涙が、「もう疲れた」って言うから
涙腺を開けっ放しにしておいた。
けれど、涙は出口で引っかかったまま
出てこられなくなっちゃった。
しょうがないよね。
自分のせいだもん。
・廊下に貼られてる 水を大切に
水が温いは贅沢な夏?
・月の色 甘く恋する ムーンライト
娘がいた。娘は賢かった。有名国立大学を出て、会計事務所で働いていた。恋人はいない。美人だったから言い寄ってくる男は草食系時代とはいえけっこういたが、ひとりでいるのが好きだった。趣味は海外旅行とグルメ。よくいるおひとりさまだ。
ある週末、娘は仕事を終え、行きつけのイタリアンレストランに入った。まだ空は明るかったが、テーブル席はふさがっていた。カウンター席に座り、ワインを飲みながら食事をした。満腹になり、モニターの映画を見ていたら、酔いも作用していたのだろう。少しうとうとしてしまった。
「お疲れのようですね」
隣に、スーツ姿の男が娘をのぞき込むような格好で座っていた。男がこの世の者ではないことはひと目でわかった。
「誕生日おめでとうございます」
男はグラスを上げて言った。いつの間にか、手元にシャンパンの注がれたグラスが置かれていた。
「そういえば今日誕生日だった」
「誕生日を忘れる人はいないでしょう」
「本当に忘れてたの」
娘はシャンパンをひと口飲んでこたえた。
「それは年をとりたくないがゆえの防衛機制のせいです。おいくつになられたんで?」
「三十」
「結婚願望は」
「ひとりが好きなので」
「子どもは欲しくないんですか」
「わたしが作らなくても他の人が作ります」
「でもあなたの子どもじゃないでしょう」
「子どもは親の物ではありません。そもそも人間は誰の所有物でもありません。わたしは全人類レベルでの見方をしています。わたしの直系の子孫は絶えても種としての人類が繁栄すればそれでいいのです」
「大量殺戮兵器によって絶滅してしまうかも」
「それだったらなおさら子どもを作る必然性はないでしょう」
「……結局生まれ変わっても極端に走るだけか」
男は天井を仰いで言った。闇が訪れた。誰もいなくなった。すべてが闇に包まれた。
図書館に引きこもろうと思ったら、雨。
仕方なく家で勉強したら、晴。
優柔不断な天気に振り回されるテスト3日前。
夏を待つ蝉のよう。
なんでだろう
君のことを思いすぎて
体が熱くてしんどくて
なのに図書館戦争で余計心が熱々に
今の君への恋が
堂郁に似てるから
もしかして
君のことを思いすぎて
恋わずらいになっちゃった?
恋わずらいなんて 無縁だと思ってたのに
キュンキュンしちゃうのは
身体の現象だから仕方ない
君のリュックに身体預けた時の
鼻をくすぐるいい匂い
思い出すと
もう
どうしようもない
クールダウンするのは
いつもRADの曲たち
でも
RADの曲たちが
君への気持ちを掻き立ててくれることも
あるから不思議だね
この恋わずらいがなくならないように
今日も心を落ち着ける
敵か味方か分からない脳内戦争
第何次目だろうか
どっちつかずで ただ目を伏せた
分かって 理解して 慰めて
人のせいにするな 努力しろ 前を向け
君と平然と会話する僕の頭には
いつもピストルとギターがあるのさ
潜り込んだ時 君が撃ち殺されないことを願う
一回で数万円
甘味に誘られてしまったら
その味を手放す訳は無いでしょう
噛んでしまったあれも
ごめんなさい ごめんなさい
優しくなるから
もう一回
あと一回と
縋ることしか出来なかったあの日々に
さよなら さよなら
優しくなれないから
優しくされたいから
世の中が優しい日は一つも無かった
(女王蜂の雛市という曲からインスピレーション)
喧しい街に嫌気が差しては
火を付ける
溜まっていた灰に気付かないまま
風が吹いて
煙に巻かれる
退屈な夕暮れ 薄暗い部屋の中で
きみは笑った 笑った
笑った 食品サンプルみたいなトーンで
ざらりとした 僕はほのかな後悔を
悟られぬように 笑みで弾いて 目をそらした
右脳の隙間からたたき売りの歌がはい出て
うわっつらで愛をたたう
まどの外で子供の泣き声 どこかでエンジンが唸り
生ぬるい風が頬をなでた
こりないきみの目 虚空を泳いで
見つかりそうもない宝石を探している
「なにがおかしいの?」なんて
いったらどんな顔をするだろう