小さな小さな船
方角は正しいのか
強い波に
何度も何度も
飲み込まれそうになった。
嵐の夜
きみは言った
僕達らしく
進んでいこうと。
考えもしなかっただろう
あんな
小さな小さな船
いま
大海原で戦っていること。
僕達は何を掴んだだろう
結果論なら
僕達は敗者だ
それでも僕らは『何か』を手にした
ひとつの熱い想いだ。
彼らと同じ船に乗り
襲いかかる波にも
迫りくる嵐にも
僕達みんなで戦った
僕達はまた『どこか』を目指して
進む。
僕は忘れないだろう
進め
いけ
前へと
叫んだ日々を。
からかわないで
わたしの言葉を
ちらばってる言葉を
あたまのなかでちらばっていく
言の葉のたちをつかまえる
たのしいようなくるしいような
そんなじかんがわたしはすきです
物語なんだけど、すごくすぐそばで起きてそうな、物語。だから「日常という名の、劇場」。これは誰かの日常の、断片。
(こっからが本編です↓ これから、気が向いた時に書き込むつもり)
「天気雨」
ぽつ、ぽつと、雨が降り始めた。空には青空が見えているのに。
音光(ねみ)は、そう思いつつ、折りたたみ傘を差した。
家路についた中学生たちが、わーわー言いながら他人の傘に入ったり、傘を差したり、走って帰っていったりしている。
徐々に強くなる雨が降る空を、音光は見上げていた。
「…音光ちゃん」
名前を呼ばれて振り向くと、同じ部活の葎(りつ)が立っていた。
傘を持っていないらしく、頭にハンカチを乗せている。
「ごめん、傘にいれて」
突然のお願いに音光はちょっと驚いた。そして、ちょっと考えてから、
「…いいよ」
と答えた。
2人は同じ中学の、同じ部活だが、友達と言うには微妙な関係だった。
だから、音光は気まずくて、葎を傘に入れるのを迷ったのだ。
でも、いつの間にか気まずさは失せていた。
誰しも一緒に居れば、時間が立つうちに慣れるものなのかもしれない。
そう音光は思った。
「…あ、虹!」
葎が向こうを指さした。
音光は微笑みながら傘をたたんだ。
いつの間にか雨は止んでいた。