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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その⑦

扉を開けた瞬間、屋外に犇めいていたカゲ達がその物音に気付き、一斉に二人の方に振り向いた。
『まずは基本の技から行こうか。適当なカゲに拳を向けて狙いを定める。腕はまっすぐ伸ばしていた方が良いけど、最悪拳さえ向いていれば大丈夫』
明晶の指示の通りに義腕が動き、カゲの群れに狙いを定める。
『本当は直接口で言った方が楽なんだけど……まあ頭の中で唱えるだけでも良い。この技の名は』
鈑金の隙間から、光の力が可視光として迸る。
『リーチ・フィスト』
その名が呼ばれるのと同時に義腕が高速で伸長し、導線上のカゲを貫いた。
「わぁっ⁉ 伸びた!」
『まだまだこんなものじゃないよ』
再び義腕が縮み、今度は小刻みに振動し始める。
『これは少し扱いが難しいけど、多分慣れればある程度は操れるようになると思うから頑張って。そしてこの技の名は』
再び、義腕が高速で伸長する。しかし先程の直線的な軌道では無く、不定期なタイミングで鋭角から直角の角度で滅茶苦茶に折れ曲がり、周囲のカゲをまとめて打ち抜いた。
『リーチ・フィスト・ディストーション。かっこいいと思わない?』
『それについては議論の余地があるんじゃないか』
「あ、三色さんも話に参加するんですね」
『さて、この辺の雑魚は今ので大体倒せたかな。隙間が残っているうちに早く進みな』
「分かりました!」