感情の余白を埋めるため 私はあなたに恋をする。
わざと日にちをずらして あなたのために作ったクッキー まだ見終わってない映画のDVDと一緒に渡した 来週は彼女と遊園地に行くって笑うから 最高だねって頬を吊り上げた あんまり嬉しそうだから言い逃げしてやった あの映画の終わりを たぶん私は一生知らない
息を吸っても、吐いても 顔を顰めても、笑っても 声を届けても、諦めても あなたを包む世界の速度は 明日も明後日も変わらないから 今日くらいは、踏み出してみて
言葉足らずな君の言葉を全てかき集めても あの子の1つには及ばないのね それなのにどうして、進めないんだろう
幸せの中に本当の幸せはないから 今日も僕は 君のために でこぼこの道を均すよ
膝を曲げて耳を寄せる 本当はもう届くけど 君の肩に手をついて 届かないフリをした 1回しか言わないから ちゃんとちゃんと聞いててね
音を立てずに慎重に 君へ想いを綴る 終のページは 2人のもの
流行りのリップに新作のコート 足と手に施したネイル 美容院でセットした髪型 今日こそはあなたの前で 高慢で我儘な女を演じきってやるから 褒められたくらいで赤くなったりしないから 覚悟しといてよ、ばか
私にはあなたしかいないなんて思わない かっこよくて、優しくて、気が利く いい人たちは沢山いる けど、あなたには私しかいないんだから 黙って傍にいてあげる
不惑な横顔から滴る蜜は 私の全てを鷲掴みにした 私にない全てを あなたは持っていたから
たった一回のクラクション 無我夢中で手を振った 多分あの1秒のために 私は懸命に生きてきたんだ
あなたは何も言わないけれど オイルに混ざるシャネルの5番は 二人の時間が限りあるものだと 教えてくれていたんでしょう
何もかも失うほど勇気はないし 世界を変える行動力なんかない ただ最後に一つだけ残るものが あなたであって欲しいと願うんです
助手席を開けると、いつもバニラの匂いがした。 あまり好きじゃないから バニラなんてわからないほど 君の胸に顔を埋めた。
向けられたものが誠実な好意じゃなくとも きっと引き寄せられた 向けられたそれが誠実な行為じゃなくとも きっと素直に従った 私は弱くないから、何でもしていいんだよ。
嬉しそうに薬指を見つめては 恥ずかしそうに頬を染める すこし周りを見渡して ボクに駆け寄って見せてくるんだ 本当によかった 99%本心だから 今はのぞき込まないで ほかには何も望まないから 今だけは顔を見ないで
君が彩る世界の全てが 私の世界の全てだ
丁寧に包んだって あなたはきっと乱暴に剥がすから はじめから剥き出しの ありのままの私を見てよ
誰よりも綺麗に着付けした浴衣を 膝の上までたくしあげる そのくらい、はやく、会いたかった。
毛嫌いしていたマフラーの音を あなたのせいで聞きたくなった どこにいてもわかるように 大きな音で響かせて 今すぐに行くから そこで待ってて
濡れた浴衣の裾が冷たい 暗くてよかった グラスの結露で濡れたって言えるから 暗くてよかった 赤い目が見えないから 暗くてよかった つかもうとした手を見られなかったから 暗くてよかった 私の笑顔だけが残るなら それだけで、いいよね。
グラスの結露が夏を語る もう少し 滴るくらいまでは あなたと一緒にいさせて 浴衣が濡れてもかまわないから
気紛れな優しさはいらないから ふつふつと沸きあがる 淫らな核心を突いてほしい 体裁上は閉めておくから 私の心を突き破ってよ
本能が言ってる この人じゃないと駄目だと 本能が言ってる この人だけは絶対駄目だと
雨を見るたび思い出すのは 雨の匂いが染み付いたあなた 傘は無機質だと意味のわからない言葉を残し 足音を雨粒に隠してどこかへ行った 私は全ての傘を捨てた 傘はすごく無機質だから
絶対に目を開けない約束だったのに いとも簡単に約束を破る そういうところが苦しいほど好きだよ
偶然を装った完璧なタイミングには 我ながらよくやるなって思ったし 席を立っている間のサプライズには 我ながらお洒落だなって思ったよ もうやることはないけどね
わざとらしく踵を鳴らして歩くのは この音を深く身体に覚えさせるため。 あなたはすごく嫌がるけど わたしは絶対ピンヒールしか履かないの。
大胆すぎる1歩は 私の空白を鷲掴みにした 感触のない想いを あなたは掴んで離さない このままずっと離さないで
綺麗な紙を重ねて 私の気持ちは何枚目かと問う 風に靡いた一枚を引いたら キミは正解だと笑った