大人になれば嫌でもわかるんだ。どんなに願っても絶対に叶わないことがあること。だって大人たちがそうやって言うんだもの。小さい頃は夢は大きく、なんて言うのに、ある程度の年齢になったら安定した未来を勧めてくる。 こちらの舗装された道をどうぞ。なんて。 だから僕は従わない。道なんて自分で切り開いていくものでしょう? かつてそう教えたのはあなた達だったはずです。
帰り道にふと見かけた野良猫が僕の心を救った。 それは雨上がりの虹のように美しかった。 ただそこに居るだけで人を救う彼と、ただ人と居るだけで傷つけてしまう僕。 そんなつもりはなかった。なかったのに、知らないうちに傷つけた。悲しかった。 朝ふと目に入った星占いが、僕の心を沈ませた。 ああ、僕は星占いの最下位みたいなものか。
名前を呼んでくれるだけで嬉しかったこと。 おはようって言ってくれるだけで心が温かくなったこと。 笑ってくれるだけで楽しくなったこと。 ただ側にいてくれるだけで幸せだったこと。 全部、ぜんぶ、全部伝えたかったけど、結局何ひとつ言えなかったこと。 今になって、自分の世界はあなたの色でいっぱいになっていたと気づいたこと。 いつか全部伝えられたそのときは、 またあの頃のあだ名で呼んでくれますか。