表示件数
0

Daemonium Bellum:Angels Lapsus Ⅵ

ミカエルはもう1度ルシファーに向き直る。
「うふふ、もう2度と私は貴方を離さない…」
「待って待ってみーちゃん落ち着いて」
わたしはもう…と言いながらルシファーは後ずさる。
「もう天上には戻れない、だから…」
そう言いかけた所で、ルシファーはぷつんと糸が切れたようにうなだれた。
周囲は一体どうしたと途方に暮れるが、不意にルシファーは顔を上げた。
「…やぁ」
久しぶりだねみーちゃん、とルシファーはゆっくりと立ち上がる。
その右目だけ赤く輝いている。
「貴方は…」
ミカエルはぱっと頬を赤らめる。
「そう”ぼく”だよ」
いつぶりかな?と言いつつ、その人物はミカエルを抱きしめた。
「サタン…」
ミカエルは嬉しそうな顔をする。
「どうしてぼくを迎えに来ようとしたのさ」
サタンが尋ねるとミカエルはだって、と呟く。
「だって貴方がいないと寂しくて寂しくて…」
すべてが色を失ったよう、とミカエルはサタンの頭を撫でた。
サタンはうんうん、とミカエルを慰める。
「…でもさ、好きでいてくれるのは良いんだけどね、ぼくを取り戻すなんてよすべきだと思うんだ」
「どうして?」
ミカエルは思わず聞き返す。
「だってぼく”達”は天界から追放された身、ついでに羽根も切り落とされて昔のようには飛べない」
サタンのその言葉に、それでも、とミカエルは返す。
「いやいや、君がどうやっても無理」
下手すれば君も追放されちゃうよ~とサタンは笑う。
「…」
その言葉にミカエルは何も言えなくなってしまった。
「まぁまぁ、ぼくのことはいいからさ、そろそろ帰りなよ」
他の天使が君のことを探してるかもよ、とサタンは促す。
「…でも」
「でもじゃない」
ミカエルがそう言いかけた所で、背後からアモンが剣を向ける。
「ソイツが言ってるんだ、そろそろ上へ帰れ」
じゃないとこっちも困る、とアモンは言う。
「ていうかさっさとソイツから…」
「…うるさいわね」
アモンの言葉を遮るように、ミカエルは振り向いた。