空気を察した妻は入口付近で立ち止まる
僕はすぐにマスターを見つけた。
「マスター...少し遅かったみたいだね。」
「義父さん最後の客の貴方に品を出せて良かったって言ってたのよ。」
僕は驚き振り向くとそこにたまたま墓参りに来たマスターの息子夫婦が居た。
こ慣れた手つきで墓の花を変えながら
「俺の仕事は終わった。ってそう言ってたわ。」
と僕に話してくれた。
「...そっか。ならマスターに伝えてくれないか」
僕は息子夫婦に問いかける
「美味かったよ。ご馳走さん...と」
「分かったわ。きっと伝えるわ」
僕の無理な願いを聴いてくれた息子夫婦を置いて僕達は帰ることにした。
それから僕は毎月の月命日に自分で珈琲を3杯つくることにした。
僕の分と妻の分と...
「美味しかった。ごっそうさん。」
片道切符を手に入れたんだから
擦り切れた靴は無駄ではなかったのかな
手には母親がくれた地元の銘菓
落書きでしかなかった約束を今から果たしに行く
これから、四年間もう一度階段を歩み出すか
大きくどこまでもあるかのような山へ入るか。どっちがいいとかはわからない。だって一合目から登り始めるか、なにも知らず三合目から登り始めるようなものだと思うから。
そっと胸に手を当てる
伝えられなかった気持ちが
ぎゅっと詰まってた
予行練習でも泣きそうだったのに
後ろを振り返れば
幸せそうに笑う貴方
今日は『卒業式』
貴方の進む道に幸あれ
四畳半の部屋の記憶
臆病者の自殺未遂
ぐず、のろま等という呼称からの逃避行
縷々として続くこの生への抵抗
陶器もしくはヨーグルトのような白 病室の天井
3/1
別れの季節の1ヶ月
一昨日の諦めと昨日の失望 羨望 焦燥 落胆
君の記憶無くなればいいのにな
キミノキオク捨ててしまえればいいのにな
いっそすぐにでも離れてしまいたい
無意味 無益なのは知っているけど
君が今日
卒業してくれたなら
諦めはつくのだろうか?
しー・ゆー・あげいん
の空っぽの3単語で