好き、っていうか
ひとりになりたくない、から
今日も温もり、もらうね
明日も明後日も、もらうね
朝が来る。
目覚ましがなる。
目を覚ます。
重い重い体を起こし、
重い重い制服を着て。
支度を済ませ玄関を出る。
登りたくはない坂を登る。
友達に挨拶をして、
バス停に向かう。
静かなバスにゆられて、
学校につく。
笑顔を浮かべ、友達に挨拶をする。
眠い授業を受け、
部活に出て、
ふらふらと家に帰る。
夕飯を食べお風呂に入る。
自分の部屋のベットに転がる。
ラジオを聞きながらケータイをいじる。
聞き終わったら目を閉じて、
夢の中へ。
また朝が来る。
あぁなんでこんな毎日を過ごしてるんだっけ。
「昨日のSOL、聴いた?」
「聴いたよ!」
「校長のあのジョーク、まじウケたんだけど!夜中に爆笑しちゃったよ」
「まじかあ…私的に、昨日の教頭のキレキレのツッコミがツボだったなぁ」
「ゆりは本当教頭好きだよね、あはは」
「本当にツボなんだよね、言うことが」
木村と話すのはとても楽しい。大好きなラジオ番組も一緒だということが発覚して、毎日その話をしてる。
毎回の授業の合間の休み時間も、私が木村の机にいくか、木村が私の机にやって来て、おしゃべりをする。いくらしゃべっても話し足りない。
前までは男子がはやしたてたりしていたけれど、最近は見慣れた教室の光景になっているのだろうな。
「おい」
「なに?」
「あれ見て」
「…おっ?」
転校生の伊藤君が、消しゴムを美穂に差し出しながら、なにやら会話をしている。
「いい感じじゃね?あれ」
「だな」
もし美穂が伊藤君と付き合い始めたら、ダブルデートなんてどうだろう。そんな気楽なことを考えていた。その時は。
僕は見てしまった
委員長でメガネの宮田さんが
目に見えないなにかと
話していたとこを
僕は見てしまった
隣の席の小鳥遊さんが
UFOに連れ去られていたとこを
僕は見てしまった
生徒会長の酒井会長が
闇の取引をしていたところを
そして僕は見てしまった
今日も後ろの席の前島くんが
ぼくのリコーダーを
舐めていたところを
僕は見すぎてしまった
だから消されてしまった
こんな滑稽なわたしは
ひとりじゃ笑えないから
おっけーぐーだって
きみの希望的観測をください
靴ずれから発火して
ロケットになれ
消しゴムをかけて
見たくないものを消した
聞きたくない声も
嫌らしい見栄や世間体も
全部全部全部
完全に消え去るまで消しゴムをかけた
あれ
全部全部全部
消えてない
見栄も争いも世間体も
嫌いなあいつも
崩れてる家族も
そのままだ
あぁ
消えたのは
消されてしまったのは
私の
私の心の
ほんとの叫びだ
び び び びんぼう、脱け出すために
毎日すこし
せ せ せ せつやく
街角ショーウィンドウ
ほ ほ ほ ほしいものがあるから
愛してるって微笑む貴方に
嘘吐きって言葉を飲み込んだ
隙間をなくして触れ合っても
貴方の心なんて読めやしないのね
ワイシャツのカラー裏
2週に1度の赤い染み抜き
挑戦状を塗りこめる彼女にだって
貴方は きっと
それを気取らせはしないのね
好きも嫌いも
赤も青も
怒りも涙も
黒も白も
全部かき混ぜて
世界の果てにいる君と話そう
狂っちゃった誰か
右手にはスポドリを
赤いマニキュア塗ってたって
それは私のせいじゃない
空気になれない私と
積乱雲を祝おう
合わない靴が痛んでも
構わないのよ、だってもう死んでるわ
言われたことだけしてれば良いのに、楽なのに。
自分の代わりはいくらでもいるとわかっても。
それでも、自分なりにしないと自分がここにいる意味がない。