「君の瞳にうつる世界は何色をしているの」
私が問うと、彼は笑った。
「今日は白地に花柄かな」
偶然にも、私の着ているワンピースと同じ色柄をしているようだ。
雨がふる。
水たまりを車が撥ねる。
赤い傘さしたあの子のスカートがひらり。
パシャッ。
あの子のスカートぐっしょり。
お気に入りの靴も、色が変わる。
ぐじゅぐじゅと、歩くたびに不快な音を立てる。
まとわりついた雫が、脚をゆっくりとつたって落ちてゆく。
傘をくるくる。
どこかで嗅いだことのある、雨の匂い。
あれはどこだっけ。
いつだっけ。
とおいとおいむかしの、そのまたむかし。
熱帯雨林のなかで、まだ四足で歩いていたときのことだっけ。
まあ、いいや。
忘れた。
むかしの記憶。
どうでもいいなあ。
雨がふる。
なつかしい匂いと、きみの濡れた髪。
わるくないな。
雨よ雨、もっとふれ。
ぜんぶ洗い流すまで、もっともっと。
どうして? LINEではまるで恋人。でも…。
学校ではあいさつだってできない。
「おはよう」は?「バイバイ」は?
みんなは勝手に盛り上がってる。
こっちの気持ちも知らないでさ。
「夏休み、一緒に遊ぼう!」って言ってくれた。
これもLINEだけど…。
すっごくうれしかったんだよ?
もう体が浮いてしまいそうなくらい!
…けどさ、やっぱり直接話したいよ…。
私はここにいる
なのに君はどこに行くのかい
私はここにいたい
しかし君はどこかに行きたいのかい
私は君を知らない
だけど君も私を知らない
知りたいのに
しりたいのに
シリタイノニ
君は知ろうとしない
君を知ろうとしない
みんな結局ありきたりが好きなんだね。
とか言う自分の頭のなかはありきたりで、
平凡に埋もれるのが嫌でそんなこと言ってみたり。
「こちら恋になりまぁす 甘くてするっと溶けていくおいしさをお楽しみくださぁい」
うわぁ、おいしそ~。
早く食べたい。いただきま~す。
ぱくっ。
ん?
確かにするっとは溶けていくけど、なんか想像してたのと違うなぁ。
甘いだけじゃないような・・・
何かの味に似てる。
・・・・・・ビターチョコレート?
おかしいなぁ・・・まぁいいか。
次は説明通りの「恋」食べられるかな。
小学生はきっと人を驚かすために嘘をつく。
中学生はきっと自分を守るために嘘をつく。
高校生はきっと他人を護るために嘘をつく。
自分にはどうも理解し難い。
誰かが
「無知は罪じゃない」
って言った気がする
確かにそうだよ
でも
無知のままでいいなんて誰が言ったの?
わかろうとしない おしえない
それは罪なんじゃないかな
あたりまえに友達と過ごして
あたりまえに友達と笑って
そんな日々はいつまでも続くものだと勝手に思ってる。
でも…
自分があたりまえに過ごした今日は
死んだ誰かが必死に生きたかった今日なんだ
必死で生きたかった人のぶんまで
必死に今日を生きようよ
人の云うらしさって
結局あんまりじぶんらしくなかったり
結構案外自分らしくなかったりする
まあ、しょうがないよね。
人によって観てるところなんてまちまちだし
強いて言えば、全部らしくて、らしくない。
みんなに一途でいるなんて不可能じゃない?