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忘れない

先日、外国人児童への学習支援団体が集まるフォーラムがあった。支援者の大人ばかりが参加しているなかで、僕もひっそりと参加していた。
フォーラム終了後、ある支援者から話を聞いた。その時の衝撃は今も覚えている。

僕の最初の教え子であり、大切な友人だった子が、急に帰国したと聞かされたのだから。

理由はかなり重いものだったのでここでは明かさない。だけど、少なくとも本人の意思ではないのは確かだ。あいつはあと半年で高校を卒業するはずだった。高校で仲のいい友人もできた。後輩もできた。新しい才能も目覚めた。あいつにとって、高校での生活はかけがえのない宝物だったに違いない。
卒業まであと少しだったのに、あいつの日本での高校生活は突然幕を閉じた。そして、静かに日本を去った。
僕はあいつに何もしてあげられなかった。連絡先まで交換したのに、こっちからは何もしなかった!せめて1度くらい、電話してやればよかった……!
今、僕のスマホには、あいつの電話番号が残っている。僕はそれを消すつもりはない。後悔と自責を背負いながら、それでも僕は、子供たちのために全力を尽くす。そう誓ったのだから。

なあ、今日くらい泣き言を言わせてくれ。
せめて最後に、一瞬でもいいから、お前に会いたかったよ。