表示件数
1

八行詩 恋の歌

「好きです。付き合ってください」
なんて、絶対言えねーだろうな。
だからって、君から言ってくれるわけないし。
誰も知らないはずの気持ちだから。
そんなことあるわけないのに、期待しちゃってる俺もいる。
ろくに話もしたことないのにさ。
恥ずかしくて言えないよ。絶対OKしてもらえないよ。
でも、言わなきゃ始まんないしなぁ。

1

写真の中の思い出

3年間の思い出を、指先一つで辿る。
そこには笑顔がたくさん溢れて、溢れて、
涙なんて1枚もない。
そんなことない。3年のうちに、色んな涙を見てきた。
写真たちは美しい。
楽しかった思い出たち。
美しいだけの思い出を彩るのは、私の、みんなの中に残ったほんものの感情たち。
どっちも欠けてはだめ。
ああ、この思い出を辿って、流れる涙は一体なんの感情だろう。
体中が楽しかったと叫ぶんだ。
楽しかったなあ。本当に、楽しかったの。
あの舞台の上で、私たちは誰よりも幸せだった。
もう、写真からしか戻れない場所。
写真では絶対に見られない光景たち。
ぼやけて、ぼやけて、
今日も明日になっていく。

0

詩織 ⑧

可愛くお洒落をした日には
あなたと街角でばったり出会いたいなんて思うくせに

もしも本当にあなたに会えたなら
私はきっと 目も合わせられないのでしょうね

0

笑顔の先にあるもの

君のその笑顔の
はりめぐらされたものの中に
どんな感情がありますか?
うしろめたいこと、ないですか?
しんぱいなんです、あなたが。
てを握ったりするわけでもないし
いいたいこと全部言えてないし
つらい時に支えられてないし…でも
もっと頼ってよ じゃないと
笑顔の裏を勘ぐっちゃうよ
ってったって、君はそばにいないけど。
てを見つめるのは、君じゃなきゃ嫌。
らくになってくの、気持ちが。
れいせいな君だから、
るーずな君だから。私の…
のこりものの福なんだよ、ってね。

0

.

古文の時間

そっと君を盗み見れば

消えてしまいそうな

そんな目をした君と目があう

なぜか悲しくなって

涙が出そうで

過去は過去と割りきれなくて

ただ、気づかないで

消えないでと

そう願うしかなかった

『逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに
人をも身をも 恨みざらまし』