花は雪だ
風で降り注がれる花びらのシャワーは
冷たくない雪だ
君の頭に舞い落ちた花びらを
もったいないからと取らない君を
似合ってる?と笑う君を
無邪気なきらめきに揺れている
また花にうもれて
いつの間にか蕾開く
花は恋だ
君の頭にのっている花びらは
淡い色の恋だ
ずっと迷ってた
今日言おう明日言おうって
なかなか決心できなかった
君に気持ちを伝えたあの日は
その場しのぎだった君の言葉を真に受けた
今思えば、馬鹿だな
いつの間にか季節は過ぎて
君と一緒に日々を過ごせなくなった
時々君の顔を見かけるけど
私なんていなくても楽しそうだった
それが憎らしいはずなのに
気づけばまた君の名前を口にする
本当は、わかってる
君はまだ覚えてますか?
私は今も忘れられていません
君にとってはなんてことなかったんだろうけど
押し付けがましくてごめん
でもね……
いつか必ず忘れるから
「好きなものを選びなさい」
そう言われた私は自分の背丈以上の筆をとった。
周囲には24色クレヨンを手に取った者、鉛筆を小刀で削り始めた者などまちまちであった。
「そこの少女」
私のことらしい。
「そんなに抱えるにもふらふらで、使いこなすことが出来るのか」
無視した。
見た目に反してその筆は軽かった、
なんて訳もなく重心がちょこまかとずれる筆は持ったまま立っているのも一苦労で、使うなんてとんでもないという考えが頭を掠める。
「ふふふ」
声はまだ追いかけてくるつもりらしい。
「身の丈知らずとはまさにこのこと」
だからどうしたと思う。
成長期はとうに止まっている。
この筆の丈を身長が越えることはないだろう。
だからどうしたと、今度は声に出た。
伸びないなら伸ばすだけだ。
私は筆を抱え直した。
手は汗ばんで、重みのある筆を支えると思惑の外ですべる。
「これを選びます」
声は返ってこなかった。
ほら、口角が下がってるよ
君は笑った顔が一番可愛いんだから
目を細めながら私の頬をつまんだ君は
あの時何を考えてたんだろう
何度も救ってくれたのに
君を止めることもできないまま
吸い込まれそうな夜空に浮かぶ
君の好きな北斗七星
ギター抱えて外に飛び出し
独りで紡ぐ恋の唄
坂道
転がって
登って
はじけた ひとつ
アイスランドポピーで
受けとめるから
どうか
ひとり 自分で
諦めをつけないで