「嫉妬と羨望とよくいうが嫉妬は羨望の裏返しだ」
と、サインが言った。
「生物界にモラルはない。適応があるだけだ」
と、コサインが言った。
「モラルも適応の産物では?」
と、タンジェントがアラビア語でコサインに言った。
「そうだな」
と、コサインが中国語でこたえた。対(ドゥイ)って。
「いいからさっさと彼女のところに行ってこいよ」
と、サインがコサインに言った。
「これだから非モテはな」
と、タンジェントが言った。
「お互いさまだ」
コサインがタンジェントに言った。
「まいったな」
タンジェントが言った。
「俺たち暗いな」
と、サインが言うと、笑いが舞い降りた。俺がサインとコサインとタンジェントについて語れるのはこれだけだ。
朝起きて眩しい朝陽を浴びたって、
夕方の帰り道が突然の大雨だって、
今日が其処にはあって、
昨日は通り過ぎていて、
明日に向かって進んでる。
それを、毎日、毎週、毎月、毎年続けてて、
それを、季節の変わり目に振り返って、
君と出逢って、貴方と別れて、
繋がりを切りたがって、
新たな繋がりを求めて、
明日に向かって進んでる。
きっと僕も通過点。
声も顔も知らないけれど、
仮面の名前を憶えられるかな。
言いたかったなぁ
これからもよろしくね
言いたかったなぁ。
そのときはただ悲しくて何も言えなかった
同じところに立って同じほうを見たかった。
せめて最後にありがとうって言いたかった。
届かない一方通行で
ありがとう
いつも前を見ているあなたに憧れていたよ。
昼間に差し込む光たち 真っ白なキャンパスを照らす
何も描かなくても その光の先が
何かを物語ってるから
見えない未来に怯えていても 何も始まらないから
目の前にあるチャンスを一つ残らず
掴みとれ
躊躇なんてしないで その動き出す右手?左手信じて
伝わるよ ほら 動かし続けなよ
そしたら そこには
僕らにしか描けない 未来地図がある
描いていくよ
君と なぞっていくよ
やり残した楽しいことがまだきっと
なにかあるんじゃないかと
今日を終わらせるのが名残惜しくて
考えてみるけど見つける前に
雨音に溶け込むように瞼が閉じる
穏やかな夜