あなたは女子高校生。スマホをいじりながら歩いている。気づくと目の前に男子高校生。すれ違いざま、じゃまだよ、と男子高校生。そりゃ自分も悪かった。だが男子高校生もスマホいじってた。あなたは傷つくと同時にいらいら。だがいらいらは解消された。なぜなら次の日例の男子高校生を発見して思いきりにらみつけてやったから。いらいらはやがてもやもやになった。なぜならなぜなら、あなたは難度も傷つきを頭の中でリピートしてしまったから。
三十年経ったいまでもやもやは消えない。傷つきは癒えたのに。だから歩きスマホはやめましょうなんて話じゃないんだよこの話は。
もっと強くなりたい
誰からも頼られるように
もっと強くなりたい
誰かを助けられるように
もっと強くなりたい
自分を守れるように
もっと強くなりたい
いつか大切な人にあった時の為に
とるるるる
とるるるる
慣れない慣れない公衆電話
壊れた携帯ポケットに押し込んで あーあ 使えない奴
駅前広場のボックスの3番目で
とるるるる
とるるるる
時間なんてカウントできなかったから
2回も10円潰したあげく
100円とかいう
銀色硬貨を突っ込んだ
ぷつっと鳴って
気配がした
気がした
こわばる声音
MAXボリューム
結局
うるさいって 怒られた
苦笑混じりに
1/30
そんなにボリューム落とせると思ってるのなら
それ 私のこと舐めてるよ?
あぁもう
恥ずかしさでどう帰ったか
覚えてないや
全部 全部 あなたのせいだ
あなたは男子高校生。ある日父親から、実は双子の兄がいるときかされる。会いたいかと言われ、もちろんだとこたえる。
しばらく経って、運命の再会。あなたとよく似たお兄さんが驚いた顔で言う。
「妹だと、きいていたんだけど」
わからなくなった。
なにもかも
わからなくなった。
大切な人に
会えなくて
大切な人が
遠くに行って
大切な人が
大切じゃなくなって
信じられない
生きてけない
わからなくて
もやもやして
イライラして
自分が自分じゃないみたい
笑え。
何があっても。
笑顔は君の味方。
笑顔が全てを取りはからうこともある。
最後に見た花火は、あなたとの思い出かき消してくように大きな音で。
近くに寄らなきゃ聞こえない声に、耳をすまして近づきたかった。
どんな笑い声も涙声も焼きついている。
笑顔で終わりたいと笑っている、声が泣いてる。
この世に神様がいるなら、叶えて欲しいことがある。
1秒だけでいいから、あなたの近くにいきたい。
あなたに寄り添っていたい。