「嫉妬と羨望とよくいうが嫉妬は羨望の裏返しだ」
と、サインが言った。
「生物界にモラルはない。適応があるだけだ」
と、コサインが言った。
「モラルも適応の産物では?」
と、タンジェントがアラビア語でコサインに言った。
「そうだな」
と、コサインが中国語でこたえた。対(ドゥイ)って。
「いいからさっさと彼女のところに行ってこいよ」
と、サインがコサインに言った。
「これだから非モテはな」
と、タンジェントが言った。
「お互いさまだ」
コサインがタンジェントに言った。
「まいったな」
タンジェントが言った。
「俺たち暗いな」
と、サインが言うと、笑いが舞い降りた。俺がサインとコサインとタンジェントについて語れるのはこれだけだ。