濡れた浴衣の裾が冷たい 暗くてよかった グラスの結露で濡れたって言えるから 暗くてよかった 赤い目が見えないから 暗くてよかった つかもうとした手を見られなかったから 暗くてよかった 私の笑顔だけが残るなら それだけで、いいよね。
グラスの結露が夏を語る もう少し 滴るくらいまでは あなたと一緒にいさせて 浴衣が濡れてもかまわないから
気紛れな優しさはいらないから ふつふつと沸きあがる 淫らな核心を突いてほしい 体裁上は閉めておくから 私の心を突き破ってよ
本能が言ってる この人じゃないと駄目だと 本能が言ってる この人だけは絶対駄目だと
雨を見るたび思い出すのは 雨の匂いが染み付いたあなた 傘は無機質だと意味のわからない言葉を残し 足音を雨粒に隠してどこかへ行った 私は全ての傘を捨てた 傘はすごく無機質だから
絶対に目を開けない約束だったのに いとも簡単に約束を破る そういうところが苦しいほど好きだよ
偶然を装った完璧なタイミングには 我ながらよくやるなって思ったし 席を立っている間のサプライズには 我ながらお洒落だなって思ったよ もうやることはないけどね
わざとらしく踵を鳴らして歩くのは この音を深く身体に覚えさせるため。 あなたはすごく嫌がるけど わたしは絶対ピンヒールしか履かないの。
大胆すぎる1歩は 私の空白を鷲掴みにした 感触のない想いを あなたは掴んで離さない このままずっと離さないで
綺麗な紙を重ねて 私の気持ちは何枚目かと問う 風に靡いた一枚を引いたら キミは正解だと笑った