君のおかげで僕は人を思うことを覚えた
胸が苦しいと言うよりは
身体の奥から削れるような
君のおかげで僕は結ばれないことを知った
君は僕といる時よりあいつといる方が
綺麗に笑った
君のおかげで僕は
僕は 妥協を知った
君の近くにいる人を選べば
僕の視界の端に君が映るから
それを知ったら君は酷いと僕を睨むかな
それでもいい
全部君に貰ったものだから
君に貰ったものが僕を人間にした
暗い明日を思い描いてどうしていくんだい
君の本当の心はどこにあるんだ
進む道しっかり歩こう 自分の光を信じて
心が負けない限り
僕たちは 無敵なんだ
だから
君の明るい未来を 思い描いて
それが明日になっていくから
女の子が近寄ると、男の子はふと顔を上げました。
女の子は驚きました。
男の子が黒い瞳を持っていたからです。
小さな王国の民は、みんな緑色か、青い瞳をしていました。
男の子の目は風変わりでしたが、女の子はたいそう気に入りました。
男の子はぼうっと女の子を見ていました。
女の子は鮮やかなピンク色の服を着ていました。
目眩がするので目を閉じると、女の子から何やら甘い匂いがするのに気がつきました。
その匂いはチョコレートの匂いでしたが、男の子はチョコレートの匂いなんて知りませんでした。
女の子もまた、男の子から漂うふんわりとした匂いに気がつきました。
それは男の子が寝床としていたたっぷりの藁の匂いでしたが、女の子も藁の匂いなんて知りませんでした。