無題
親と喧嘩した。きっかけはいつもの様に些細な事だった。でも今日は何故だかもう我慢できなくなって「もうあなたとは暮らしたくない」と。この言葉が母の何かを打ったように、今まで見た事も無いくらいの涙を流していた。いつもの母とは余りにもかけ離れた女性がそこでうずくまって泣い
ているので、驚きや緊張、怒りなどといった感覚の隙間にほんの少しの愛情を覚えてしまう。でも、また来週には、いや3日後にはまた同じように喧嘩するんだろう。もう何度目かは数えていない、疲れてしまった。親の性格がそうであるように、自分も誰かと共に過ごすという事が不得意な人間であるというのはもう随分前から感じていたのに。働けばよかったのだろうか。学校へ通わせてくれる為に必死に働いてお金を工面してくれているのも、感謝しなければならない、という感情に変わって来てしまっている。子離れしていない、等と一言で括ればなんとなく自分の体で処理できなくもないんだけど、積年のこの感情はもはや形容し難いものではなく形容し得ないものに変わり、何十分も何十分もかけてこの足りない頭を乱回転させながら文章を書き上げ、未だ何も行動を起こせないまま、何も伝えられないまま日付が変わるのを携帯画面頭上で確認する。