SOL特撮部
「レッドマン」解説の続きです。
このようにレッドマンは朝の番組の1コーナーとして放送されていた特撮でしたが、いくつか「巨大特撮ヒーロー」にあるまじき要素がいくつかあります。
まとめると、
1,低予算・短時間番組のためセットが組めず、撮影は全て野外ロケ。このため怪獣が町を破壊するなどのシーンがなく、怪獣の脅威が感じられない。
2,同理由で特撮効果がショボい。光線技や爆発などの、特撮でおなじみの演出もほとんどない。設定上は飛べるはずなのに戦闘後は大抵歩いて帰る。
3,これをカバーするためなのか、怪獣の仕留め方がやたら残酷。
倒した怪獣の生死を確認し生きていれば止めを刺す、SEもやたら生々しい。パンチやキックの当たり方も時々演技に見えないという声もある。
4,倒された怪獣が爆発したり溶けたりもせず、そのまま無造作に転がっている上、レッドマンも大抵亡骸は放置して帰るため、彼の戦いの後には惨たらしい怪獣の亡骸だけが残ることになり、妙なリアリティがある。
5,レッドマン本人も「イヤッ!」「トォーッ!」といった掛け声や必殺技名くらいしか言葉を発さないので、レッドマンが怪獣に戦いを挑む理由・背景をより曖昧なものにし、彼の存在を不気味なものにしてしまっている。
6,劇中のBGMも登場シーンや勝利後に流れるテーマ曲を除くと凡そ不穏で重苦しい雰囲気のものばかり
映像面においても低予算番組ゆえの洗練されていない画作りや、編集作業の省力化のためと思われる長回しとロングショットを多用した手ブレの多いカメラワークが、逆にドキュメンタリー調の印象を醸し出しており、レッドマンと怪獣の生々しく必死なプロレスアクションと相俟って、「凶悪な怪獣から地球を守るヒーローの戦い」というよりは「特撮とはまた何か違うもの」というものになっている。
などがあります。
続きます。