またそれから月日が経つ。
結局のところ店主には招待状を送れなかった。
ただ僕達の結婚を報告する手紙は送れた。
楽しい日々はあっという間。遂にその時はきた。
人生で1度きりであって欲しい結婚式。
正直僕は浮かれてた。
僕達は社内恋愛したものだから結婚式には知ってる顔がやたらと多い。それもまた良い事。
式場を別室からずっと見てる僕に妻は
「何ソワソワしてんの。」
と少し緊張で震えた声で問いかける。
でも僕はそれどころではない。
待てど暮らせど店主の姿は見えない。
...そりゃそうだ。招待状を出した訳ではない。
招待状を出してないにしろ少しは期待してる。
自分勝手な僕に式場の人から声がかかる。
「さぁ...そろそろですよ。準備は良いですか?」
綺麗で純白な妻と一緒に僕は部屋を出る。
僕達の門出。何故か心は苦しい。
この部屋に少しの感情を置き忘れてきたようにも思えた。