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愛されること

一人暮らしをしている僕。
夏になると急によみがえる記憶。
ただの幼なじみが、電話で愛されたいと泣いた日。
ぬるい夜風の中、ギターをかついで待ち合わせの公園まで走ったとき。
そのあと枯れたベンチで、ベタな歌詞にのせてベタな音楽でかなわない恋を歌ったとき。
「ベタね」彼女はいった。
「うん」僕は泣きそうになった。
「うんとアホくさい」彼女は笑う。
「うん」泣くな、僕。
「うんとアホくさくて、一生懸命でまぶしくて、くらくらする」
おい泣くなよ僕。面目がまるでたたないじゃないか。
「運命を変えるって、できるのかな。」彼女は遠くを見てつぶやいた。
僕はふときづいた。
いつでも愛されたいのは僕の方だった。

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 陽を跨ぐ

夜を、明かして
少し歩いた頃
まだ隣では
魚みたいに眠っていて
手が届かないものに
手を翳すような
そんな気分になる
匂いの解けたコーヒーは
眠気の欠片かな
思いを巡らせる指先
撫でるのは、柔らかなカーテン

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雨天決行墓参リ

傘も無くて
雨に濡れて
涙を流して
彼を想って
手を握って
くれたあなたは
もういないのね
もういないのね

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マイコプラズマ...

小3の時、なぜか
「マイコプラズマ肺炎」に憧れる
純粋な俺がいた

なぜかその響きは
俺に異彩を放っていた、

今までなったことは、ない
そう、
憧れれば、ならないものなんだ...