オトの手を掴んでわかったの
やめて、言わないで、
男の子は硬くなりました。
オトには…
女の子は男の子の手首を持ち上げて言いました。
ミャクガ、ナイヨネ?
随分遠くまで来ましたね
うん
オトを探しに、国の端っこまで来ちゃった
何言ってんですか、散歩したかっただけなんでしょ?
よくわかったね
あの後どうなったのかというと、女の子は男の子の腕を掴んで王国を案内したのでした。
男の子の正体はわかりませんが、一緒に歩くことが何より重要に感じられました。
なんだかんだ言って、私も端っこまで来たのはちっちゃい頃ぶりなんだよ
女の子は笑いました。
王国の周りは鬱蒼とした森が囲っています。
ねえ、オト
オトは外から来たんだよね
はい
この森の向こうには、何があるんだろう
男の子は、女の子を悲しそうな目で眺めました。
大したものはありませんよ
こんなにいい国に、僕は来たことがありません
嬉しいなあ
女の子は、笑って、男の子の手首を掴みました。
オト、
私、ちょっとわかったかもしれない
毎日硯に向かって日記なんて書けないや
筆が進まない日ばかりだよ
勉強ばかりで慣れなくて
それでも僕ら青春を感じている
辛いことも楽しいことも
全部全部、大好きっ!
そう思える、私でいたい。
花風法師
好きだ好きだと思いつつ
君の隣にいる僕を思い描けない僕は
あの子たちと同じスタートラインにさえ立っちゃいない
ねぇ、僕は嫌いだよ
嘘つきな君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
作り笑いを浮かべる君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
平気で人を傷つける君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
短気で起こりっぽい君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
自意識過剰で自信家な君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
輝く褐色の瞳を持つ君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
自分は一途だと言い張る君が
ねぇ、僕は嫌いだよ
そんな君に恋する僕が
ご飯っていいよね
美味しいよね
ご飯っていいよね
美味しいよね
ご飯っていいよね。
美味しいよね。