どしゃぶりのバス停で 5
あれから三日がたった。
伊藤君は、頭の回転が速くて、男子の会話の中心にいることも多くなった。
転校して来たばかりなのに、もう男子のほとんどから信頼される、人気者になったようだ。
そして、優里香はどうやら木村君と付き合い始めたみたいだ。
最近は、よく一緒に話しているし、一緒に帰ったりしている。
「優里香…」
優里香に話しかけようと呼んだ時、木村君と喋っているところだということに気づいた。
別に、優里香以外友達がいないとかそういうわけではない。
あかりのグループとも割と仲がいいし、男子ともまあまあ喋るタイプだと思っている。
でも、親友と話す機会が少なくなっていくのは、悲しいことだった。
ぼんやりとそんなことを考えてると、後ろからぽん、と肩を叩かれた。
「えっと…相葉さん?消しゴム落としたよ。」
「ありがとうー! …!」
そこには、伊藤君が立っていた。