野良輝士市街奪還戦 その⑧
「あとは任せたぞ宗司、かどみー」
「おう任せろー」
片手を上げて答えた宗司に、ヌシが腕による薙ぎ払いを仕掛けてきた。
「お、その攻撃は助かる」
そう言いながら、宗司は予め初音が突き立てていた剣を足場に跳び上がり回避した。弾き飛ばされた剣は初音が回収し、宗司が頭上から、初音が足元から攻撃を仕掛ける。ヌシは両方を一瞬見た後、まず宗司を殴りつけようとした。しかし、その拳は途中で不自然に停止する。
灯が地面に向けて撃ったワイヤーがヌシの腕を絡め取っていたのだ。
その隙を逃さず、宗司が頭を叩き潰し、初音が片脚を切断したが、ダークコアには当たらなかったようで、ワイヤーを振り払い更に攻撃を放とうとする。
「させるか」
即座に巻き取ったワイヤーを再び発射した灯の攻撃と遠方からの真理奈による狙撃がヌシの腕を貫き、殴る勢いでその腕が千切れ飛んだ。
「いよっしゃ片腕片脚取った!」
「ナイスゥ灯に真理ちゃん」
親指を立てた宗司の横に、小春が吹き飛ばされてきた。
「ん、どうした新入り?」
「ごめんなさい、押し負けました……。私の押さえてた分、一気に押し寄せてきます」
「マジか。流石に片方しか防げないぞ」
そう言っている間にも、前方からはヌシの叩きつける攻撃が、後方からは無数のカゲたちが、その場の4人に迫ってくる。その時、
『宗司くんは後ろを止めて! ヌシの攻撃は当たらないからかどみーちゃんが心臓を狙って!』
通話状態が続いていた携帯電話から、真理奈の指示が轟いた。