞんざいに扱った罰だ
触れる事もできないのはどうして
文字の羅列に 情報の信号に
揺さぶられない心を置いて

子供の無邪気な笑い声と不快指数との相関関係
そういえば家庭科の授業で習った事を全部忘れてた
ブランコからサンダル飛ばす
遠くを目指すにはコツがいる
ここからどこにも行けないのは
きっとそういうことなんだろう

好きな人に宛てる言葉を
嫌いな人に送ったのは
もう誰でもよかったから
でも誰かにいてほしかったから

ぞんざいに生きてきた罰だ
考えた瞬間に嘘になるのはどうして
ありふれたメロディーに いつもの夕陽に
揺さぶられない心を置いて

小さくても構わない 歪でも構わない
不良品でも構わない 粗悪品でも構わない
構わない 構わないって妥協したところで叶わない
流れ星が綺麗だった
この目で見れば綺麗だった

ぞんざいに扱った罰だ
触れる事もできないのはどうして
文字の羅列に 情報の信号に
揺さぶられない心を置いて

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-04-26 19:41
  • ドキッとしました
    とても素敵です、
    なんて月並みな言葉しか言えませんが
    ほんとうに素敵です

    自分の言葉の引き出しが少ないのが悔しいくらい、なにか惹かれるものがあります

    ブドウ大福
    女性/22歳/大阪府
    2017-04-29 19:14
  • ありがとうございます!
    暗い詩ばっかり書いてますが、
    また気が向いたら読んでやってください。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-02 20:19
女の子特有の辛さを書こうと思いました。生々しくなりそうだったので抽象的にはなってしまいましたが、核となる部分は伝わったんじゃないでしょうか。伝わってなかったらごめんなさい笑

θ

思わず叫んだその声が父親のそれによく似てた
気持ち悪くなってその日は早く寝た
運命で片付けられるようになりたい

不潔 伏し目 小さなささくれに
絡まる糸由来の溜め息
震える手で書き殴るのは
遺書と呼ぶにはあまりに粗末で

譲ってはいけないものを譲ってしまった弱さを
認めて前に進もうとすると足がもつれて
その場に転げる お決まりの展開

人は一人で生きていけないらしい
その言葉の冷たさが
僕に失望して去ったあの人みたい
真面目であればあるほど損をするらしい
その言葉に救われたと思ってしまう甘さは
もはや僕の一部だ

共感されるのが条件の文化の隆盛に舌打ちを
幼馴染みに「君しかいない」と
言える図太さを身につけたい

負けてはいけない戦に負けた事実を
反省して備えようとすると
空回りして同じ結果になって努力を疑われる始末

僕よりも不幸な人間は大勢いるらしい
その言葉の冷たさがまかり通ったらいよいよ
全員不幸だ
人間たるものいずれは死ぬのが必然らしい
その言葉に救われたと思ってないけど それでも
武器にはなり得る

どうにもならないことはどうにもならない
流行りの漫画の主人公みたいな
才能も粘り強さも持ってないから
それでいいよ、もう
完璧を描いて挫折するくらいなら
この手に収まる丁度いい夢を

昔に比べたら今は平和な時代らしい
その言葉に隠れる無知を怒りの下に引き剥がせる
それが青さだ
どんな困難も終われば美談と化すらしい
その言葉が本当ならいいな
後悔だらけの今日をいつか誇れるといいな

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-03 10:44
  • ありがとうございます!
    めっちゃ嬉しいです!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-04 06:34
この世界に絶望したときに書いたんでしょうね。覚えてないですけれど笑 誰を憎むとかではなく不特定多数に怒りを向けています。そんな気持ちを詩にする事で昇華してたんだと思います。

ι

始まりがあれば終わりもあると
頭ではちゃんと分かってるつもりでしたが
いざ看取るときになってみると
中々悲しいものですね
それでもあなたに会わなくてよかったと
辛い事と楽しい事は相殺できると
思えないから不思議です

あなたはもう私がいなくても
十分上手くやっていけるでしょう
迷いながら悩みながら
生きぬくことを強さと呼ぶのなら
あなたは立派な強い人です

電化製品の稼動音とか自分の咀嚼音とかが
連れてくる逆説的な静寂に気を付けて
それから寝る前の一錠を忘れずに

さよなら、縁があったら来世で会いましょう
さよなら、縁があったら来世で会いましょう
さよなら、縁があったら来世で会いましょう
さよなら、縁があったら来世で会いましょう

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-05 17:47
  • ありがとうございます!
    繰り返される文字には何かしらの力がありますよね、、、、

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-06 07:45
  • ひどくせつなくて、じいんと沁みるひとときをありがとうございます。

    望月朔(もちづき さく)
    女性/25歳/大阪府
    2017-05-08 17:56
  • そこまで言っていただけるとは!
    こちらこそありがとうございます!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-08 23:35
  • いえいえ( ´∀`)「辛い事と楽しい事~」とか「電化製品の~」(←逆説的な静寂って言葉凄い好きです)とかに共感したり気づかせて貰いました。
    最後の繰り返しから発生する余韻で感動がぶわあってなっておお、となりました。

    望月朔(もちづき さく)
    女性/25歳/大阪府
    2017-05-10 22:53
  • そこまで言って頂けると嬉しいです!
    どうして「逆説的な静寂」に気を付ける必要があるのか。「寝る前の一錠」にその答えを集約したつもりです。
    どんな形であれ、別れは悲しいものですね。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-11 07:45
テーマは死別です。いや、最初は意識してなかったんですけど、書き終えてみたら死別の歌になってました。状況は少し特殊ですが。「寝る前の一錠」がミソです。「来世で会いましょう」は今世で会えないからこそ。

κ

どこが好きかとか訊いて君を困らせてごめんね
でも全部だと答えてくれたのは嬉しかったよ
ずっと繋がってる関係は窮屈だっていう
私の我が儘に応えてくれてどうもありがとう

借りてきた映画を二人で観るような幸せに
慣れてないから
楽しい時間はいつか終わると思う癖に
これから先についての漠然とした不安に
押し潰されそうになったときはどうか慰めてね

私に君は勿体無くて
だから他には何も望まない

紡いだ先から消えてく言葉は脆いね
そんなもので無理して気持ちを伝えるのやめよう
言わなきゃ分かんないことも沢山あるけど
愛してるって言っても

どこが好きかとか訊いて君を困らせてごめんね
自分のこと好きになれないから心配になってさ
昔から空気を読むのがあんまり得意じゃなくて
特に女の子でそれはもう致命傷に近くて

私はただ不甲斐なくて
だから君には何も望まない

紡いだ先から消えてく今日は脆いね
こんな幸せもいつか忘れてしまう
忘れなきゃいけないことも沢山あるけど
愛してる君だけは

落ち着く温もりが欲しかった
二人だけの秘密が欲しかった
君もそうだったらいいな
独りよがりでごめん

紡いだ先から消えてく愛は脆いね
私も君もいつか消えてしまう
消えなきゃいけない運命にあるけど
今だけ 今だけは

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-10 07:28
  • ありがとうございます!
    主人公男にしようか女にしようかでちょっと迷ったんですが、キュンキュンしてもらえたなら
    女の子にして正解だったかもしんないですね。
    詩によって主人公と彼等を取り巻く環境が変わってるので文体も多少つられて変わっちゃうんですが、「義理、社」シリーズを通してのテーマはあんまり変わってないような気もします。
    この主人公には幸せになってほしいです。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-10 22:21
不幸せが続いていたから幸せに慣れてない人が主人公。でも幸せに慣れちゃうと幸せと感じられなくなってしまうんじゃないんでしょうか。これくらいが丁度いいかもな、と思って書きました。こういう愛が溢れてほしい。

λ

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
ってどこかにあるとまだ思ってるよ
逆光 香水 水道に顔を近付けるあの子が尊い

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
って生きてる間に見つかると思ってるよ
アスファルトに根を張る黄色い花
涙 惰眠 民主化 過呼吸

午前三時の静寂が不気味
自分以外の人が皆死んだみたいで

慢性的な鬱状態に差し込んだ光としての偶像か
その笑い声で至極理不尽な怒りが鎮まるんだから
まさに魔法だ
自分の醜さを熟知してるからこそ
少し遠いくらいの距離感で
光は今日も僕を照らす
傷から流れるこの血を照らす

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
皆と同じ場所にあるんだろうか
睡眠薬 約十分の喧騒 想起する未来 来春の可能性

目の前に立ちはだかる難題の解決策を
知らないからもう今すぐ逃げ出したい

盲目的な意識の中で思い出すあの子は眩しすぎる
その存在が至極理不尽なこの世界にしがみつく
唯一つの理由
自分の愚かさを熟知してるからこそ
こんな関わり方しかできない
光は今日も僕を照らす
傷から流れるこの血を照らす

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
もしあったとして僕はその意味に
誰かが決めたその意味に
納得できるかな 逆らえるかな

僕が生きてる意味はどこにもねえよ
あったらこんな人間じゃねえよ
あったらこんな人生じゃねえよ
あったらこんな風に探してねえよ

劣等感虚無感を掻き分けて
千鳥足で一応のゴールまで
何の義理があってこんな社会に
貢献することが決められてんだよ
自分の情けなさを熟知してるからこそ
光なしで闇を歩けない
光は今日も僕を照らす
余すところなく僕の汚点を照らす

生きてる意味とか考えると
いつも死にたくなってしまうから
何か別のことを考えよう
例えばあの子のこととか

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-15 19:06
「義理、社」の意味をここらへんで言おうという事で書きました。この主人公の生きてる意味はもう間違いなく「あの子」なんですよ。生物学的にも人を愛するのは人の使命みたいになってますし。だからこそこのラスト。

μ

後味の悪い夢 抵抗しない君を傷つけて
涙を流させた過去に未練 四畳半の部屋に残る思念
怒りの言葉としての「死ね」
意志とは裏腹に掃き溜め
ねえ、教えてよ先生 一体僕は何を間違って
こんな所に流れ着いて 問答の果て

大丈夫だ 何の根拠もない慰めは無責任な性格の表れ
帰結する我 何処へ ところでこの話は何度目

ここにあるのは、憧憬とそこから派生する情けなさ
ここにあるのは、純愛とその割れ目で育つ希死念慮
ここにあるのは、虚無感と検証済みの逆ベクトル
ここにあるのは、刹那で色褪せる心象風景

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-17 09:36
  • レスありがとうございます。
    前だけみて歩いて行けちゃうひともいれば
    振り返って光を眼に焼き付けることで
    進めるひともいますからね。

    歌時雨
    男性/24歳/長野県
    2017-05-19 01:34
  • ありがとうございます!
    今回はちょっと韻を意識しました。
    感情の端々に現れる醜さが人間的かな。

    けど、曲にしては短いですかね笑

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-30 21:01
僕の言いたい事はラスト4行に詰め込みました。「検証済みの逆ベクトル」とは、そこから抗おうとしたけど駄目だった、という意味です。じゃあそう書けよ、と言わずに笑 詩的な表現を模索してます。

ν

恋だの愛だのは結局生物学的なプログラムで
自分の意思にいつのまにか第三者が介在して
僕も君も他の誰かもしくは神の掌の上にいる
正気のまま出口が見つかることなどない迷路

君が好きだよ、と僕の遺伝子が言う
その美しい塩基配列に一目惚れしたんだ

ゴミを漁るカラスの嘴と君を触る僕の手に
どれ程の違いがあるんだよ
分からないから教えてくれよ

新しい嘘つきのために命を半分与える
君は多分知らないだろうな
愛は何者も救わないんだぜ

そう思ってる方が楽なんだぜ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-26 10:12
  • あ、本当ですか?
    書いてて分かりやすいと思わなかったので意外ですね。
    恋愛についての皮肉が入口ですけど、結構根っこの深いところまで書いてます。
    誰かを好きになる感情が種を残すためのプログラムなら、「自分の意志」で誰かを好きになるときの「自分の意志」とは一体何者なのか。という虚無ですね。僕の最近の敵です。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-05-26 19:55
純愛って何だろう、と思ったのがスタートです。単純な疑問じゃなくて修辞疑問的な、そんなの本当にあるの?っていう感情ですね。僕らは人を愛するようにプログラムされてるんでしょ?それって純愛なの?っていう笑

ξ

左手首の切り傷を隠そうと背中を丸めて歩く
あいつがとても羨ましい
その孤独の色は同じらしい

昔のことを思い出すと途端に息ができなくなる

水溜まりに落とした運命を
指の隙間から零した奇跡を
自分の論理で繫ぎ止める
多分上手くできてはいないけど

風景 現世 滑稽 酩酊
何をするにも気力が足りねえ
仮定 未定 露呈 余生
剥き出しの心で何を願おう
ねえ、どうしよう

些細なこと 誰かに打ち明けるのも憚られるような
だからずっと胸の内で飼い慣らしてたこんな感情

我慢は体に悪いよ その台詞だけ覚えてる

あの人に比べれば幸せと言える幸せに
どれ程の価値があるのかなんて分からない
僕が掴みたいのはそれじゃない

風景 現世 滑稽 酩酊
何をするにも気力が足りねえ
仮定 未定 露呈 余生
剥き出しの心で何を願おう
ねえ、どうしよう

生きたくても生きられない人がいると君は言う
死にたくても死ねない人も同じくらいいるんだよ

窓越しの 涙越しの 背中越しの 電話越しの
窓越しの 涙越しの 背中越しの 電話越しの

死ぬ程抱えた後悔を
ふとしたきっかけで思い出す
自分でもバカだと思ってる
どこで道を間違えたんだろう

風景 現世 滑稽 酩酊
何をするにも気力が足りねえ
仮定 未定 露呈 余生
剥き出しの心で何を願おう
ねえ、どうしよう

もう、どうしよう

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-05-31 17:39
「左手首の切り傷」っていうワードは記号的に使ってます。なぜ左かというと右利きだからです笑 でも自分は怖くて傷つけられないんですよ。だから羨ましいと言ってるわけです。自分の葛藤がよく出てると思います。

ο

そんな暗い顔せんといて
ウチまで悲しくなるから
ここまでよく頑張ったね
ってたくさん褒めてあげるから
今日はゆっくり二人でテレビでも見ようよ
スタッフの笑い声が響く深夜のバラエティ

努力してもできないことはできないまんまさ
一生懸命やったんだから君は悪くないよ
もう少しお金貯めたら広い家に移って結婚しよう
プロポーズはこの前君が酔ったときしたでしょ

大人になったら少しは成長できてるのかな
小学生のときの夢見がちな部分は同じだけど
これから大変なこともいっぱいあると思うんだ
でも二人ならなんとかなるよ
ねえ、そういうことにしとこうよ

ウチがすぐ寝ちゃった日に
ウチの手首の傷見たでしょ
君は笑ったりせずにそっと傷を撫でてくれた
それだけで泣きそうになった 最近ホント涙脆くて
君と同じ時間を過ごせて
ウチは幸せ者だな

大人になっても全然変わらないところが
ちょっとはあればいいなって考えてた
どうだったっけ? これで良かったんだっけ?
これから大変なこともいっぱいあると思うんだ
でも二人ならなんとかなるよ
ねえ、そういうことにしとこうよ

いつか小さい猫を飼って
二人でその子を溺愛しよう
ウチと君との間に子供ができたら
その子もめちゃくちゃ愛そう
ほらね、未来は素晴らしいでしょ
だからそんな顔しないでよ
君が沈んだときにはウチがその分明るくなるから

いくつになっても二人は
もう二人のままでいいよ
それだけで満足だから
その言葉に嘘はないから
君がどれだけ落ち込んでも
ウチが励ましてあげるから
埼玉出身だけど関西弁で励ましたるから

そんな暗い顔せんといて
ウチまで悲しくなるから
でも伏し目がちで無口な
君もまあまあ格好いいよ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-06-01 09:02
  • ありがとうございます!
    これ勢いで書いちゃったやつで今読むとちょっと恥ずかしいです笑
    明るく振る舞うために敢えて関西弁を使うという状況、いいですね。
    主人公が女の子だとサラサラ書けますね。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-06-01 21:27
女の子の詩なんでεの喋ってる感じを出そうとしてます。埼玉出身のくだりもその一つですが、今読むとなんか要らないような気もしますね笑 あと、酔ったときのプロポーズってカウントするもんなの?笑

π

二十歳になったら酒を飲もう タバコも吸おう
健康に悪いって? 量に気をつければ大丈夫だ
どんな物だって食べ過ぎは体に毒に決まってる

あの子にはいつも謝ってばっかだ
もう結構と言ってくれてるけれど
やっぱり責められるべきは僕だから
理由を持たない僕だから
それ以外には何もできない

窓から見える風景はいつも同じ
いや少しずつ変わってる
それは季節を連想させる
小さな間違い探し

僕は未だ君に見えるのか? 触れるのか?
そんなことを考えても咎められないのか?
君の綺麗に澄んだ瞳が
汚い僕を映してはいけないな

僕は未だ君に見えるのか? 触れるのか?
そんなことを考えても咎められないのか?
君の綺麗に澄んだ瞳が
映すべきは輝かしい未来

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-06-07 20:47
好きな人に失望されたくないから距離を取る事にした男の子の話です。つまり実話です笑 自己評価が低いが故にこういう行動を取ってしまうんですよね。僕の他にもたくさんいるような気がしますが、どうなんでしょう。

ρ

味方なんて一人もいない
匿名希望の罵詈雑言
どうせ君も人間だ 得てして屑に違いない
幸せだと思い込んだら幸せになれるようなもんさ
そう思っていたあの日々は確かに幸せだったんだ

確かに幸せだったんだ

掴み所のない虚無に 行くあてなど知らない憤怒に
こんなに荷物が増えるとは
予想していなかったけれど
誰も信じられないんだ その言葉だけ信じていよう
君が僕の敵だったときに落胆せずに済むように

覚悟を決めて立ち上がれ
陳腐な叱咤と激励
大衆は自分勝手
分かったよ 好きにやらせてくれ

あの日陰で誰か泣いていた
それはもしかすると僕だった
よくある別段何ともないような話
奥歯を食いしばり歩いてた

ふざけんな こんなどん底で
終わりなんかにしてたまるかよ
唾吐き石ころ蹴飛ばし帰る寒空
充血した目で見据える未来

大人はいつも小賢しい 徒党を組めば尚一層
それらはいつも壁となり 決まって僕の邪魔をする
どんなに惑わされようと 自分だけは信じていよう
自分で決めた道を行くときに振り返らないように

絶対死ぬなって言われて
僕は何て答えたっけ
右手の拳力込めて
大きく息吐く 外は雨

あの日陰で誰か泣いていた
それはもしかすると僕だった
よくある別段何ともないような話
奥歯を食いしばり歩いてた

ふざけんな こっから正念場
ハンデはこれくらいで結構だ
唾吐き石ころ蹴飛ばし帰る寒空
充血した目で見据える未来

死に物狂いで生きなきゃ駄目なんだ
じゃなきゃ死んでるのと何も変わらないんだ

あの日陰で誰か泣いていた
それはもしかすると僕だった
よくある別段何ともないような話
奥歯を食いしばり歩いてた

ふざけんな こんなどん底で
終わりなんかにしてたまるかよ
唾吐き石ころ蹴飛ばし帰る寒空
充血した目で見据える未来

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-06-12 13:08
  • 一曲できそうだ。
    「好きにやらせてくれ」って、好きだな。

    廣瀬
    男性/29歳/京都府
    2017-06-12 18:51
  • ありがとうございます。
    不条理に対する怒りを思うままに書きました。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-06-12 19:38
  • ありがとうございます。
    長編は作るの時間かかるんですよ笑
    いつもに増して力強いのができたかな、と思ってます。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-06-13 07:46
これはあまり深く考えずにさくさく作りました。だから深く考えずにさくさく読んでください笑 ストーリーもいたってシンプルになってると思います。個人的にも好きな感じのやつです。強い感情。

σ

咄嗟に嘘をついたら
その後生きづらくなってしまったこと
暗い話はしたくないから
テレビで聞いた話をしていたこと
本当の僕は君が思うよりも汚くて
君に好かれるようなところが何一つ無かったこと

覚えてる

君が何か伝えるときに
僕の目を真っ直ぐ見てくれたこと
君と手を繋いだときに
命の温もりを肌で感じたこと
別れ際になって初めて君が怒ったとき
何考えているのか分からないと叫んだこと

覚えてる

確固たる夢など持たず彷徨う
煙草の煙の行方を目で追う
自分の不甲斐なさに半ば呆れながらも
自分を奮い立たせる今日
何にもできなくてごめんなさい
生まれてきてから今まで間違いだらけの人生だった

僕は君のことそんなに
好きじゃなかったのかもしれないな
君に求められてるのが
ただ嬉しかっただけなのかもな
あの頃の僕の埋め合わせ
ポケットには幾らかの小銭だけで
真面目に働かないとな、なんて思った

転んだ拍子に
砂が口の中に入って気持ち悪かったこと
人の顔色を伺って無難な選択ばかりしていたこと
死んだと思ってた親父が実は生きていたこと
母親の腕の痣を誰がつけたのか分かったこと

覚えてる

考えてもどうしようもないことを考えて怖くなる
もしも君がいたら
一人じゃないよ、とか言ってくれたかな
そんな都合のいいことを夢想する
やっぱり僕は汚いな 昔の最低なままだ
失望されるのも慣れたよ

好きだった漫画の最終回 大団円で嫌いになった
世界は綺麗好きなんだと
そのとき思い知らされたんだ
お前には居場所がないって言われた気がしたんだ
口の中に苦い味が広がったような記憶

覚えてる

僕は同じ場所でもがいてる 君は随分遠くにいる
こちらを振り返らずに 僕には一瞥もくれずに
走り去っていく君がとても綺麗だった
その残り香は君のいない世界にも
まだ残っている気がした

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-06-17 15:02
  • ありがとうございます。
    これからも下手っぴなりに頑張ります笑

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-06-26 14:00
少し記号的すぎたかな、と思いますね。嫌いじゃないですけど笑 作り終えてみると「覚えてる」が一番に目に入る形になりました。この言葉が核です。忘れられないとも言い換えられますが。

τ

言葉は霧だ 救いようのない霧だ
それを啄んで根を張る僕達は醜い寄生虫
再考の解答 始まりの約束の場所の延長を生きる

君とは種類の違う絶望に苛まれ
古より続く陋習呑み込んで泣いた

散乱したゴミ袋 暁鴉が運ぶ虚しさ

言葉は霧だ 救いようのない霧だ
それを啄んで根を張る僕達は醜い寄生虫
再考の解答 感傷が切り取る場面の延長を生きる

病理で片付けられないはみ出した生き方
正しい物を見つけるという発想は正しいか

昨日と今日を繋げる空白をカルテは知らない

言葉は霧だ 救いようのない霧だ
それを啄んで根を張る僕達は醜い寄生虫
再考の解答 泥濘に捨てきれなかった夢を生きる

それは光と呼ぶには不安定で
それは光と呼ぶには弱々しくて
それは光と呼ぶには独善的で
それを光と呼ぶのは烏滸がましくて

だがしかし僕にとってそれは確かに光たり得た

言葉は霧だ 救いようのない霧だ
それを啄んで根を張る僕達は醜い寄生虫
再考の解答 始まりの約束の場所の延長を生きる

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-08-29 18:37
  • ありがとうございます!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-08-31 07:07
何ヶ月か休んでて、というか忘れてて笑 これが復帰後初の作品なんですね。だからインパクトを大事にしようと思って「言葉は霧だ」という、断定的なフレーズから入りました笑 言葉ってそんな確かなものではない。

υ

心、擦り減ったお前を彼女は優しく撫でてくれた
やるせないどんな不条理も
あのとき確かに昇華された

心、酔っ払いの怒号にそんなに怯える事はないよ
虫の群がる街灯に有象無象は溶け込むから

足元を見て歩いていたら
誰とも目を合わさずに済むけど
愛しい彼女の澄んだ瞳はお前一人では持ち得ない物

こんな僕の苦いだけの記憶も
切り分けてよと笑ってくれた
だから僕は傷跡をなぞる
その白い腕を走る細い線を

心、僕はたまにお前が分からなくなる事がある
何の解決にもならないと知ってて
数々に当たり散らす

心、今日はもう眠ろうか 明日の事は明日考えよう
彼女の目にできてた隈は幸福からは程遠い

澱んだ空気に吐きそうになる
混濁させるのは容易いけれど
鋭く尖ったままでいてと頼まれたあの日の残像

こんな僕の苦いだけの記憶も
切り分けてよと笑ってくれた
だから僕は傷跡をなぞる
その白い腕を走る細い線を
指と指絡み合えば刹那生き辛さも消えた
そんな気がしたんだ
だから僕は足跡をなぞる
いつか迷わず走ったあの線を

心、僕は決してお前を零したりしない ここに誓うよ
彼女が僕の中にお前を見つけてくれたのが
嬉しかったんだ

こんな僕の苦いだけの記憶も
切り分けてよと笑ってくれた
だから僕は傷跡をなぞる
その白い腕を走る細い線を
指と指絡み合えば刹那生き辛さも消えた
そんな気がしたんだ
だから僕は足跡をなぞる
いつか迷わず走ったあの線を

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-08-30 09:07
  • かっこいい…

    サクラボーズ
    男性/21歳/埼玉県
    2017-08-30 21:36
  • サクラボーズさん、green swanさん、ありがとうございます!
    これからもちょいちょいやろうかなと思ってますのでよろしくお願いします!

    螺旋階段兄さんと呼ばれるとは思わなかった笑

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-08-31 07:11
自分が自分の心に語りかけるというトリッキーなシチュエーションです。作り終わった後にチャットモンチー先生の「こころとあたま」に影響を受けていた事に気付きました。だからオマージュですね笑

φ

感情移入はしない他人の悲劇を食ったりしない
大人になれば分かるそれは全然褒め言葉じゃない
性格はずっと変わらないしあの言葉は宙吊りのままだし君は何も知らないしそれは自分も同じだし
嫌だな
記号に感動しないように知性的であるように
フィクションに飛び込みきれない青さ
高圧的な物言いと定型文
最大公約数的且つ唯物的な息苦しい観客笑い
若者の憧憬の対象たり得る純愛が作る亀裂
飛び交う罵詈雑言と生きるためにはそれらに対する耐性を身に付ける他ないという諦観の強要

どこにいても見つかって悲しくなってしまう
どこにいても見つかって悲しくなってしまう

怒りは

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-09-01 12:58
  • 愚かな螺旋階段さんの言葉選びに惚れました

    サクラボーズ
    男性/21歳/埼玉県
    2017-09-01 18:23
  • ありがとうございます!
    めっちゃ嬉しいです!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-09-02 07:04
久々のポエトリーリーディング。どんな生き方をしても怒りが見つかってしまう悲しさが描かれています。どのワードも結構考えて書いたので、それぞれの意味を考えてもらえると嬉しいです。適当に書いてませんよ笑

χ

ワイドショーを賑わす連続強盗殺人事件
月光が照らすは何の変哲も無い一軒家
夫婦仲は悪く夫は今別居中だ
家庭を顧みなかった彼には当然の報いか
妻の体には至る所に刺し傷があって
幼い息子が一人取り残されて
犯人の映像は監視カメラにあって
推定するに二十代後半 未だ逃走中で

こんな夜は探せばそれなりにある
だからどうした? 吹く風はいつも冷たい

誰からも愛された事の無い人は屈折して
心の大きな穴を何かで埋め合わせたくて
それを合法的にするのは思うより難しくて
誰が悪いとか誰かに勝手に決められたくなくて

涙で見上げた月が滲んだ
涙で見上げた月が滲んだ

暴力とは物理的なものだけでは無くて
むしろ鋭い言葉の方が彼を傷つけて
母親に捨てられたのだと彼は思い込んで
部屋には多数の酒瓶 臭いが充満して
彼は人前で笑顔など見せた事は無くて
心配してくれる人も少なからずいたが
そんな懇意は沈黙により尽く打ち払われて
いつしか彼の胸には狂気が潜んでいて

こんな夜は探せばそれなりにある
だからどうしても吹く風は冷たくなる

理由があれば何でも許される訳じゃないけど
衝動が形成される過程は確かにあって
その引き金は往々にして外からの刺激で
結局性格は生まれた場所で決められて

涙で見上げた月が滲んだ
涙で見上げた月が滲んだ

数日後犯人が呆気なく捕まると
誰も彼もがこの事件に興味を失くして
娘を失った遺族は人知れず泣いた
事件解決を喜ぶ世間に隠れて泣いた
母を失った少年が理解するのは数年後の話
憎しみが連鎖するのは至極当然な理
忘れてしまいそうになるが人間も動物
頭の中で思っている通りには行動できない動物

こんな夜は探せばそれなりにある
だからといって吹く風を冷たくしないでよ

怒りの対象が常に形あるものとは限らず
社会構造に殴られる事だってある
綺麗事なんかさらさら言う気は無いけれど
こんな夜はさっさと明けてほしいんだよ

涙で見上げた月が滲んだ
涙で見上げた月が滲んだ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-09-05 07:26
人間関係ではなく社会を書こうと思いました。だからこのシリーズで登場人物が一番多いです。詩の中で誰かわざとぼかしてる部分がありますが、それは誰でもあり得るという意味です。生まれた場所は選べない。

ψ

具現化された悪意に触れる度僕は思うんだ
人間は自分が思う程高尚じゃないと
終末論は嫌いだよ でもこんな世界も愛せないよ
無垢な優しさが
足枷となるような場面を幾つも見た
僕は歌を歌ってた 誰かに届ける為じゃなく
いずれ何者かになってしまう
自分への供養としての歌
それは確かに深淵に突き落とされたあの日の僕を
もう一度手にしてみる動機として
美しく機能していた
それを笑うような奴にはいつかその報いが訪れる
そんなありきたりな道徳は
もう僕には必要ないんだ
喪失が流させた涙も 未だ風化しないトラウマも
全部糧にしてみせるから 全部歌にしてみせるから

世界が変わるのを待ってる 窓から外を眺めている
少年だった僕に告ぐ 武器を取り戦うべきは今
肯定される事は無いが美しいと形容される
人間の足掻くその様は数少ない愛せるものだ

洗い流す機会も無く誰もが多少の罪を背負う
それを糾弾する資格を
誰も持ってないのは自明だが
身の程知らずは何処からか
掃いて捨てる程に湧いて
心無い言葉はまるで頭上を飛ぶ弾道ミサイル
アルコールで安い眠りに誘われた弱い精神は
希望を未だ持っている 手放す事なく持っている
誓いを立てたあの場所は
コンビニへと様変わりして
虚しい気持ちになったからギターを握って抗った
投げつけられた物も多く 手では拭えない物も多く
大衆に異分子と見做されるような事も沢山あった
それでもまだ立ち上がるのは
それでもまだ戦えるのは
この苦しみと生きる意味が
無関係じゃないと思うから

その確信は楔である 僕を貫く楔である
少年だった僕に告ぐ 足元にひっそりあった影
色も形も多種多様な苦悩が集まる海辺にて
眺める落日は懐かしく数少ない愛せるものだ

流動的な価値観を意識せざるを得なくなって
それを後戻りの言い訳にしそうな自分を叱咤して
理解されないような機微や報われない擦れ違いは
ここで荼毘に付すとするよ この歌を墓標にするよ

どうにもならない日々の事 殴るに殴れない敵の事
研ぎ澄まされた眼光は痛みに隠れる一縷の望み
できない事はやらないけど使える物は全部使う
そうして辿り着いた自分は数少ない愛せるものだ

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-09-06 11:22
  • 殴るに殴れない敵

    ここが一番好きです。多いです、殴るに殴れない敵。
    言うことを聞いてくれないバンドメンバー
    言うことを聞いてくれないお隣の国
    言うことを聞いてくれない自分のお口

    でも、それを最大限に使ってどうにかこうにか自分を愛してやったらいいんですよね。何かの答えをもらった気がします。

    かばざん
    女性/23歳/京都府
    2017-09-06 21:52
  • ありがとうございます。
    お隣の国なんてスケールのデカい事は意識してませんでしたが笑
    日常のレベルでそういう敵は多いかもしれません。というか、殴れる敵の方が少ないような。
    何をもって敵とするかにもよりますけれど。
    簡単には解決しない事こそ歌われるべきだと思います。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-09-07 07:15
前作もそうですけど、長いの書くの大変なんですよ。しかも読みづらいでしょ笑 まあそれだけちゃんと書きたかったっていう事なんですかね。歌うたいは自分のために歌を歌っているんじゃないかと思ったのがきっかけ。

ω

加速する日常に嫌気が差す若かりし日
虚無へ向かう旅路は複雑怪奇で
分岐点で間違い後戻りもできずに
急ぎ足で雑踏の中を歩いた
影に隠れた惨めさはどこからともなく現れ
あらゆる行動についての抑止力として
苦悩、絶望、諦観と嗚咽の種となる

自発的な交流をする程の自信は持てずに
目を瞑った事実が幾つかあった
それはきっと青春と形容される日々にて
犯した失敗が恐怖に結び付いたから
人のせいにしていたら成長はできないな
でも全部自分が背負い込むのも違うな
昔同じ眼をしたあの子が言った通りだ

僕の歌口ずさんでる君の幻影を見たんだ
泥濘に堕ちてこその人生
できなかった事 見つけきれなかった物
無垢な君の笑顔を守れなかった記憶が
僕を縛っていた呪いもいよいよ消えた
それでも肯定には程遠い
僕は僕のままで良かったか

煙臭いあの部屋 咄嗟についた嘘
一人また一人と離れていった
好き嫌いの境目が徐に消えていき
それがいつの日にかつまらなく思えて
自分とは何者か
曖昧な命題に妥協する人間を横目に生きた
そんな頑固さが吉と出たか凶と出たかは分からない

僕の歌口ずさんでる君の幻影を見たんだ
泥濘に堕ちてこその人生
当たって砕けた事 諦めて逃げた事
あの日立てた誓いを殺してしまった記憶が
僕を縛っていた呪いもいよいよ消えた
それでも肯定とは程遠い
僕は僕のままで良かったか

息を切らして雨の中駆け抜けた日々が
主観的には不規則に進む時間が
とちりながらも必死に紡いだ言葉が
分かり合えないと知りながら愛した心が
昨日までの生の集積が形作る
歪なんて言うのも憚られるそれは
自然な完璧が失敗を含むように
僕を否定した僕が織り込まれている

僕の歌口ずさんでる君の幻影を見たんだ
泥濘に堕ちてこその人生
いつか振り返ったときそう思えればいいが
無垢な君の笑顔を守れなかった記憶が
僕を縛っていた呪いもいよいよ消えた
それでも肯定とは程遠い
僕は僕のままで良かったか

愚かな螺旋階段
男性/26歳/鹿児島県
2017-09-08 14:26
  • ぇ、さよならなんですか??
    悲しかったりする...というか悲しい...

    「僕は僕のままで良かったか」

    愚かな螺旋階段さんの作品、めっちゃ好きです

    かばざん
    女性/23歳/京都府
    2017-09-08 23:41
  • ありがとうございます!
    最後まで僕は僕を肯定できなかったという笑
    ポエム掲示板とはひとまずさよならですが、
    今度はRAP掲示板で頑張ります!
    韻を踏んだポエムを書くのであまり違いは無いような笑
    そちらもどうぞよろしくお願いします!

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-09-09 07:12
  • 一目見ただけで愚かな螺旋階段さんとわかるこの詩が好きです!「あなた」とかって呼べないくらい崇高な人だと思っています。ほんとに愚かな螺旋階段さんはすごいです

    サクラボーズ
    男性/21歳/埼玉県
    2017-09-10 21:29
  • ありがとうございます!
    いや僕はそんな崇高な人じゃないですよ笑
    サクラボーズさんも言葉の運び方が独特で一目見ただけで分かります。そのオリジナリティは凄いなと思いながらいつも読んでます。

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-09-11 12:34
  • 何度もレス失礼します!うぁあああああああああああああ!嬉しすぎる!ほんとに嬉しいいい!
    ラップ掲示板絶対見ます!ありがとうございます!!

    サクラボーズ
    男性/21歳/埼玉県
    2017-09-11 15:04
  • そんなに嬉しがってもらえるとは笑
    ラップ掲示板では韻踏むのに苦戦する僕が見れると思います笑

    愚かな螺旋階段
    男性/26歳/鹿児島県
    2017-09-11 15:20
シリーズの最後を締めくくる作品。最後だけあってこのシリーズの総括的な側面もあります。最後まで自分を肯定できませんでしたが笑 まあそれも僕らしいと言えばそうなるんですかね笑