「それじゃ、さようなら」なんて
二度と言えるはずもなく
「なんで?」と聞いては目を伏せる
そんな場面しか見つからなかった。
線引きは小枝で、砂場に描いたように。
君は君なのに、またそうやって笑うんだね
いっつも直線だと限らない
ぬるい白湯を飲むような、ふやけてどろどろになるような、
言えない言葉が喉から胸の奥底まで落ちていく
靴紐がほどけて何度も結び直すように、
ずれた目線を
何度も結べるといいね
泣いても笑っても最後だとその背中に投げかけた。
私は私なのに、またこうやって笑うんだ
またそれから月日が経つ。
結局のところ店主には招待状を送れなかった。
ただ僕達の結婚を報告する手紙は送れた。
楽しい日々はあっという間。遂にその時はきた。
人生で1度きりであって欲しい結婚式。
正直僕は浮かれてた。
僕達は社内恋愛したものだから結婚式には知ってる顔がやたらと多い。それもまた良い事。
式場を別室からずっと見てる僕に妻は
「何ソワソワしてんの。」
と少し緊張で震えた声で問いかける。
でも僕はそれどころではない。
待てど暮らせど店主の姿は見えない。
...そりゃそうだ。招待状を出した訳ではない。
招待状を出してないにしろ少しは期待してる。
自分勝手な僕に式場の人から声がかかる。
「さぁ...そろそろですよ。準備は良いですか?」
綺麗で純白な妻と一緒に僕は部屋を出る。
僕達の門出。何故か心は苦しい。
この部屋に少しの感情を置き忘れてきたようにも思えた。
もしも今、世界のどこかで、なんらかの理由で悲しんでいる人がいるとしたら、ぼくはその人に教えてあげたいと思った。
だいじょうぶだよ。
心配しなくていいよ。
きみにももうじき見つかるよ。
新しい世界のとびらと、そのとびらのむこできみを待っている友だちが。
ほんとはすごいうれしいって
君みたいに言いたい言いたい
雪と魔法が解けないでほしい
友達のあの子はいつも君と話ができるのに。
ぼくは、前より君と話が出来なくなっていった。
ぐるぐるする。
君と話したいのに。
こうして、ぼくは、君に話しかけないまま。
海の深い深い奥底に沈んでいく。
君にも、誰にも見つからないくらい。
暗い暗い奥底深くまで。
最近君と話せてない。
話ができない。
何でだろう。なんか、距離が遠いからかな。
君と話したいのに。
何かがぼくをせき止める。
ぼくが?
それとも
君が?
好きだと気付いたその瞬間から
心が満足いかない
好きだと気付いてしまったから
寂しくて仕方がない
好きだとと気付きもしなかったら
今まで通りでよかった
好きだと気付く私がバカだから
あなたを傷つけてしまう
好きでも嫌いでもどうでもいい
とにかく側にいてほしい
好きだーー!!
って、叫びたい。海でも山でもいいから
今すぐに。
そして、君に伝わればいい。
君に届けば、
この心も少しは楽になるのに。
目の前のハードルを越えられなかったら
3歩先のハードルは越えられない
文字が書けなかったら
文章は作れない
一音目が出せなかったら
曲の演奏は完成しない
一発逆転のチャンスがあるなら
賭けてみたいけれど
そういう勇気もないからこそ
人間は努力ができるのかもしれない
そういう努力があるからこそ
人間は進歩できるのかもしれない
そういう進歩がなかったら
僕等は今頃どうなっているのだろう