お婆ちゃんの家に行くのが楽しみだった
流行りのお菓子は無くていつもおはぎだったけど
ぎいい、と軋む蝶番の音を聞くとなぜか安心した
漫画みたいなどんでん返しは来ないってこと
重々承知しています、御心配なく
うるさいから少し黙っててもらえますか
そこにある饅頭でも口に入れたら?
描いてた将来とは程遠い
黒みがかった腕の痣をなぞる
冷蔵庫にあるものでいいや、今日は
甘い物があったらいいな
時間がないのはわかってる
自信がないのもわかってる
君は拒否するように
用意周到に罠を張り巡らせて
そしてちょっと特別なポジションの
贈り物だけ奪っていってしまったんだね
何も言えないまま
軽い「ありがとう」をもらっただけで
中学の頃から君は強くて真っ直ぐで。
弾ける笑顔がとても魅力的だった。
高校に入学して
君と一緒に戦える場所を見つけたんだ。
たった二人の同級生。
心から信じていた。
同じステージに立っている訳じゃない。
同じ強さを持っている訳じゃない。
君の方が何倍も強くて。
君の方が何倍も頼りになって。
悔しくて涙を流す君を見て
自分が出来る事なら全部しようと決めたんだ。
出来なくて逆に迷惑をかけた事も沢山あった。
悔しくて情けなくて涙が出た。
君は一緒にいてくれた。
でもね。
もう一緒にはいられない。
あれは全部自分のせい…なのかな。
分からない…いや分かってる…分かりたくない。
大切な思い出を全否定されて。
どうして…どうして…どうして…。
分かってほしい訳じゃない。
でもさ。
友達にダミーも何もある訳ない。
一緒にいたいから一緒にいただけ。
どうしてダメなの。
性別が違うから…異性だからか…。
異性同士の友情なんてさ
所詮は綺麗事なんだろうね…。
これだけは伝えたい。
ずっとずっと応援してる。
君の戦う姿が大好きです。
3年生の夏まで一緒に戦えなくて…ごめん。
たまたま夕食のメニューが一緒だったり
たまたまこの前考えていたことが一緒だったり
たまたま着た服の色が一緒だったり
考えればわかる簡単なことだから、考えることをやめて、私たちはこれを運命と呼ぶんだね。
情けないと落とす肩はそんなに広くないけれど
私を包むには最適な大きさだってこと知ってるかな。