吸い込んだ空気が鼻を冷たくする。 吐いた息が白く天に上がる。 『またいつか。さようなら』 そう言って彼女は春の陽気と共に去っていった。 もうすぐ冬。僕は今か今かと空を見上げる。 白い結晶が1つ、また1つと僕の頬に触れては消える。 やっと会えた。お帰りなさい。 (ーーただいま。)
ずっと大人の目を見て成長してきた。 呼吸がどんどんできなくなった。 『良い子』になることをやめた。 『頑張る事』を少しやめてみた。 少しだけ呼吸がしやすい世の中になった。